地方債とは?

予算管理

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

地方債ってご存知ですか?

一般市民や金融関係者からすると地方債は金融商品のことだと認識されていると思いますが、公務員からすると地方債は資金調達の手段のひとつです。簡単に言うと、地方債とは自治体のローンのことなのです。

とくに公共事業は起債がメインになっていて、土木公務員は必ず知っておくべき知識になりますので、ここでわかりやすく説明したいと思います。

カミノ
カミノ

と言っても私も財政のプロではないので概要だけの説明になりますね、実務はローカルルールとかありますし(;´・ω・)

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地方債って何だ?

地方債は、債券を発行して外部からお金を借りることができる「自治体のローン」みたいな制度です。

地方債を購入していただいた皆様からの資金を自治体の街づくりのために活用しているわけです。ちなみに、都道府県・市区町村以外にも一部事務組合や広域連合等が地方債を発行することができますよ。

地方債の所管は総務省です。総務省は地方財政を担当していて、地方財政計画や地方債計画などを作成しています。色々とルールを作ってるのは総務省(と財務省)だと覚えておきましょう。

総務省が説明している「地方債の定義」はこちらになります↓

地方債の定義

地方債とは、
①地方公共団体が財政上必要とする資金を外部から調達することによって負担し、
②課税権を実質的な担保とした債務で、
③その履行が一会計年度を超えて行われるものをいい、
④証書借入又は証券発行の形式を有している。

地方債は自治体のローンですよ、ってことを真面目に説明するとこうなるみたいですね。

ローン、つまり借金なので将来返さなければなりません。期間は5~30年で、元利償還金という形で返すことになります。歳出予算としては公債費という名称で計上されていますよ。

総務省資料より

R5年度の公債費はR4年度までの地方債の元利償還金ということです。

カミノ
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市役所の場合は地方債のことを「市債」と呼びます。

起債って何だ?

ちなみに、地方債を発行することを「起こす」と表現して「起債」と呼びます。起債は実際に調達する(した)資金のことを指すこともありますので、起債=地方債=市債です。

イメージとしては、「地方債」は制度としての名称で、「市債」は市役所が対外的に計画や残高などを説明するときに使われる名称ですかね~。そして、実際に事業ごとの予算管理のシーンでは「起債」が使われている気がします。

公共事業と起債は切っても切れない関係ですので、起債管理は財政課と土木主管課(財政担当)の超大事な仕事ですよ。

カミノ
カミノ

地方債はなぜか色々な呼び方がされますね。例えば、公債、起債、市債、建設債、事業債など。

地方債の役割

さて、次に、なんで地方債が必要かって話ですが、ローンというくらいですから住宅ローンなどを考えれば何となく理由が分かると思いますが、まあ大規模な公共事業をおこなうには単年度の収入では足りないからですね。

それも含めて、地方債の役割(目的)は4つあると言われています。

1.財政負担を後年度に平準化する
建設事業や災害復旧事業などはお金が掛かりますよね。住宅ローンとおなじように地方債というローン制度のおかげで財政負担を後年度に平準化できるので、安定して自治体を運営することができます。例えば10年ローンなら毎年約10分の1の支払いで済みます。

2.世代間の住民負担を公平にする
道路や公園、学校などは住民に何十年もの長い間使われることになりますから、建設された年度だけ税金などで全額負担してもらうことは不公平になります。将来使うことになる住民にも元利償還という形で費用負担してもらうために地方債があるのです。なお、こうした理由から、地方債の償還年限はこれを財源として建設した施設の耐用年数を超えることはできません。

3.一般財源を補完する
当たり前ですが、発行年度だけ見れば一般財源の不足を補ってくれます。地方債がなければ「施設が壊れて緊急で修理しなきゃいけないけどお金が足りないよ~」という事態に対応できませんよね。

4.経済対策となる
いわゆる景気対策のために公共事業を増やすという話です。現在は公共事業の多くが地方を通じて実施されてますが、地方債の増減によって事業量を調整することが可能であり、景気対策等において重要な機能を果たしています。

カミノ
カミノ

お金が足りないなら事後のローンではなく事前に積み立てておけばいい、という考え方もありますが、地方財政にはそんな余裕はありませんし、上記2の観点から不公平感があります。(後回しのほうが今の自分たちの負担が減るしね、という考え方でやってきて昔の支払いが重すぎて苦しんでます(笑)

地方債の対象となる経費

地方債はいわば借金ですので、何でもかんでも対象にできるわけではありません。(総務省が許しません)

ざっくり言うと、住民が将来的に使用する、形として残る建設事業費(設計とか土地代とかいろいろ含む)が対象となります。他には災害復旧とかの経費も対象になりますよ。

長くなるので詳しくはこちらの記事で解説しました↓

起債の手続きの流れ

次に起債手続きについてですが、地方債を起こすには、「起債の目的、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法」を予算で定める必要があります。そして、総務省へ協議・届出・許可申請のいずれかを行うことになります。

フロー図だけ載せておきますね~。

市町村の場合は都道府県が仲介役となって、協議等をおこないます。

埼玉県 地方債マニュアルより
カミノ
カミノ

財政担当になったらマニュアルがあるから大丈夫です!(と思う)

地方債の借入先

さて、土木公務員の仕事は借入先までは知っておく必要はありませんし、私たち土木公務員は収入に無頓着というか無知ですよね。しかし、支出するためには収入が必要なわけで、個人的に無知すぎるのはあまりよろしくないと思います。

ということで、地方債の借入先をサラッと説明しておきますね。

調達方法は、公的資金と民間資金に分けられ、全部で4種類の方法があります。(例外もあるかも)

借入先

【公的資金】
①財政融資(by財務省
②金融機構(by地方公共団体金融機構

【民間資金】
③銀行等引受(by金融機関、農協、保険会社など)
④市場公募(by機関投資家、個人など)

実際のところ①~③は結構満遍なく振り分けられて利用されています。リスク分散とかの意味があるのかな?よくわかりましぇん(*´ω`*)

商品としての地方債

④市場公募している自治体は限られるんですが、例えば令和元年度時点で56団体だったそうです。

総務省資料より

大きめの自治体ばかりですね。これら市場公募は個人で買うこともできます(*’ω’*) 例えば↓のリンクから今月発行予定の地方債が見れますよ。

一般財団法人 地方債協会 -全国型市場公募地方債(個別債)- (chihousai.or.jp)

ちなみに、私の夫は仕事で地方債を購入したことがあるらしいのですが、株式・社債よりもリスクが低くて、国債よりも利率が高い(信用度が低い?)ので商品としては結構人気らしいです。ホントかどうかは分からんけど。

例えば10億の資産運用のために3つの自治体に分けて購入したりするとのこと。証券会社と相談してどこの自治体の地方債を買うか決めるらしいのですが、それは発行されるタイミングとか社内の事情とかもあるらしいですよ。

カミノ
カミノ

収入についても知っておくと財源を大切に使おうという気になりますよね。え?ならない?

おわりに

概要だけですごく長くなってしまいました…。「起債充当率」「交付税措置率」も超大事なんですが別記事にしました。

関連記事:起債充当率と交付金措置率

土木公務員の仕事はほとんどが起債が関係してきます。私の説明はあくまで簡略化したものですので、もっと専門的に勉強したい方は総務省のサイトをご覧ください。資料がたくさんありますよ。

また、都道府県が市町村向けの地方債マニュアルを作ってくれてますので、実務はこれが一番分かりやすいと思います。庁内で検索して探してみてください。

参考:地方債マニュアル(確定版)埼玉県

では、今日はこのあたりで。

何か参考になりましたら幸いです。

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