土木系公務員の仕事(土木部局編)

道路
カミノ
カミノ

土木技師がどういう部署で働いているのかを紹介したいと思います。
今日は土木部局編です。

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はじめに

技術職(土木)として役所に採用された人はどういった部署に配属されるのでしょうか。

土木という分野は多岐に渡りますから多くの部署に土木技師が配属されています。

イメージ的に大きく分けると、都市部局土木部局その他の部局に分けられます。ほんとに大きく分けるとですよ(笑)

前回、都市部局について解説したので、今日は土木部局について見ていきます。

土木部局を構成する部署

土木部局は道路部局と呼ぶこともあります。

何をするところか簡単に説明すると、行政が所有している道路、河川、水路、公園、港湾、砂防ダム等を新設・維持管理する部署です。

代表的な部署としては、道路計画課、道路保全課、河川課、公園課、建設課、維持課、管理課、占用課、用地課などがあります。他には、港湾課、砂防課、連続立体交差推進課、高速道路推進課など、自治体がもつ管轄施設によって様々です。

一般的には全てが本庁に集約されているかもしれませんが、中核市以上だと、効率化のために計画や予算管理を行う部署や大規模工事の発注部署は本庁舎にあり、実際に維持管理する部署は出先機関として分けられています。出先機関ではガッツリ現場作業もありますよ。

都道府県だと、地域ごとに土木事務所を構えています。(例:県北事務所、県央事務所など)

政令市では、区役所の中に土木の部署を設置していることが多いようです。(例:北区維持課、中区維持課など)

中核市以下では、市域が広い場合は維持管理の事務所を別に設けていたりします。資機材を置くスペースも必要ですからね。(例:〇〇事務所、〇〇支所など)

ひとつずつ見ていきましょう。

道路計画課

道路行政のうち新設・改良つまり整備計画の方針を定める部署です。

都市計画と同様で答えが用意されている仕事ではありませんから霧の中を手探りで歩いている状態に陥る人もいるようです。

また、どうしても対外的な会議が多くなります。その会議調整、資料作成に追われることになるでしょう。

道路保全課

道路の維持計画についての業務をおこないます。ここと計画課は自治体によって組織体制・名称はバラバラでもっと細分化していることも多いようです。国からの補助事業を多く抱えているとそれだけ忙しくなります。

町に張り巡らされた道路の維持をするわけですから、ひっきりなしに仕事はやってきます。舗装、橋梁、トンネル、街路樹、安全施設、照明灯等あらゆる施設の点検・補修をこなす必要があり、昨今は安全を重要視しすぎる市民志向ですからこれからも忙しいと思います。

カミノ
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計画課と保全課は残業が多い…。

河川課

上記2つの部署の河川バージョンです。河川改修整備計画を策定したり、予算管理を行います。

公園課

こちらは公園バージョンです。公園の維持管理を統括し、予算管理をおこなっています。実際の維持管理は出先機関等の維持課がおこないます。

建設課

計画課、保全課が決定した予算を執行して実際に工事を発注する部署です。

出先機関では主に維持補修の工事を行うのに対して、建設課では都市計画道路や県道、市町村道など新たに道路を作ったり改良したりすることが主な仕事です。河川等の他の施設も同様です。

橋梁やトンネル、地域高規格道路、河川改修などは高度な知識が必要になりますから、小さい自治体ですとココの技術継承が一つの課題だと私は思います。

国のお金を使う補助事業では、会計検査という厳しい検査に耐えられる適切な工事発注を行わなければなりません。係員全員が平然と残業をこなす忙しい部署です。

維持課

供用中の道路、河川、水路、公園等の維持補修をおこなう部署です。

市民からの要望・苦情を直接受ける部署であり、組織の末端部署といえます。ひっきりなしに電話を受けて、現場対応を行う忙しい部署です。

公務員へ謎の敵意をもった市民も多く、そんな人からの意見・要望・苦情へ対応するうちにストレスをため精神的に病気になってしまう職員も見受けられます。

また、気象警報の待機態勢(水防業務と呼んだりします)というのがあり、大雨警報などが掛かれば24時間体制で対応しなければいけないという過酷な業務もあります。この警報待機業務は他の部署にもあるんですが、維持課が率先しておこなうものです。

カミノ
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市民の皆様は神様です。(頭のおかしい市民は多い…)

管理課

公共用地の境界立ち合いをおこなったり財産管理を主とする部署です。

財産に関わることなので、市民や業者と境界トラブルに発展することもあります。

事務職でもできる仕事です。基本、忙しくありません。

占用課

道路占用等道路法に係る道路管理をおこなう部署です。公園占用も同様です。維持課に併合しているケースも多いと思います。

事務職でもできる仕事です。基本、忙しくありません。

用地課

公共用地のための用地交渉・買収、物件移転補償をおこなう部署です。

工事計画の一番最初の工程であり、ここでスムーズに交渉が進むかどうかはとても重要です。とても責任ある部署ですよね。

しかし、サボろうと思えばいくらでもサボれるため、昔は交渉に行くといってサボって、何か月かまったく進捗させてなかった職員もいるとか聞いたことがあります。民間の営業職みたいなものですね。(違いますか?)とんでもないですね。

事務職だけしかいないこともあると思います。土木技師は少数です。

基本、忙しくありません。

福岡市を例に見てみる

実際に福岡市の土木部局を見てみたいと思います。

福岡市の人口は約160万人。

地方都市の中でもまちづくり開発に力を入れている都市で、周辺の都市から人を集めることに成功しており、地方自治体が目指すべき理想像だと私は考えています。

福岡市は人口100万人を超える市町村の中では、人口増加率が川崎市に次いで第2位

全国の市区町村 人口増加率ランキング https://uub.jp/rnk/cktv_l.html

そんな先進的な地方都市はどういう組織体制になっているんでしょうか?

ちなみに土木の採用枠は令和元年度が20人、令和2年度は25人だそうです。

カミノ
カミノ

やっぱり福岡市見ないとね。

福岡市の都市部局(道路下水道局)

福岡市の土木部局は、道路下水道局というそうです。

市役所の組織全体像を見たい方は福岡市ホームページをご覧ください。

道路下水道局の構成一覧(令和2年度)

【総務部】

  • 総務課
  • 下水道経営企画課
  • 経理課
  • 下水道料金課

【管理部】

  • 路政課
  • 自転車課
  • 駐車場施設課
  • 道路維持課
  • 下水道管理課

【計画部】

  • 計画調整課
  • 道路計画課
  • 高速道路推進課
  • 下水道事業調整課
  • 下水道計画課
  • 河川計画課

【建設部】

  • 建設推進課
  • 東部道路課
  • 西部道路課
  • 雑餉隈連続立体交差課
  • 東部下水道課
  • 中部下水道課
  • 西部下水道課
  • 河川課

【下水道施設部】

  • 施設管理課
  • 施設整備課
  • 水質管理課
  • 東部水処理センター
  • 中部水処理センター
  • 西部水処理センター
  • 和白水処理センター

【用地部】

  • 用地調整課
  • 公共施設用地課
  • 東部用地課
  • 中部用地課
  • 西部用地課

このほかに、7つの区役所にそれぞれ地域整備課と維持管理課があります。

このようになっています。

なんと、下水道部門が、道路局と一緒になっているみたいです。これはおそらく珍しいと思います。多くの自治体では下水道局もしくは上下水道局としているのではないでしょうか。

下水道のような占用物を道路と同じ部局に入れるのは違和感がありますが、たしかに一緒に道路工事を行えますし、河川課とともに内水処理計画を検討する上でも効率がいいのかもしれません。

私の考えでは下水道局は「その他の部局」の扱いにしていますので、また今度紹介しますね。

事業が多いので部署数も充実してますね。同じような名称なのでどう役割分担しているのかパッと見ではわかりません。

おわりに

福岡市の例だけを見ましたが、部署構成は自治体によって違うということが分かってもらえたと思います。

個人的には管理、占用、用地など楽な部署を1年ずつ経験して知識をつけて、工事部署でみっちり叩き上げられてから都市政策部署に異動するのがベストだと思います。

もちろんこんな美味しい異動ルートはありませんけど(笑)

公務員志望の学生にも、組織一覧を見て勉強してもらえればと思います。参考になれば幸いです。

カミノ
カミノ

次はその他の部局について解説します!

では今日はこのあたりで失礼します。ありがとうございました。

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