地方公務員が裁判に出廷した話

公務員の仕事

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

皆さんは裁判に出たことありますか?

私はあります。

公務員(とくに土木系)であれば、裁判に関わることはふつうよりも多いかもしれません。

そんなときのために私の体験談をお話ししたいと思います。

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裁判出廷までの流れ

私が裁判に出たのは「証人として」でした。

訴訟沙汰はたくさんのケースがありますが、土木公務員がよく対応するのは路上事故ですね。

ここでは「市役所の管理瑕疵がある路上事故で、お爺さんがコケてしまい腕を骨折した」というケースを想像してお読みください。

「瑕疵」について知らない方はこちらの記事をどうぞ。

まずは、裁判全体の流れはこんなかんじ。

示談交渉が不調
 ↓
訴訟、民事裁判へ
 ↓
答弁書と証拠をもとに口頭弁論
 ↓
陳述書をもとに証人尋問
 ↓
判決
 ↓
市役所or相手が控訴しなければ判決が確定

裁判所NAVI(裁判所Webサイト)より

ざっくりと説明していきますね。

示談が不調になってしまったら…

路上事故が起きたとき(賠償の請求がきたとき)は、道路管理員である私たち自治体職員が対応して、示談をするのですが、その過失割合に相手方が納得しない場合は、示談は不調になり、裁判所に訴えをおこされます。民事訴訟というやつです。

私が裁判に出ることになったのも、そんな事件でした。

カミノ
カミノ

自治体によっては対応方法が大きく違うかもしれませんが、まあひとつの参考程度にしてください。

呼出状(訴状)が届いたら答弁書をつくる

さて、訴えを起こされたら、裁判所から市役所へ、口頭弁論呼出状と、答弁書催告状が届きます。また、「訴状」も参考に送達されます。

訴状には、事件事故の概要と、人身事故であれば治療費など損害トータル費用、慰謝料及び裁判費用について、過失割合についての原告の言い分が書かれています。証拠として、現場写真や見積、領収書などがつけられます。

おそらくどこの自治体でも顧問弁護士にお願いして、この訴状に対抗する「答弁書」をつくってもらうことになるはずです。

基本的に、裁判は弁護士がぜーんぶやってくれます。素人がペラペラと喋れませんからね。

事情を知ってる職員がそのまま担当し、顧問弁護士へ資料を送ったり、綿密にヒアリングをうけたりします。しかし、もしかしたら裁判になった時点で法務部局に所管がうつり、法務職員が担当するかもしれません。どちらにせよ、現場対応職員がのこした「対応記録」と「示談交渉記録」をもとに、事実を確認し、市役所側の言い分をつくらなければなりません。

カミノ
カミノ

プロの弁護士に丸投げしてもいいのですが、専門的な内容は弁護士も知らないことがあります。現場をよく知る職員の意見も取り入れて争点を整理したほうがいいでしょう。

証人が必要なら証人尋問へ

裁判のなかで、裁判官が認めれば証人を呼ぶことがあります。

ひとつの証拠として「証人」です。

例えば、原告側の被害を知っている家族。どのような状況でどんな被害を受けたか、市役所職員とどんなやりとりをしたのかを説明します

そして、被告側は、事故対応や示談交渉をした職員、もしくは上司でしょう。どのような管理をしていて、事故に対してどのような対応をとったのか。原告とは何を話したのか。

誰が証人にふさわしい?

証人尋問をすることになったら、誰が証人にふさわしいだろうか。そんな話し合いが行われます(笑)

現場対応してくれたカミノさんは、現場についてくわしく話せるけど、まだ若いし、やめたほうがいいかな。やっぱり直属の上司である〇〇係長がいいんじゃないか?現場も知ってるし。でも喋りには不安があるなぁ…。それとも、一番責任をもつべき〇〇課長がふさわしいだろうか?決裁してるからとうぜん示談交渉の内容も把握してるはずだし…。

こんな話し合いですね。

そして、私が出ることになります。

カミノ
カミノ

まともな自治体であれば若い女性職員は出廷させませんので安心してください。

証人呼出状が届く

裁判所から職場の私宛に「証人呼出状」が届きました。

証人尋問はさきほどの説明のとおり事前の打ち合わせをしてから、裁判所に申し入れをしますので、いきなり呼出状が届きビックリするってことはないはずです。

呼出状には、「証人としてお尋ねしたいことがありますので、期日と場所(○○号法廷)までおいでください」とだけ書かれてあります。

顧問弁護士とのリハーサル

裁判所に提出する「陳述書」を作成します。

ぶっつけ本番はこわいので、顧問弁護士との陳述のすり合わせとリハーサルをおこなったりします。どれくらい入念にリハーサルをするのかは弁護士によるかと思いますが、0~1回だけだと思います。

間違ったことは発言できないので、記録と記憶をすり合わせて、かんぺきに覚えていることだけを話すようにしましょう。

カミノ
カミノ

覚えている事実を述べるのが、証人尋問ですから何度リハーサルをしてもあまり意味がありません。弁護士費用も高いですしね!

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裁判当日

さて、いよいよ証人尋問当日です。140万円以下の事件なら、簡易裁判所で扱われます。140万円を超えるなら地方裁判所です。

廊下に各法廷への扉があり、入ってみると法廷はこんなかんじ。

裁判所NAVI(裁判所Webサイト)より

代理人が弁護士のことですね。裁判は弁護士がやり合うのです( ゚Д゚)

まず、法廷に入った感想は「せまっっ!」でした。勝手にもう少し広いイメージを持っていたのですが、入ってみるとふつうの小部屋でした。そりゃ無駄なスペースいらないもんな。

登場人物は、

裁判官1人
書記官1人

原告側証人
原告側弁護士

被告側証人(私)
被告側弁護士

あとは傍聴席に上司的な人と、法務職員が来てくれました。

裁判が始まる前に

始まる前に、名前・住所・生年月日・職業を記載します。

そのあと、宣誓書の読み上げをしました。良心に従い、虚偽の陳述をしないてきなやつ。めっちゃ驚いたんですが、これはお互いの証人が並んで宣誓するのです。なんで訴えてきたやつと隣り合わせで声を合わせて宣誓しなきゃならないの。意味わからん( ゚Д゚)

宣誓書の例

証人尋問の流れ

原告側の証人尋問から行いました。1時間くらい。

証人尋問の流れは、陳述者側の弁護士から質問(主尋問)→相手側の弁護士から質問(反対尋問)
これを各人が質問が無くなるまでくりかえします。お互いの質問のなかで、証人の答えにおかしいところなどがあれば確認で追加の質問をしたりするわけです。また、裁判官からの質問も途中で入ってきます。私のときは2~3往復ありました。

小さい裁判でもながいときは証人1人に対して2時間くらいかかるそうです。私の時は、証人1人に対して1時間くらいで、合計で2時間かかりました。

証人尋問のポイント

大事なポイントはこちらです。

・弁護士とリハーサルをしておくこと。

・わからないことは「わかりません」「知りません」「記憶にありません」

・「わからないけどたぶん○○だと思います。」「おそらく○○じゃないかな」という発言はしないほうがいい。

・事実を述べる。当時思ったことを述べる。今思う意見は言わない。裁判官から意見を聞かれたときは答えます。

ウソは言ってはいけません。

職員としては、勝ち負けというよりも、誠心誠意、事実を述べること。あとは裁判官が判断してくれます。

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裁判を受けての感想

裁判において、「争点」が大事だと思いました。

路上事故で目撃者がいなければ、本当にそこで事故があったのか本人にしか証明ができません。例えば、道路の段差でつまづいて転んで、腕を骨折した。本当にそこで転んだのか?

事故の有無自体を争点にするのか、それとも、事故はあったこととして市役所の管理瑕疵を争点にするのか。どちらを争点にするかでまったくシナリオが変わることが分かると思います。

だから、どんな裁判でも争点は大事です。

また、証人尋問で呼ばれるのは事故から数年経ったあとのことです。

たとえば、5年前の出来事を忠実に思い出すことは難しいと思います。どんなに頭がいい人でも、事故が起きたとき・その後の対応の時系列や発言内容を正確に覚えている人はいません。逆に頭が良くて「自分は間違えない」と思ってる人こそ、最初に「右」と思い込んだことを「左だったかも」と疑うことができないのかもしれません。そんなことを思いました。

カミノ
カミノ

現場維持部門であれば事故は年間10回以上はありますから、いちいちすべての時系列や発言を覚えていられないのです。

あとは、弁護士ガチャ、裁判官ガチャです。

聞こえが悪いようですが、運の要素も大きいということ。

弁護士は、本気で勝ちにいくような優秀な熱血漢は市役所担当はしないのではないかと思います。淡々と事実を確認して、原告に矛盾があればつく。それだけですね。

裁判官はやはり頭がいいし、要点をすぐにつかんでくれます。ただし、裁判官が判決を決めるわけで、人情型の市民寄りな裁判官だったらこわいな…という気もしました。運ですね…。

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おわりに

長々となってしまいましたが、裁判の体験談をなるべく赤裸々に書いてみたつもりです。

示談交渉や訴訟事件は、このくらい身近な存在だということが伝われば幸いです。

実践してほしい大事なことは、現場対応の記録、示談交渉の記録をこまかくつけておくこと!

いつ、誰が何をしたのか?誰に何を話したのか?現場はどんな状態だったのか?資料をつくったのは誰なのか?判断したのは誰なのか?

経験を積まないとむずかしいですけどね。

カミノ
カミノ

覚えてるかぎりのことですので、間違いがあったらすみません。

今回説明したような路上事故であれば、過失によって職員個人が訴えられるということは考えにくいですが、万が一ポカをやってしまい個人が訴えられる可能性もあります。

そんなときのために、公務員賠償責任保険というものがあります。よく知らない方はこちらの記事をどうぞ(*’ω’*)

 
また、裁判に興味を持たれた方は、裁判所のWebサイトにわかりやすいパンフレットがありますので見てみてください。

各種パンフレット | 裁判所 (courts.go.jp)

では、今日はこのあたりで。

またぬん(*’ω’*)ノ

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