こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
埼玉県の県営公園で開催予定だった水着撮影会が開催直前に中止となったことがTwitterで話題になっていますね。
私たち土木公務員は、公園課に配属になれば公園を管理する立場となります。
私は都市公園はとても大事な空間だと思っていて、出来るだけ幅広く利用してほしいですし、行為制限をかけることはできますが、基本的に条例に明記された具体的行為以外は禁止にするべきではないと思っています。
ここでは少し本件について考えてみましょう。
経緯
関係者に取材されたこちらの2つの記事が分かりやすかったです。
「モデルに18歳未満」「過激ポーズや水着」指摘受け確認 埼玉県営公園での「プール撮影会」が会場都合で中止…一律禁止に: J-CAST ニュース
「開催2日前にいきなり電話で言われ…」共産党の申し入れで「水着撮影会」が中止に 騒動の裏側に迫る | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)
信憑性はわかりませんが、これらの記事が正しいと仮定して、経緯を整理しますと、(一部引用)
日本最大級の水着の祭典「近代麻雀水着祭2023」が6月24日・25日に開催を予定していた。当イベントは総勢160名以上のアイドル、コスプレイヤー、セクシー女優が出演し、埼玉県営しらこばと水上公園のプールエリアを会場としていた。
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県民からのメールで「モデルに18歳未満の女性を含み、過激なポーズや衣装が見受けられる」との指摘があった。
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日本共産党埼玉県議会議員団の3名の議員が、明らかに性の商品化を目的とした興業であり都市公園法第1条「都市公園の設置及び管理に関する基準等を定めて、都市公園の健全な発達を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」にふさわしくないことを理由に、貸し出しを禁止するよう県に申し入れた。
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埼玉県の公園を管理する公益財団法人「埼玉県公園緑地協会」は水着撮影会へのプールの貸し出しを禁止することを決定。
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「近代麻雀水着祭2023」だけでなく、他の水着撮影会も中止要請された。開催直前の10日のフレッシュプール撮影会(川越水上公園)、11日のはまなる大プール撮影会(同)、10日のミスヤングアニマルオーディションセミファイナルプール撮影会(しらこばと水上公園)が相次いで中止を発表した。ルールを守っている水着撮影会もあったらしいが、水着撮影は一律禁止に。
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参加者・関係者は大憤慨。Twitterで「日本共産党 埼玉県議会議員団」と「埼玉県」と「埼玉県公園緑地協会」に対して炎上
という流れですね。
都市公園で禁止されること
川越水上公園、しらこばと水上公園、加須はなさき水上公園は埼玉県の都市公園のようです。
都市公園は市民の憩いの場であり、誰でも使えるとても大事な空間です。そこを利用したい人が利用できないことは原則許されるものではありません。
例えば、最近の公園はボール遊びを禁止していると勘違いされている方が多いと思いますが、だいたいの場合は公園管理者はボール遊びを禁止していません。他者に危害をおよぼす“危険なボール遊び”を禁止しているのです。ボール遊び禁止の看板があったりしますが町内自治会や公園愛護会が設置してるもので勝手にルール化しています(;´・ω・)地元の総意と見なして黙認していたりしますが、公園管理者としては遊びたければ周りに迷惑かけずに遊んでええよって感じです。(自治体によります)
さて、話がそれました。都市公園のルールは各自治体が条例で定めていますので、埼玉県都市公園条例を見てみましょう。
第8条は自由使用も含めたところの行為全般の禁止事項ですね。
今回見るべきところは行為許可についてですから第9条第2項の規定だと思います。しかし、めっちゃ曖昧なことが分かるかと思います(;´・ω・)
実際には行為許可を出すときにもっと具体的な条件がつけられます。
今回の事例で言えば、「過激なポーズや過激な水着はダメ」というルールがあったようです。
実際に中止を要請した(許可を取り消したのではなく行政指導した?)指定管理者の解釈が重要で、記事によると「(過去資料で)18歳未満の女性を出演させたことが確認できたほか、成人女性であっても過激な衣装やポーズが見受けられた。公序良俗に反するものと判断し、施設の使用を許可しないとした。」とあります。
さらに、水着撮影会は主催者が参加者をコントロールすることが困難であることから、ルール違反をしていた「近代麻雀水着祭2023」だけでなく他の水着撮影会も一律で禁じることにしたそうです。
アウトなこと→①18歳未満の女性を出演させる ②女性が過激な衣装やポーズをする。という解釈のようですね。
「近代麻雀水着祭2023」は4月に中学生が参加していますし、6月も参加予定でした。
何が公序良俗に反するものなのかは個々人で線引きが変わりますが、私の考えは「①18歳未満の女性を出演させる」は完全にアウトだと思います。倫理的にアウトです。法令で言うと児童ポルノ禁止法や埼玉県青少年健全育成条例に抵触するでしょう。未成年は社会的判断力が備わってないので18歳になるまでは大人が守らなければならない対象です。タバコやお酒がダメなのと同様に大衆の性の対象になることはアウトです(なぜか大手出版社・メディアなどの未成年水着グラビアやアイドル業は許されてますが、素人の水着撮影は禁止の流れのようです。)
「②女性が過激な衣装やポーズをする」については、ボディタッチなしで恥部を隠しているならセーフにせざるを得ないと思います。表現の自由です。というか規定しようがないですよね…マイクロビキニ禁止などのはっきりした規定なら賛同できますが。
この表現の自由を規制する思想はイスラムの女性観に近づいていますし、学校の風紀委員みたいなことを良い大人になってまでやってるのは少し滑稽に感じてしまいますね。
今回の件はおそらく①が決め手だと推測されます。②だけなら全面禁止するには弱いですよね。
まあ公序良俗の線引きは本記事で言いたいことからは外れるのでこのくらいにしておきましょう。
公営だからこそ開催するべき
さて、本題にいきましょう。
議員団は「こういうイベントすべてがなくなるべきだとは言っていない。あくまで県営公園であることを問題視している」と主張されていましたが、じつに県議らしい考えです。県議なので県営施設だけ厳格化する。
私の考えとしては、議員団の意見と真逆になりますが、公営だからこそ水着撮影会なるものを開催したほうが良いと思います。
公営だからこそ公衆の目があり、改善することができるからです。
残念ながら埼玉県の公園プールでの水着撮影会は一律中止されましたが、ほかの自治体も埼玉県の流れを受けて難しくなる可能性は高いと思われます。
そうなるとどうなるでしょうか。
おそらく活動が地下に潜りますね。
私は県営だからこそ県民がやりたいことを開催し、しかしその健全性はチェックして女性や青少年を守ろうという姿勢をとってほしいです。
そして、都市公園はみんなが使える場所ですし、管理者は使えるように努力しなければいけないと思います。水着撮影会は開催実績があったのですから、運営自体の遂行能力はあっただろうし、改善の話し合いもできたはずです。
最近のキャンセルカルチャーは、とくに議員が動く案件ですと、政治家や活動家は中止させることが活動実績になるため「目的が中止のみ」になってしまいますが、それは政治の本質ではありません。政治は話し合いが基本です。権力を振りかざすだけでは危険ですし、改善の話し合い抜きに0か100だけで決断してしまうと本当により良い社会は作れないと思います。
とくに今回の事例はルールを守っていた運営にも飛び火して一律禁止になってしまい、行き過ぎた措置のように思えますね。記事には出てない事情があったのでしょうが……。
普段はこういった炎上案件は静観してますが、今回は都市公園の話だったので私の考えを書いてみました。こんな考えもあるんだなーと知ってもらえたら嬉しいです。
コメント
はじめまして
『「①18歳未満の女性を出演させる」は完全にアウトだと思います。倫理的にアウトです。法令で言うと児童ポルノ禁止法や埼玉県青少年健全育成条例に抵触するでしょう。未成年は社会的判断力が備わってないので18歳になるまでは大人が守らなければならない対象です。タバコやお酒がダメなのと同様に大衆の性の対象になることはアウトです(なぜか大手出版社・メディアなどの未成年水着グラビアやアイドル業は許されてますが、素人の水着撮影は禁止の流れのようです。)』
とありますが、大手出版、メディアならOKで素人がダメという不平等な特権条件を擁護する法令がありますか?
無いのであれば、素人だろうがOKです。児童ポルノはまた違う問題であり、大手出版、メディアでもNGです。
そこをごっちゃにされるのは違うと思います。
子供には子供の権利条約があり、
『子どもの意見の尊重
(意見を表明し参加できること)
子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します。』
とあります。頭ごなしに未成年だからダメは通じません。個別案件です。
当人が希望し、リスクも説明して、それを理解しているとなれば、一方的な事由を捲し立ててNGは出来ません。
個人的に嫌であろうが、法的には擁護されるはずです。公園は学校ではないので、法令違反がないなら使用禁止は言えないでしょう。裁判では負けると思います。
ご一考を。