施行承認とは?

仕事全般

土木行政の仕事のひとつに施行承認の許認可があります。

施行承認とは、土木施設の管理者の承認を受けて、管理者以外の者が工事を行うことをいいます。

ちなみによく”施工”承認と間違って書かれることがありますが正しくは”施行”ですのでお間違い無いように…。

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施行承認は自費負担です

施行承認とは、土木施設の管理者の承認を受けて、管理者以外の者が工事を行うことをいいます。

申請者が費用を負担し、申請者自らが建設業者などに発注して工事を行ってもらいます。なぜ自費負担なのかというと、あくまで私人などが自らの必要に基づいて行うものであり、管理者が積極的に行う必要がないからです。もし、個人の利益のために道路を改築するとしたら行政の仕事量はとんでもないことになるし、そんな予算はありませんよね。

工事成果物は自治体に帰属され、自治体(道路なら道路管理者)が維持管理していくことになります。帰属とは役所の所有になることです。なので、道路構造令や自治体の技術基準に適合した設計をしてもらわないと承認が下りません。また、完成後は正しく施工されているかの検査を行います。

占用・使用との違いがイマイチ分からないという方もいるかもしれませんが、施行承認は施設の構造を変えて完成後に役所に帰属されるものだとイメージしておくといいかと思います。微妙なものは役所に相談してみてください。

道路の施行承認

1番馴染みがあるのは道路工事の施行承認ではないでしょうか。道路法第24条に基づくので「24条申請」と呼ばれたりします。

沢山の申請を受けますが、なかでもダントツ多いのは「歩道の切り下げ」。店舗や家を建てる際に車の乗入れ口を新しく作りたいということで、歩車道境界ブロックを切り下げたり、歩道の高さを擦り付けたりするのです。

道路工事施行承認は土木公務員として関わることがヒジョ~~に多いので、別記事で詳しく解説したいと思います。(準備中)

おもな申請例

・歩道切下げ
・街路樹の移植
・ガードレールや柵の撤去
・車止め(ボラード)の移設・撤去
・道路照明灯の移設
・道路反射鏡(カーブミラー)の移設
・道路標識の移設
・側溝の改修

L形溝切下げ例(足立区Webサイトより)

公園の施行承認

公園にも管理者以外が施工する制度はもちろんあります。公園管理者以外の第三者が公園施設を設置または管理したいときに都市公園法第5条に基づき許可を受けるものです。これは「5条申請」と呼ばれたりします。(私がそう呼んでいるだけ?)

例えば、掃除業務を受託している業者が用具倉庫を置きたい場合は、清掃用具庫も公園施設に該当し、都市公園の機能の増進に資すると認められるので、5条申請により許可を受けて設置することができます。

おもな公園施設の例

・園路、広場
・ぶらんこ、すべり台(遊戯施設)
・休憩所、ベンチ(休養施設)
・植栽、花壇(修景施設)
・売店、駐車場(便益施設)
・野球場、運動用具庫(運動施設)
・管理事務所、清掃用具庫(管理施設)
・植物園、動物園(教養施設)
・給排水設備
・照明灯設備
・防災備蓄倉庫

上下水道の施行承認

上下水道のような道路占用物であっても自治体の条例・規則に基づき施行承認の制度があります。

例えば、ガス会社が管布設工事をしたいけど計画管路上に水道があるときは水道を移設しなければなりません。その場合は水道局(課)に申請し承認がおりれば水道管を切り回すことができます。ただし、同じ道路占用のパイプライン・ライフライン系の会社同士で管理協定などを組んでいる場合があり、原因者が移設工事を依頼し、管理者が工事を施行、その費用を原因者にあとから補償してもらうというスキームが確立していることもあります。そのほうが工事が安全かつ適切に行われるからです。

また、道路管理者からの移設依頼などの場合は、管理者権限により「移設命令」として補償無しで移設をさせることも可能です。というかそれが原則だと思います。

その他の施行承認

ご紹介した道路・公園・上下水道は代表的なものです。

私が詳しくないので割愛しましたが、他にも行政が管理する河川・水路・港湾・その他施設でも同じような施行承認の制度があると思います。でないと、行政が依頼を受けて施工する→費用を補償してもらうことになり行政の業務量が増えるからです。そのような他律的な業務はなるべく削減したいのです。

ちなみに、請負工事のなかで設計変更の対象としない施工変更のことを「承認工事」とか「施工承諾」とか「承諾施工」と呼んだりしますが、まったく異なる概念ですので混同しないようにしましょう(;´・ω・)

開発行為による無償譲渡

もうひとつおまけ話。

「開発行為による無償譲渡」は施行承認と実質的に似ています。これは開発区域内で築造された道路・公園・水路・上下水道などが竣工検査後に自治体に帰属されるものですが、供用中の土木施設を改修工事するものとはちょっと違うので、手続きも施行承認とは異なり、別途要綱や開発行為の一連のルールのなかで申請してもらいます。(自治体によっては施行承認の手続きで処理するかもしれませんが…。)

例えば、開発区域内の田畑を分譲地に造りかえる開発があるとします。新設道路は市に帰属されるとします。新設道路については開発行為として都市計画法第32条協議によって構造等に関して道路管理者の同意をとりつけておき竣工後に寄附願を出します。開発区域外で道路を改修するものは32条協議で確認しつつ施行承認の手続きが必要になります。

譲渡施設の手続きの流れや構造基準については、自治体の「開発許可申請の手引き」で定められていたり、「開発行為等における○○施設の取扱に関する要綱」などで定められていると思いますので確認してみてください。「開発許可申請の手引き」の技術的基準に載っているものは土木の基礎資料として大変参考になりますよ!

岡山市の例↓
開発指導課業務内容 | 岡山市 (city.okayama.jp)

カミノ
カミノ

施設によっては帰属管理の取り扱いがすごくややこしいので、ここに書いてあるのは一般的なイメージと思ってくださいね。

では、今日はこのあたりで。

業務の参考になりましたら幸いです。

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