ボーリング柱状図の見方を徹底解説します

土木全般

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

ここではボーリング柱状図の見方・読み方・書き方について詳しく解説します。

カミノ
カミノ

といっても発注者の若手技術者に向けて、必要なところだけを抽出しています。

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柱状図とは?

まず、柱状図について簡単に説明しておきますね。

柱状図とは、地層の重なりを表した柱状の地質図のことです。(中学の理科で習いましたよね♪覚えてますか?)

一般的にはボーリング調査で得られたボーリングコアを観察して作られる「ボーリング柱状図」のことを柱状図と呼びます。

そして、ボーリング柱状図のなかにも次のようにいくつか種類があります。

①岩盤ボーリング柱状図
②土質ボーリング柱状図(オールコアボーリング用)
③土質ボーリング柱状図(標準貫入試験用)
④地すべりボーリング柱状図(オールコアボーリング用)
⑤地すべりボーリング柱状図(標準貫入試験用)

最も一般的(数が多い)ものは、③番の土質ボーリング柱状図(標準貫入試験用)です。てゆーか市役所の場合は99%くらいコレです。なぜかというと、地盤調査の主な目的である「地層」と「N 値」を把握するために、オールコアボーリングと標準貫入試験を併用するからです。そんなわけで、標準貫入試験も含めた情報を1枚に表現できる柱状図が用いられます。

ここでは、その土質ボーリング柱状図(標準貫入試験用)について解説します。

より厳格で真面目なルールが知りたければ、「ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説 平成 27 年 6 月」をご覧ください。

カミノ
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せっかくボーリング孔掘るなら標準貫入試験をしないと勿体ないですよね。

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ボーリング柱状図の見方

ボーリング柱状図の全体像はこんな様式です。

国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」に掲載されている地盤情報の一例

これは国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」から、説明に使いやすいボーリングデータを頑張って探してきました( ゚Д゚)

カミノ
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ボーリング柱状図の様式は全国的に統一されていないため、項目の並びや細かい表記の仕方は異なると思いますが、ひとつの例として参考にしてください。

標題欄

まずは上段の標題欄から。

とくに説明するところはないのですが、しいて言うなら「調査目的及び調査対象」は「河川 その他」ではなくもっと具体的に書いてほしいですよね。でも悲しいかなこれは前述の作成要領で決まっていて選択肢がコレしか選びようがないんだと思います。

もうひとつ、「調査位置」は契約上の委託場所を書かないでほしい。なるべくボーリングをした住所を書いてください。10年、20年前の資料を探しているときに、同時に調査した柱状図が全部同じ調査位置になっていて判別するのに大変なことがあるんです…。○○市○○1丁目1-1(△△病院前)という住居表示の方がわかりやすいのですよね?住居表示がないところは地番でもOK。もちろん緯度経度は正確に…。

地番ってなに?

地盤情報

さて、次に下段の地盤情報のところですね。

ざっくり図解するとこんな感じなんですけど、より詳しく、ひとつずつ項目を説明していきますね。

①標尺

標尺は、柱状図の縦のスケールです。縮尺は通常1/100です。

②標高・層厚・深度

「深度」は地表面(孔口)からの深さですね。こちらの表では「層厚」がありませんが、各層の厚さである層厚が書いてある様式もあります。分かりやすいので助かります。

③現場土質名(模様)

連続した土質を単層として模様のような記号と名称が書かれています。古い様式だと「柱状図・土質区分」かもしれません。

この土質の記号はルールで決められています↓↓

大田区地盤資料の見方より

とくに覚える必要はありませんが、同じ地域なら地層は大きく変わりませんから自治体の資料を見ていたら同じ模様ばかり出てきて勝手に覚えていくと思いますよ( ゚Д゚)

例示している柱状図では、深さ3.6mまでは盛土なので2分割して「盛土」が併記されています。

斜線にも意味があります。

ちなみに、「○○混じり」と「○○質」の違いは、

○○混じり△△ = ○○が5~15%程度混入した△△
○○質△△ = ○○が5~50%程度混入した△△

です。例えば「シルト混じり砂礫」は「シルトが5~15%程度混入した砂礫」という意味ですね。

カミノ
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地質調査した人の主観ですけどね。砂・粘土・シルトなどを正確に分類するためには粒度試験が必要となります。

④地盤材料の工学的分類

地盤材料の工学的分類方法(JGS 0051)に従って記入します。

例えば、シルトなら(ML)と書きます。

土質名称と同じ意味なので、あまり重要でないと考えている人が多く空欄なことが多いかもしれません。

⑤色調

ボーリングコアを観察して色を、「黒、褐色、赤、橙色、黄色、緑、青、紫、灰色、白」をベースとして、場合によっては2色を組み合わせて記載します。

ちなみに、コアはそのままでは泥が付着していて土本来の姿をしていませんので、噴霧器と刷毛を使って表面を洗う必要があります。

洗浄前のコア 「ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説 平成 27 年 6 月

↓洗浄すると…

洗浄後のコア 「ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説 平成 27 年 6 月

カミノ
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どれだけ土本来の姿を出せるのかはプロの腕にかかっていますね!

⑥相対密度・相対稠度

相対密度は、砂質土の締まり具合のことです。標準貫入試験を行った場合には、N 値から求め、記号を記入します。

N記号締まり具合相対密度Dr
0~4rd1非常に緩い0.0~0.2
4~10rd2緩い0.2~0.4
10~30rd3中ぐらい0.4~0.6
30~50rd4密な0.6~0.8
50以上rd5非常に密な0.8~1.0

相対稠度(ちゅうど)は、粘性土の固さ(コンシステンシー)のことです。まあ密度と似たような意味ですよね、現場では親指で押して判断しますよ。

N 値(目安)記号相対稠度判別方法
0~2rc1非常に軟らかい親指が25mm以上入る
2~4rc2軟らかい親指が25mm程度入る
4~8rc3中ぐらい親指が6mm程度入る
8~15rc4硬い親指の爪なら入る
15~30以上rc5非常に硬い親指が入らない

これらの表は私の解釈ですので、学術的に正式なものはASTMの稠度区分などをご覧ください。

カミノ
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正直、記号よりも言葉で書いてあるときのほうがありがたいですよね(*´ω`*)

⑦記事

記事の欄にはボーリングコアやペネ試料(標準貫入試験の試料)を観察したり、掘進中の感触や現象などを書きます。他には、地質年代的区分、どうやって出来たものか、土の特徴、特記事項など。

⑧孔内水位

孔内水位は、いわゆる地下水位のことですね。ただし、柱状図に載っているからといって孔内水位がそのまま周辺地盤の地下水位なわけではありません。なぜならボーリングのときに泥水を使うから。ボーリングは初期水位が認められるまでは、無水掘りを実施してもらいますが、実際にどのように施工されたのか柱状図からはよく分からないですし、オペさんの練度によってかなり変わるのではないかと思います。実際に数日間のボーリング期間でも作業開始時の孔内水位は大きく変動したりしています。

孔内水位や地下水位についての見解は、別途報告書に記載されていたりするはずです。

さまざまな影響で地下水位は変動するものですし、柱状図からは「作業時はココに水位があったんだな。地下水位かもしれないな~」程度に捉えてもらった方がいいでしょう。

カミノ
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必ず毎日の孔内水位の記録をとってくださいね。

⑨標準貫入試験

さて、大事な標準貫入試験です!

標準貫入試験とは、質量63.5kgのハンマーを76cmの高さから自由落下させて、サンプラーを30cm貫入させるのに要した打撃回数をNとして記録する試験です。

予備打ちを15cm行うので、本打ち30cmとあわせて厚さ45cm必要です。通常1mごとに実施するので、本打ちは1.15~1.45mのように15cm進んだところで実施することになりますね。

コアの標本は下の写真のようになるんですが、写真上から掘進長1m毎のコアです。

地質調査ブログ『NGROOTAZ-ネガルタス-』より

赤枠の部分がオールコアボーリングによって採取されたコアで、青枠の部分が標準貫入試験によって採取された試料(ペネ試料)です。45cm空いてるでしょ? 

柱状図では↓の例でいうと、深度1mの試験では、1.15mから本打ちを開始し、打撃2回目で100mm以上貫入して、打撃5回目で200mm以上貫入して、打撃7回で300mmに到達して試験終了したことがわかります。このときのN 値は7です。

 

もし、土質が硬すぎて貫入できない場合は、N=50で試験終了とします。この場合はN=50と書いたり、換算値を書いたりします。

N値が50を超えたとき

支持層・・・一般的に砂質土でN 値30以上、粘性土でN 値20以上

軟弱層・・・一般的にN 値4以下の粘性土

カミノ
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N 値はめちゃくちゃ大事な指標でよく使いますよね。でも取り扱いに注意が必要ですので、標準貫入試験と合わせて別記事で説明したいと思います。

⑩試料採取

ボーリングでは土質試験のための試料を採取(サンプリング)を行うことがあります。というか、標準貫入試験のサンプラーでとれた試料もペネ試料と呼ばれていて物理試験を行うことができます。

「深度」は、試料を採取した深さです。

「試料番号」は、地質屋さんが自由につけた通し番号です。

「採取方法」の記号は、

T:シンウォールサンプリング
D:デニソン式サンプリング(二重管)
-:標準貫入試験のサンプラー(ペネのPが使われることもあるっぽい?)
F:フォイルサンプラー
A:その他(トリプルサンプリング 三重管)

です。この記号はもしかしたら業者さんによって使い分けが違うかもしれません…。

もし各圧縮試験などが必要であれば、ペネ試料ではなく、形を保った状態の「乱れの少ない試料」を別途採取しなければいけません。

ただし、柱状図をつくるためのオールコアボーリングはφ66mmですが、シンウォールはサンプラー器具の都合で孔径がφ86mm以上、デニソンとトリプルはφ116mm必要となり、別孔をボーリングすることになりますので積算などでは注意してください。

カミノ
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ボーリングで何のデータが欲しいのかはボーリングを始める前までに必ず確認して、サンプルの取り忘れがないようにしましょう。

⑪室内試験・原位置試験

室内試験・原位置試験の欄にはサンプリングした試料に対して、実施した試験を記載します。

室内の物理試験は密度・粒度・液性限界・塑性限界などの試験のことです。「物理」とだけ書かれていたりしますね。

物理試験・・・密度・粒度・液性限界・塑性限界試験など。人間に例えると健康診断みたいなもの!

力学試験・・・一軸圧縮試験、三軸圧縮試験、圧密試験など。人間に例えると体力測定みたいなもの!

例えば↑の記載からは、2.70~3.35mの土質においてシンウォールで「乱れの少ない試料」を採取して、物理試験と三軸圧縮試験CUbarと透水試験を実施したことがわかります。試験結果はボーリング柱状図とおなじように国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」から見ることができました。

深さ7m付近では、ペネ試料を用いて各種物理試験をしていることがわかります。

また、文字が重なっていますが、7.00~7.50mで現場透水試験を実施していることがわかります。透水係数kを書いてくれてるのでありがたいですね。

原位置試験は他には孔内載荷試験が一般的です。ボーリングの孔壁に圧力をかけて地盤の変形特性を確認する試験ですね。杭基礎などの構造物を設計するときに実施します。

カミノ
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他にも数種類あるようですが私はやったことありません( ゚Д゚)

⑫削孔月日

ボーリングは深度や地盤状況にもよりますが2~7日くらいかかります。1日でどれくらい掘ったのかを見ればボーリングの進捗スピード(難しい土質なのか)を確認できますね。

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おわりに

ということで、ボーリング柱状図のなかでも超一般的な土質ボーリング柱状図(標準貫入試験用)について解説しました。

実は地方自治体では維持工事がほとんどなのでそこまで柱状図が必要になる工事は少ないのですが、地震が多い日本では地質調査がなくなることは無いと思いますし、河川・橋梁・下水道・建築などの分野では必須の知識になります。土木技術者の常識ですよ!

なお、私は土質のプロではありませんので、「これはこういうことですよ」とか「ここは間違ってますよ」とかあれば教えてくださいm(__)m

カミノ
カミノ

土質・地盤ってよく分からないよ~って人はぜひ柱状図を読むところから始めてみてくださいね。楽しくなってくるはずです♪

本記事で写真を引用しました私の相互フォロワーさんの地質調査ブログもよろしくお願いします(*’ω’*)
ネガルタス -背中のキズは恥じゃない- – 地質調査×イメチェン ブログ (ngrootaz.com)

では今日はこのあたりで。

またぬん(*’ω’*)ノ

コメント

  1. 地質調査しりたい より:

    とても勉強になりました、今後の実務に活かしていきたいと思います。
    素人なので大変恐縮ですが、いくつかご興味いただきたいことがあります。
    1.標準貫入試験はデニソンサンプリングで採取、とありますが標準貫入はサンプリングせずとも現位置試験で得られるのではないでしょうか?
    2.N値の支持層の記載は「道路橋示方書」によるものかと思いますが、全ての土木構造物に適用されるのでしょうか?また、層厚は何mあればいいのでしょうか?
    3.オールコアボーリングの記載がありますが、ノンコアボーリングとはどう違うのでしょうか?
    4.一軸圧縮試験や三軸圧縮試験について、体力測定のようなもの、と記載ありますが、標準貫入試験で得られる支持力以外に具体的にどのようなことがわかるのでしょうか?
    5.三軸圧縮試験でもUU試験とCU試験、CD試験とがありますが何が違うのでしょうか?
    以上です。
    よろしくお願いいたします。

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