原議書とは、決裁が完了した起案文書・公文書のことをいいます。簿冊とは、それらをひとつに綴ったものです。
こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
今日は公務員の仕事であつかう“簿冊・原議・原本”について解説します。
簿冊・原議・原本といえば、“決裁文書”の綴り、もしくは決裁文書自体のことですが、なぜこれを整理して保存しなければいけないか分かりますか?
簿冊・原議・原本とは?
言葉の定義は各自治体の「文書管理規程」で決められていると思いますが、一般的には、
原議とは、決裁が完了した起案文書・公文書のことをいいます。民間では、稟議書・起案書・立案書といったりしますね。
また、決裁文書たちを綴ったもの、つまり、土木部署で言えば「ある事業に関する一連の決裁文書等をファイリングしたもの」を「簿冊」とよんでます。英語では「ファイル」ですかね。
「簿冊」と呼ばない自治体では、代わりの言葉がないのでこれらの書類たちのことを「原本・原議」と呼ぶこともあるみたいです(;´・ω・)
起案文書とは?
起案文書とは、一般的には職員がこれやっていいですかと、上司にお伺いを立てるための文書で、承認ルートを通って決裁権者が決裁します。
例えば、家族経営のお店で「A事業をはじめたい」ときは、家族会議でみんなが口頭で合意するだけでA事業をはじめられると思いますが、
会社や自治体などのように一定以上の規模の組織になると自分のお金じゃない予算や収益計算、各方面への協議・調整・交渉が発生し、さらに責任の所在が不明確になるので、意思決定を口頭で済ませるわけにはいかなくなります。「A事業をはじめたい」場合は根拠と計画を整理して、「A事業をはじめてもよろしいか」という起案を行い、上司と組織の長の了承を得て、A事業をはじめることができるわけです。
極端な話をすれば事務用品として100円の消しゴム1個を買うときも同じように起案が必要です。
そして、この起案書のこと、もしくは決裁終了したものを綴ったものを簿冊・原本・原議と言います。
なぜ整理・保存するのか?
私の市役所では、ある事業に関する一連の決裁文書等をファイリングしたものを簿冊とよぶ、と言いましたが、なぜ決裁をして、なぜファイリングするのでしょうか?
それは、組織において形成された意思の内容および意思の形成過程を文書の形で記録に残すことが必要であるからです。
かんたんに言うと、後任者や第3者が時間がたってから振り返ってみて、
「なぜ事業をはじめたのか」
「どの予算でいくら掛けて」
「どのようにおこなったか」
「誰がいつ決裁したのか」
「誰と協議したのか」
「事業がどこまで進捗しているのか」
などを分かりやすく確認するために、決裁文書とその根拠資料ひとつにファイリングしておく必要があるのです。というわけなので、どんな些細な案件でも大切に保管しておきましょう。
行政機関の長は、能率的な事務又は事業の処理及び行政文書の適切な保存に資するよう、単独で管理することが適当であると認める行政文書を除き、適時に、相互に密接な関連を有する行政文書(保存期間を同じくすることが適当であるものに限る。)を一の集合物(以下「行政文書ファイル」という。)にまとめなければならない。
公文書管理法 第5条2項
印刷してまとめてファイリング
決裁は、行政文書管理システムという電子システムでおこなわれますが(まだ電子決裁が普及していない自治法もあるかもしれません)、ひとつの事業に対してすべての行政文書が紐づいてるわけではありません。
例えば、工事なら1つの工事に対して、多岐に渡る起案をしますし、過去の起案を探すためにいちいち検索していたら日が暮れてしまいます。システム上、個人で起案書をPDFにしたりして、フォルダにまとめておく方法しかとれませんが煩雑だし閲覧も面倒ですよね。起案をしない協議の議事録や説明資料も一緒にファイリングする必要がありますので実務上すべて紙に印刷して管理しているのが実態なのです。
紙で保管するので、なるべく書類をバラバラに管理しないようにしましょう。例えば、工事についての書類は、簿冊+成果品+設計資料+施工中の資料、というふうにそれぞれファイルに纏めて、キャビネットに保管しましょう。ダンボールやコンテナボックスを使っても良いです。
ファイリングの形態は自由ですから、フラットファイルでもいいし、リングファイルでも何でもOK。大きい事業ならダンボール何箱にもなってしまうと思いますが、できるだけ同じファイリングにして紛失しないように保存しましょう。また、なぜか暗黙のルールとして「綴り紐」とか「こより紐」で綴らなきゃいけない文書もありますが、そこは自治体のルールに従ってください。綴り紐を使う理由は、かっこいいからです。
民間のかたでも綴り紐で綴じられた原議を見たことある人多いと思います。役所独自の文化ですかね。
ちなみに、行政書類の保存期間は、各自治体の文書管理規程で決められていると思いますので、それに従い保存してくださいね。
公務員の仕事は整理整頓すること
公務員の仕事は整理整頓することです。
公務員は業務の中身を外注することが多く、その成果品の整理や、膨大な関係事項の整理をすることが主な仕事となります。整理せずに進めている人間は公務員ではありません。と言ってもいいくらいです。
ただ単に、先輩たちが綴ってるから私も綴っておこう、ではなく、その目的を意識して何を綴って何を捨てるのか考えて整理しましょう。担当案件の書類をぐちゃぐちゃに放置して異動していく人もたまにいますが、いい大人なんだから本当にやめてください。
↑このように引き出しに書類を突っ込んでる人は危険です。起案書でなくても、必ずファイルに綴じるようにしましょう。なくしちゃいますよ。
初心者マークがついている公務員の方の参考になれば幸いです。
では今日はこのあたりで。
ありがとうございました(*’ω’*)ノシ
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