こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
土木工事でよく行われる鉄筋工事。
標準仕様書を使う建築とは違い、土木では発注図面で「配筋図」を作成し、図面通りに施工してもらいます。
ここでは、配筋図の読み方についてざっくり解説します。
鉄筋の基礎知識
鉄筋とは、金属をロールで押しつぶして伸ばして棒状に加工した鋼材です。
主に、SD295とSD345が使われます。
鉄筋の基礎知識はこちらの記事で解説しています。
基礎用語などが分かっていないと配筋図を見ても「???」になってしまうので、
まずは基礎だけ抑えておきましょう(*’ω’*)
配筋図の読み方
さて、本題の配筋図についてですが、公務員は配筋図をイチから作ることはほぼないと思います。
コンサルが描いてきた図面をチェックしたり、修正したりすることが多いはずです。
ということで、ここでは配筋図の「読み方」にポイントを絞って解説していきます。
例えば、ボックスカルバートの配筋図はこんな感じです。
書かれているものをパーツ毎に見ていきましょう。
一般図
一般図は、土木構造物の完成姿を表したもので、幅・延長・高さ・厚みなどの代表寸法が書かれています。
配筋図ではありませんが、イメージしやすくするために配筋図と同じ1枚に収まれば入ってたりしますよね。
例では、内空4mのボックスを土被り4mで据える設計です。地下水面が深さ2.1mのところにあるので、排水をしながら施工することが読み取れます。地盤条件・改良の有無については確認できません。別の図面や計算書があると思われます。
主鉄筋組立図
丁寧な図面でしたらこのような組立図まで書かれています。
主鉄筋組立図があるのは、監督者にとってはわかりやすいですね。たしかに私くらいのポンコツですと断面図などを見てもサッパリです( ゚Д゚)
S1、F1の主鉄筋の継手が同位置になると弱くなってしまうかもしれないので、千鳥配置にするために、①→②→①→②の配置順序になっているようです。
どこまで図面で指定するかは、発注者の判断になります。図面通りに施工する必要があるので、あまり無意味なところまで指定する必要はありませんから、一般的なもの以上の図面を作る場合は、省略できるか考えた方が良いと思います。
断面図など
実際の配筋を示した図面です。ここの例では、「断面図」「頂版」「側壁」「底版」があります。
細かすぎて、全然わかりませんね/(^o^)\
S1、W1、F1などが鉄筋の番号で、後述の鉄筋表とリンクします。右側の20×200=4000とは、200mmピッチで平行に配置していき20個の隙間ができるので合計で4000mmという意味です。鉄筋は21本必要になるので本数を間違えないように注意してください。
寸法・ピッチがおかしくないか、必要な箇所に鉄筋が入っているか、使ってる鉄筋No.が間違っていないかなどをチェックします。
照査されたはずの成果品図面も普通に間違ってたりしますので、面倒ですがチェックしておきましょう。
断面図などの具体的な書き方はこちらで解説しました。
設計条件
設計に用いている条件を列記しています。
配筋図に限りませんが、設計計算のための基本事項ですから、コンサルが設計に取り掛かる前に、必ず打合せして確認すべきものです。「一般的には○○だから」という思いこみで設計すると全部やり直すことになってしまいます。
設計条件を図面に示さないこともありますが、私はなるべく示した方がいいと思います。
鉄筋加工表
鉄筋加工表は、加工されたそれぞれ鉄筋1本の寸法と、使う本数を示したものです。
例では、頂版の鉄筋はS(スラブ)の5種類、側壁はW(ウォール)の3種類、底版はF(フーチング)の5種類の加工された鉄筋を使うことがわかります。
F1だけD22ですから注意が必要そうですね。
実際に、図の鉄筋を数えてチェックします。横計算も間違ってないか長さの数値をチェックします。
鉄筋質量表
さきほどの鉄筋加工表から、各鉄筋の本数と長さがわかりました。
それに単位質量(kg/m)を使って、各鉄筋の質量を求めたものが鉄筋質量表です。
材料表
ボックスカルバートを造るための主材料であるコンクリート、鉄筋、そして型枠の数量を整理したものです。コンクリートと型枠の計算式はこの図面には書かれていないので、別途構造計算書などがあり、そちらで算出されています。
積算では、この質量を入力します。「鉄筋工 D22 0.242t /1m」みたいな感じです。
鉄筋加工・継手寸法表
例では、どこの箇所か分からない加工と継手寸法表が書かれています。
これは示方書などの数値をそのまま持ってきたものだと思います。
例でいえば、曲げ加工はコの字の鉄筋(形式2)やハンチ筋などで使います。継手は主鉄筋S1とF1をくっつけるときに使われます。
曲げ加工のときのRや余長、重ね継手のLを満たさなければ耐力の保証ができないので厳守しましょうという意味です。
また、継手が複数あるときは、各鉄筋の継手の方法や寸法が具体的に示されることもあります。
おわりに
ハイ、配筋図の読み方を解説してみました。
設計コンサルや、作成者によって、様々な配筋図が存在します。一応、ここに書いたことを理解しておけば、だいたいの図は読み取れるはずです。
参考になれば幸いです。
最後に、土木施工管理技士の過去問を貼って終わりたいと思います。
問題)下図は、ボックスカルバートの配筋図を示したものである。この図における配筋に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
①頂版の主鉄筋は、径16mmの異形棒鋼である。
②頂版の下面主鉄筋の間隔は、ボックスカルバート軸直角方向に250mmで配置されている。
③側壁の外面主鉄筋の間隔は、ボックスカルバート軸直角方向に250mmで配置されている。
④側壁の内面主鉄筋は、径13mmの異形棒鋼である。
わかりましたか?答えは下へ。
では、今日はこのあたりで。
またぬん(*’ω’*)ノ
正答②
250mmではなく、「125mm」が正解です。頂版図の下面側の右側8×125から読み取れます。
コメント
配筋図の読み方、このサイトでかなり理解が深まりました。ありがとうございます。
1級土木の過去問ですが、②以外の読み取り方を教えて頂けませんか?③の正誤の判断がつかないです。。どこから判断すればよろしいでしょうか?
たきんさんへ
3は、側壁の図面したのほうの寸法を見てみると、外面は8×125=1000とあります。
これだけ見ると125ピッチのように思えますが、図をよく見てみると、主筋S1・F1の間に別の鉄筋がS3・F3が入っています。
主筋だけのピッチは250ということで、3番の選択肢は正しいと分かります。
この画像が見づらいので間違えても仕方ないと思います。
試験や実務ではもっと図面が見やすいのでしっかり観察して主筋がどれかを見抜きましょう。