現場密度試験とは?砂置換法と舗装コア測定の解説

土木全般

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

現場密度試験は土木工事で多く実施する試験です。でも、測って終わりの出来形管理と比べると、土の密度って計算が複雑でわかりづらいイメージですよね。

そこで、ここでは現場密度と砂置換法についてわかりやすく解説しようと思います。

さらに、混同しがちなアスファルトのコア密度試験についても説明します。

※写真は株式会社創建 公式サイトから引用しました。

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現場密度とは?

まずは土の現場密度からです。舗装の現場密度は後述します。

現場密度とは現場で締め固められた盛土や路盤などの密度のことです。ここでいう土の密度とは質量と体積から求めた乾燥密度のことですが、実務ではその乾燥密度を利用して求めた締固め度を指すこともあります。まずココがややこしいところですね💦

締固め度とは材料の締まり具合を%表示であらわしたものです。

例えば、「現場密度大丈夫でした?いくつでした?」と聞かれたら「96.2%で合格でした」というような答え方になります。

現場密度=現場の乾燥密度 → 締固め度(%)を意味することもあるよ

この現場密度は土工・路盤工の品質管理のなかで必須項目となっています。なぜ現場密度(締固め度)を管理するのでしょうか。それは締固め度が構造物の品質に大きく関わるからです。土を締固めると乾燥密度が増加するため、土のせん断抵抗が大きくなります。もし土がしっかり転圧をされてなければ、あとから沈下したり構造物が傾いたり倒れたりしてしまうのです。ですから、きちんと施工されたのかを現場密度を測って確かめるのです。

最大乾燥密度を知ろう

現場でどれくらい締固めされたかを確かめるには、その材料の最も締め固まった状態を知っておく必要があります。それが最大乾燥密度です。

同じ土試料に対して含水比を変えて締固めを行うと、ある含水比のときに最もよく締め固まった状態になり、乾燥密度が最大になります。このときの含水比を最適含水比、乾燥密度を最大乾燥密度といいます。この方法は「締固め試験」と呼ばれ、JIS A 1210で規定されています。

こんな締固め曲線を描いて求めるよ (東京工業大学土質研究室公式サイトより引用)

現場に着手するまえに使用する材料について締固め試験をあらかじめ実施しておき、基準となる最大乾燥密度を求めておきます(基準密度と呼ぶこともあります)。購入材なら材料屋さんが実施してると思います。この最大乾燥密度と施工後の乾燥密度を比率であらわしたものが締固め度です。一番よく締め固まった状態にどれだけ近い状態なのかパーセントで示すわけです。

締固め度(%)=施工後の乾燥密度÷最大乾燥密度

例えば、あらかじめ求めていた路床材の最大乾燥密度が1.937 g/cm3、施工後の乾燥密度が1.863g/cm3、としましょう。

このとき、締固め度は1.863÷1.937=96.2%ということになります。

仮に発注者の示す路床の規格値が95.0%以上だったとすると、実測値が規格値を満たしているのでちゃんと締固めされていて「合格」となります。

現場密度試験

では、その現場の乾燥密度をどうやって求めるかの話をします。

まあ実際の工事では業者さんが地質コンサルなどの試験屋さんに委託しますし発注者が細かく知っておく必要はないのですが、概要だけは知っておいたほうが良いかなと思います。

現場密度試験の種類

5種類あります。

試験名適用範囲説明
砂置換法最大粒径53mmまで標準的な方法
突き砂法最大粒径150mmまで標準的な方法
水置換法砂置換法などが困難な土石分を含む土に適する
コアカッター法コアカッターが貫入可能な土(礫石不可)試験孔を必要としない
RI法機器が設置可能な土即座に乾燥密度を求められる。測定機器が高価。熟練度の必要無し

適用範囲を考えながら現場では選ぶことになりますが、一般的には砂置換法だと思います。

最大粒径が大きい流用土を使う路体盛土とかの場合は、突き砂法を選ぶことになります。違いとしては、砂置換法は自然落下で砂を入れるのに対し、突き砂法は入れた砂を突き固めます。

どちらにせよ出てくる結果は「乾燥密度」で同じですよ。

砂置換法

株式会社創建 公式サイトから引用

どの分野でも一般的な方法である「砂置換法」を説明しておきますね。

さて、密度を測るためには体積が必要ですが、土や砂は採取しても形が崩れてしまいますので、工夫しないと体積を測ることができません。

簡単に言うと、砂置換法は穴を掘り標準砂を注入することによって穴の体積を求める方法です。置き換えるわけですね。そして、掘り出した土の質量と含水比を測定し、自然含水状態における土の湿潤密度とそのときの乾燥密度を求めることができます。現場の手順は次のとおり。

現場での手順

①プレートを設置する。

②直径162mmの穴を掘る。深さは最大粒径によるが130mm程度

③ジャーとピクノメータートップ+ロートを設置する。

④コックを開けて砂を落とす。振動を与えないよう慎重に。

⑤砂が落ちるのが止まったらコックを締める。

最後に忘れずに管理写真をとりましょー。

※相互フォロワーさんの記事を参考にしました↓ありがとうございます。
現場密度試験 砂置換のやり方 | タカギ土質コンサルタント

規格値と測定する頻度は?

規格値や測定する頻度については発注者の「施工管理基準」を確認してください。分からなければ監督職員に聞きましょう。ということで、職員は数字を覚える必要はありませんが「だいたいあの辺に載ってるな」くらいは把握しておきましょう。施工計画書を見るときに確認します。

参考に、京都市の土木工事施工管理基準・品質管理のなかから「下層路盤」と「河川土工」を引用して説明しますね。どちらも砂置換法の場合です。

下層路盤

規格値
最大乾燥密度の93%以上
X10 95%以上
X6 96%以上
X3 97%以上

歩道箇所:(クラッシャラン)
最大乾燥密度の93%以上
X10 95%以上
X6 96%以上
X3 97%以上

試験時期・頻度
・締固め度は、個々の測定値が最大乾燥密度の93%以上を満足するものとし、かつ平均値について以下を満足するものとする。
・締固め度は、10孔の測定値の平均値X10が規格値を満足するものとする。また、10孔の測定値が得がたい場合は3孔の測定値の平均値X3が規格値を満足するものとするが、X3が規格値をはずれた場合は、さらに3孔のデータを加えた平均値X6が規格値を満足していればよい。
・1工事あたり3,000㎡を超える場合は、10,000㎡以下を1ロットとし、1ロットあたり10孔で測定する。
例)
 3,001~10,000㎡:10孔
 10,001㎡以上の場合、10,000㎡毎に10孔追加し、測定箇所が均等になるように設定すること。
 例えば12,000㎡の場合:6,000㎡/1ロット毎に10孔、合計20孔
 なお、1工事あたり3,000㎡以下の場合(維持工事を除く)は、1工事あたり3孔以上で測定する。
・100㎡未満の工事は除く。

書かれているとおりなんですが、まず3000m2以下であれば3箇所でOKです。だいたい均等な間隔となる位置3箇所で試験して、それぞれ締固め度93%以上でなければいけません。そして3箇所の平均は97%以上でなければいけません。10000m2を超える場合は10箇所になります。

規格値に「歩道箇所:(クラッシャラン)」と書かれていますが、おそらく歩道は路盤が一層になり「上層路盤」と呼ぶこともありますが、クラッシャランを使う場合はこの下層路盤の規格値で試験してくださいね、という意味かと思います。粒調砕石を使う場合は上層路盤の規格値を用います。

河川土工

規格値
最大乾燥密度の90%以上。
ただし、上記により難い場合は、飽和度又は空気間隙率の規定によることができる。

試験時期・頻度
築堤は、1,000m3に1回の割合、又は堤体延長20mに3回の割合の内、測定頻度の高い方で実施する。
・1回の試験につき3孔で測定し、3孔の平均値で判定を行う。

河川土工、海岸土工、砂防土工、道路土工は規格値が違いますが試験時期頻度はだいたい同じです。1000m3に1箇所行います。1箇所あたり3つの孔で試験して締固め度の平均値を出します。その平均値が90%以上でなければいけません。

道路土工は路体と路床で規格値が違いますので注意してくださいね。


アスファルト舗装の現場密度測定

おまけでアスファルト舗装の現場密度についても説明しておきます。私は新人のときに勉強するまでは舗装と路盤の現場密度がごっちゃになってました。

舗装も締固め度は重要ですので現場密度を測定します。ただし、土と違い現場で試験するわけではないので「現場密度試験」とは呼ばないと思います。

現場での作業

舗装の場合はガチガチに固まっていますから、形を維持したまま採取することができます。これをコア抜きとかコア削孔といいます。コンクリートの供試体と同じですね。

ボーリングマシンで削孔する様子はこんな感じ↓

丸浜舗道株式会社 公式サイトより引用

丸浜舗道さんのサイトにすごくわかりやすく手順が紹介されていました↓
現場見学!アスファルト舗装の様子 – 検査編 – ブログ|丸浜舗道株式会社 (maruhama.jp)

削孔された孔はすぐに復築するようにしてください。たまに軍手とかを詰めるだけにしてる業者さんもいるようですが事故の原因です。監督職員は必ず指示をしましょう。復築は常温合材でもいいですが密着するようガスバーナーで加熱しましょう。

↑これはコンクリート削孔コアの写真ですが、アスファルトも見た目は似ていますね。コアの厚みを測り舗装厚さが満たされているかを確認します。また、骨材の大きさ、空隙がないかなどもチェックしましょう。

室内試験

室内でコア密度を測ります。ざっくりとどうやるのかを説明しますね。

まず、現場着手前にプラントにてマーシャル安定度試験を実施して基準密度を出しておきます。配合設計から求めた基準となるものです。

施工後は採取されたコアについて、コアのA表乾質量、B空中質量、C水中質量を測定します。A-CがD容積となり、コア密度はB÷Dで求められます。

そして、コア密度を基準密度で割ったものが締固め度です。

締固め度(%)=コア密度÷基準密度

締固め度の考え方は土と一緒ですね。

公的試験機関への提出

最後に、公的機関の話をしなければいけません。自治体によっては施工管理基準や仕様書で、公的機関による試験を実施するように義務づけられていることがあります。

例えば、土の締固め試験は「○○m3以上の大規模盛土をおこなう場合は当初及び土質が変化したときに公的試験機関で実施するもの」みたいな。

舗装のコア密度測定は「○○m2以下は各層1個、○○m2を超える場合は各層3個を公的試験機関で実施するもの」みたいな。

こんな感じで規定されていることがあります。そんなときは技術センターみたいな公的試験機関で試験をします。どこが公的試験機関なのかも発注者が指定してますので確認しましょう。

公的機関に提出された舗装コアは密度試験だけでなく、アスファルトの抽出試験と骨材ふるい分け試験もされてバラバラになってしまうので注意してください。削孔されたコアを全部提出せずに何個かは現物コアとして保存しておきましょう。監督職員と検査官が確認することがありますよ。

おわりに

これで現場密度については完璧ですね♪

まとめると、締固め度は基準密度に対して現場の密度がどれだけ近いかをパーセントであらわしたもので、発注者によって規格値と測定頻度が決められています。

概要が分かったかと思いますので、次にやることは発注者の規格値などを調べることです。そして、何度も見返すことになるので印をつけておきましょう。

皆様のお役に立てたら幸いです。

では、今日はこのあたりで。

コメント

  1. ちー より:

    いつも楽しく拝見させて頂いています。
    私も40歳から土木公務員になり2年目ですが、仕事を覚えるのに苦労している毎日ですが、今は良い上司なので何とかなっていますが今後が心配でしょうがありません。
    今後のために何かアドバイスいただけませんか。

    • ちーさん、
      コメントありがとうございます。
      40歳から公務員とはなかなか大変でしょうね。
      まずは日々メモをとって覚えたことを忘れないようにしておくことが大切かなと思います。
      仕事のやり方はひとそれぞれ向き不向きがありますので具体的なアドバイスはできませんが…
      そういう新人用の記事もいくつか書いてますので参考にされてみてください。

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