線路近接工事には気を付けよう!

土木全般

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

線路の近くでおこなう作業には注意が必要です。

ここでは線路近接工事について発注者の立場から解説します。

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線路近接工事とは?

JRなどの鉄道線路の近くでおこなう作業は線路近接工事と呼ばれ、計画段階で鉄道事業者と協議をおこなう必要があります。

では、なぜそのような協議が必要なのでしょうか?

何に基づいて実施しなければならないのでしょうか?

理由を次の3つの視点で説明します。

・鉄道の安全、労働者の安全のため

・適切な積算施工をするため

・委託工事の範囲を確認するため

鉄道の安全のため

もちろん本質的な目的は「鉄道の安全のため」と「工事作業員の命を守るため」です。

安全管理を疎かにしていると、施工機械が列車に触れたり、線路上空の高圧電線で感電したり重大な事故が起きてしまいますよね。また、事故により長時間列車を止めたりすれば多くの利用客に影響が出てしまいます。

そのような事故がないように、施工機械は適切なものか、離隔はとれているか、列車見張員などの資格者を配置するか等の具体的な内容を協議して決めます。(審査されます)

協議の根拠は建設工事公衆災害防止対策要綱(国土交通省告示第496号)です。また、これに倣って、各自治体などの共通仕様書にも同じようなことが規定されています。

建設工事公衆災害防止対策要綱(土木工事編)

第6章 軌道等の保全
第 40 鉄道事業者との事前協議

2 発注者は、鉄道敷内又は鉄道敷に近接した場所で土木工事を施工する場合においては、鉄道事業者に委託する工事の範囲及び鉄道保全に関し必要な事項を鉄道事業者と協議しなければならない。

適切な積算・施工をするため

「だいたいの離隔をとるし、今の計画でも鉄道には影響ないから大丈夫っしょ」

と考えてるそこのアナタ!

あかんで!!

自分たちは安全だと思っていても鉄道事業者の基準ではそうではないことがあり、協議をすると鉄道事業者からの指示により工事の仕様が変わることがあります。

具体的に言うと、工事設計図を変えたり、施工機械を変えたり、作業箇所を変えたり、資格者を配置したり、レールの計測管理をしたりする必要が出てくるのです。

資格者とは…

おもに工事管理者、列車見張員のことを指します。工事管理者は現場代理人みたいな感じで鉄道事業者とやりとりをする責任者で、列車見張員は文字通り列車を見張る人です。他にも多様な資格者がありますが、鉄道工事に関連するものです。1年ごとに講習を受けて更新する必要があったりするようですね(あまり私は詳しくありません。)
参考:JR東日本 [資格認定講習] | 一般社団法人日本鉄道施設協会

また、例えば矢板打ちや地盤改良工をするときなどは「鉄道構造物に対する影響を検討してください」と指示されることもあります。その場合は設計時に影響検討をしなければいけません。

委託工事の範囲を確認するため

さきほどの要綱にもう一つ大事なことが規定されています。

「鉄道事業者に委託する工事の範囲を鉄道事業者と協議しなければならない」

つまり、工事自体を鉄道事業者に発注監督やってもらう可能性があるのです。鉄道事業者へ依頼するかたちで契約(協定)を結ぶ工事を委託工事と呼びます。(鉄道事業者から見れば受託工事ですね。)

委託工事の対象範囲がどこからどこまでになるのか明確な基準はありません。線路を含めたところの道路改築工事や跨線橋の橋脚・基礎工事など、ケースバイケースで鉄道事業者が「鉄道施設に多大な影響があるから自社でやる必要がある」と判断すれば、その部分は委託工事となります。

委託工事となれば、予算措置や契約事務、支払の約束事など決めなければいけないことが沢山出てきますし、事業計画そのものが変わる可能性もあります。

カミノ
カミノ

早めに鉄道事業者へ相談しましょう。

建設工事公衆災害防止対策要綱

第6章 軌道等の保全
第 40 鉄道事業者との事前協議

2 発注者は、鉄道敷内又は鉄道敷に近接した場所で土木工事を施工する場合においては、鉄道事業者に委託する工事の範囲及び鉄道保全に関し必要な事項を鉄道事業者と協議しなければならない。

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具体的にどんなケースがあるの?

では、線路近接工事にはどんなものがあるのか、JRのホームページから引用して説明します。

例えば・・・

沿線にクレーンを停めて作業する場合
列車に直接当たったり、上空の高圧電線に触れてしまったりしますね。

JR東海Webサイトより

沿線でバックホウ掘削をする場合
掘削の影響で軌道敷が沈下したりレールがゆがんだりしますね。レールは数ミリ単位で管理されています。

JR東海Webサイトより

トンネルの上での杭打ちや掘削作業をする場合
杭打ちの振動等や圧力の影響があるかもしれません。

JR東海Webサイトより

高架橋周辺での掘削作業をする場合
高架橋の橋脚が傾いたり沈下したりするかもしれませんね。

JR東海Webサイトより

これは一例です。

市役所の工事で言えば、線路付近の道路改築工事舗装工事が多いと思います。埋設管工事や、橋梁の補修・補強工事、足場を設置する建築工事、その他にもスタッフを用いての測量や樹木伐採などの軽作業でも対象となります。とにかく近接の工事は全部あやしい!事前の相談をしなきゃいけない!と思ってください。

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近接協議のながれ

JRを例に、近接協議から工事までの流れをざっくり説明します。地方の小さな鉄道はJRのルールを準拠していることが多いと思います。

1.現地調査で現場条件の確認
  ↓
2.鉄道事業者へ事前相談

(近接工事に該当することを確認)
  ↓
3.鉄道担当者と現地立会(必要に応じて)
  ↓
4.高圧電線の防護の必要性を確認。(必要に応じて)
あとから鉄道への支払いが発生する。
  ↓
5.協議内容をあらかじめ決定
  ↓

6.協議依頼書を提出
  ↓
7.協議の回答書を受領
  ↓
8.覚書の締結
  ↓
9.工事の発注・施工

流れはだいたいこんな感じですね(*’ω’*)
もし、委託工事の範囲があるならもっと面倒くさいことになります。

カミノ
カミノ

役所内に前例があるはずなので、相談前に手続きのながれは確認しておきましょう。

参考にJR各社の線路近接工事のページを載せておきます。北海道と四国は該当ページが見つかりませんでした。

(JR東海)線路近接工事のご案内

(JR東日本)線路近接工事安全対策のお願い

(JR東日本東京支社)線路近接協議のご案内

(JR西日本)近接工事に関するお願い

(JR九州)鉄道近接工事による事故 | 安全へのお願い

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おわりに

ということで、線路近接工事について解説しました。

今回は鉄道だけの説明でしたが、「軌道」も同じように協議が必要です。建設工事公衆災害防止対策要綱に規定されています。

関連記事:鉄道と軌道は何が違うの?

とにかく鉄道に限らず、計画段階で関係機関や地元関係者をあぶりだしすぐに相談・ヒアリングに行くようにしましょう!

では今日はこのあたりで。

またぬん(*’ω’*)ノ

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