環境デザイン?都市システム?大学の土木学科はわからない!

土木全般

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

橋や空港、都市計画や交通計画、スケールの大きいものづくり・まちづくりって魅力的ですよね。

“ものづくり学科”に行きたいなぁと考えている中高生もいらっしゃると思います。

これらを学べるのは土木工学です。

でも、実は「土木工学科」は、全国で7つの大学にしか存在しません。

え?土木を学べる学科ってそんなに少ないの?


いえ、そうではありません。

日本のほとんどの大学はイメージの悪い「土木」という名称を隠しているのです。

ここでは、以前いただいた下記の質問を深堀りしてみたいと思います。

スポンサーリンク

“土木”を隠すことにした大学たち

建設業界は「きつい・汚い・危険」のいわゆる3Kと呼ばれるブルーカラーの職場です。

さらに「談合」「税金の無駄遣い」「コンクリートから人へ」など土木のイメージが悪く受験者数が減り続けたことから、90年代以降、泥臭い「土木」の学科名を変更する大学が相次ぎました。現在も大学・専修学校の学科名は頻繁に変更されています。

実際に土木の研究テーマやプロジェクトなどが環境、建築、まちづくりなどの要素を含んでいたり、そちらが専門になっている学科もありますから、一概にすべてが“土木隠し”による学生騙しと断定するのは間違いかもしれません。

でも、受験生確保のために多くの大学が“土木隠し”をしているのは事実だと思います。

土木工学科をもつ7つの大学

そんな中でも「土木工学科」を名乗る大学は存在します。

Wikipedia先生によると、令和3年現在「土木工学科」をもつ大学は、以下の7校です。

  • 九州大学 工学部 土木工学科
  • 信州大学工学部 水環境・土木工学科
  • 日本大学理工学部 土木工学科  
  • 日本大学工学部 土木工学科
  • 日本大学生産工学部 土木工学科
  • 芝浦工業大学工学部 土木工学科
  • 東京理科大学理工学部 土木工学科
  • 東海大学建築都市学部 土木工学科
  • 愛知工業大学工学部 土木工学科

国立大学は2校だけですね。日本大学は3種類の土木工学科がありますが、偏差値や就職難易度などが異なりますから、注意しましょう。(謎です。)

カミノ
カミノ

専修学校では、「土木工学科」があるのは札幌工科専門学校など全国に5校です。

土木工学科は7校だけでしたが、その他にも、土木環境工学科土木建築学科のような他のワードと組み合わせて名付けている大学は10校程度存在します。

スポンサーリンク

土木隠しの実態とは?

そして、土木というワードを使っていない大学は沢山あります。

どんな名称にしているのかというと、例えば、

  • 建築・社会環境工学科
  • 地球環境工学科
  • 環境建設工学科
  • 都市システム工学科
  • 都市環境学科
  • 都市環境デザイン学科
  • 都市創造工学科
  • 建築・社会環境工学科
  • 地球環境工学科
  • 環境建設工学科
  • 社会環境工学科
  • 社会基盤学科
  • 社会基盤システム工学科

「都市」「環境」「社会」といったスケールの大きな、悪く言えば、曖昧なイメージの言葉を組み合わせて土木工学科をカモフラージュしていることが多いようです。

全国の大学がどんな名称を用いているのか、一覧で確認できる資料がありまして、

土木施工管理技術検定の受験資格のための「指定学科の一覧」です。

土木施工管理技術検定の指定学科(表1)

土木施工管理技術検定の指定学科(表2)

(表1)に一般名称が書かれていて、(表2)で表1以外の大学ごとの具体的な学科名を見ることができます。

建築と土木を同じ学科にまとめたり、学科のなかで専攻(コース)が分かれていることも多いですね。

土木分野はあまりにも裾野が広すぎるため、多種多様な研究テーマをひとつに言い表すとしたら、抽象的なワードになるのは仕方ない面もあると思うのですが、やはり学生のイメージとは離れてしまうのかなと思います。

中身は、例えば、橋梁・コンクリート・地盤・耐震防災・河川・下水道・洪水防災・上水道・海岸防災・都市景観・交通計画など

選ぶ大学と研究室によってまったく違う内容をします。

どの分野でも根本にあるものは「土木」であり、学部時代は構造力学・土質力学・水理学の3力をメインに勉強します。

そして、土木の基礎を学んでいるわけですから、就職は土木分野のあらゆる企業に可能となっています。

カミノ
カミノ

土木工学は、人間の生活に不可欠ですし、土木の学科が無くなることはないのです。

名前に騙されて入学する学生も少なくない

「都市」「環境」「社会」

これらの曖昧な名称に騙されて入学してしまう学生も少なくありません。質問箱にも不安を感じているメッセージをいただきました。

私が大学の研究室時代に、同級生のコンクリート研究室の学生から、「こんな学科とは思ってなかった…。」という声を聞いたことがあります。彼は毎日作業着でコンクリートを練っては壊して、また練ってを繰り返していました。

彼以外でも、私の周りではチラホラ「騙されたぜ…」的なことを言ってる人はいました。

かくいう私も、志望理由は高尚なものではなく、なんとなく「ものづくり」がしたかったけど、建築学科はガリ勉なイメージだったし、スケールの大きい名前がついてる学科を選んだだけです。私は土木だと分かっていたと思いますが、「偏差値低めで合格しやすい土木でいっか」という軽い気持ちでした(;´・ω・)

「○○先生の研究室に行きたいから」「○○の研究をしている大学だから」という立派な理由で進路を決める人もいますが、彼や私のように、カリキュラムや研究室を詳しく見ずに、数学と物理得意だから理系を選んで、そのままの流れに乗り、理工学部や工学部のなかからイメージと偏差値で志望学科を選ぶ人も少なくないと思います。

土木の道に進んでしまったけど…

質問をくれたフォロワーさんのように、土木の道に進んだけど、土木自体にあまり興味がなかったと後から気づく人もいるかもしれませんが、

私も実は、土木が大好きというわけではありません(;´Д`)

人間ってそんなもんだし、仕事もそんなもんだと思います。新卒2年目くらいになると、職場にも慣れて周りを見れるようになり、そして、みんな目を輝かせて仕事をしているわけではないことに気づくでしょう…。

仕事をしながら“小さな好き”を探す、“小さな楽しみ”を探す。そんな感じでいいのではないでしょうか?

探していれば、少しずつ楽しくなってきます。

もし、あなたが大学生でしたら、講義を受けたり研究をするなかで「小さな好き」を見つけてみてください。そして、その道をとりあえず進んでみるのもいいと思います。道はいつでも変えられるものです。

先述のように書きましたが、もちろん土木は、悪いものではありません。

生活基盤を造れる仕事ですから他にはないダイナミックでロマンがあり面白い魅力をもっている分野です。

やろうと思えば町のかたちを変えられる仕事です。私も土木の道を選んで後悔はしていませんし、他にやりたいことがあったとしても、土木で学んだことは決して無駄にはならないと断言できます。

カミノ
カミノ

新しいことを体験するとやはり面白いと思うので、好奇心は捨てずにいたいですね。

今までも、これからも、土木技術者は必要とされています

これからの時代は昔ほど土木構造物を新設することはないと言われています。

保全と再構築がメインとなるでしょうが、「なんでこんな土木構造物を作ったんや…」「安全計算しっかりされてない」「都市計画がめちゃくちゃ」みたいなことは多々あります。一度造った土木インフラを造り直すのは至難の業です。

さらに、地球環境が変わり、大規模な自然災害が増えてきています。冗談ではなく普通の大雨が降っただけで町が冠水していて、将来的に災害大国になるだろうと私は感じています。

むしろ昔よりも優秀な人材が必要かもしれませんね。

ですから、「土木」を隠して志望者を集めている場合ではないし、「土木」自体の魅力を磨いて、面白さを伝えていくべきだと思います。

「土木」を復活させる大学も

苦難の20年、30年を過ぎて、大事なことに気づき始めた大学の土木関係者たちは、「土木」の名前を復活させるところも出てきました。

例えば、国立大学の九州大学は、2021年4月に地球環境工学科 建設都市工学コースを「土木工学科」に名称変更しています。

また、私立大学の愛知工業大学は、2015年4月に都市環境学科から「土木工学科」に改称しています。

それと、私立の広島工業大学も、2016年4月に都市デザイン工学科から「環境土木工学科」に改称しています。

20年ぶりに「土木」を復活させた広島工業大学では、改名初年度の入学試験は、「土木」復活で受験者が減るどころか、前年比で約4割増えたそうです。

カミノ
カミノ

土木工学科のほうがわかりやすいですよね。

スポンサーリンク

おわりに

ということで、大学の土木工学科の名称問題についてご紹介しました。

皆さんが卒業した土木学科は名称が変わっていましたか?

土木インフラは、将来の子供たちにまで税負担をかけて作られています。すべてお金を前借りして造っているのです。名称をカモフラージュして呼び込んだりするよりも、もっと違う方法で受験者を増やし、責任ある土木技術者を育てるべきだと思います。

私のブログに来てくれている方には、改めて土木のことを説明する必要もないかもしれませんが、

本文中にも書いた通り、なかなかに魅力がある職種です。

とくに公務員は色々なことに取り組めるので、将来的にまちづくりなどに携わりたい人にはオススメの職場だと思いますよ。市役所での土木技師の配属先は、こちらの記事で解説してます↓

公務員の宣伝をしたところで終わりたいと思います。

では、またぬん(*’ω’*)ノ

コメント

タイトルとURLをコピーしました