公園の種別

公園

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

自治体の土木系公務員が管理している公園は大体は都市公園です。

でも、全国には都市公園以外の公園もたくさんありまして、たまに関わることがありますので知っておくと役に立つかもしれません。ここでは公園全体の種別(管理者・根拠による)について説明します。

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公園は綺麗に分類できない

いきなり「え?」って話ですが、ぶっちゃけキッチリ分類することは不可能です。

「公園を大きく分けると、営造物公園地域性公園の2つに分けられます」と、国や自治体のホームページには書かれています。しかし、営造物という言葉には「行政の」というニュアンスが含まれますので、ここでは個人私有地や民間事業者の公園は「その他」に区別しようと思います。

定義もあやふやだし、いろんな根拠法といろんな施策で全国各地に作られてるので、非常に複雑で全国一律に線引きはできません。でも、できなくていいと思います。それだけ多種多様な公園があったほうが面白いからです。そういう前提で読んでみてください。

カミノ
カミノ

あえて、定義を明確にせずに「一般的に公園と認識してるもの(緑地含む)」の種別を分けてみます。

公園・緑地の種別

私なりに管理者や根拠法によって分類したものが下の表になります。私たちが業務で関わるときに基本的かつ大事なポイントです。

大別管理者(所管)名称根拠法
営造物公園環境省国民公園皇居外苑、新宿御苑、京都御苑環境省設置法
国交省国営公園(都市公園)国営昭和記念公園都市公園法
自治体都市公園街区公園など
児童遊園児童遊園児童福祉法
その他の営造物公園特定地区公園
条例設置公園
農村公園・農業公園
団地公園
河川公園(砂防公園)
港湾緑地など
個別法、条例
地域性公園環境省国立公園知床国立公園自然公園法
都道府県(指定は国)国定公園南房総国定公園
都道府県都道府県立自然公園府立北摂自然公園
その他の公園民間事業者など民間の公園花見山公園
カミノ
カミノ

私独自の分類です。原則こんな感じだと思う。例外もあるかもしれません。

では、それぞれの公園について簡単に説明していきますね~。

営造物公園

大別その1。営造物公園は、国や自治体が一定区域内の権原を取得して目的にあうように創った公園です。人工施設を有した行政所管の公園のイメージ。

権原(けんばら)とは、ある法律行為または事実行為をすることを正当とする法律上の原因をいいます。都市公園でいえば、土地を都市公園として使用することを正当とする法律上の根拠(土地の所有権や賃借権など)のことです。

国民公園

皇居外苑、新宿御苑、京都御苑の3つは国民公園と呼ばれる種別になります。千鳥ケ淵戦没者墓苑も含めて「国民公園等」と呼ばれるみたいです。

環境省設置法に基づき、国が設置して、環境省が管理しています。後述の国営公園との違いは所管ですね。ひっくるめちゃえばいいのにって思うけど、まあ経緯とか目的が違うんでしょうね。

国営公園(都市公園)

国が管理する都市公園です。都市公園法に基づき国土交通省が所管します。細かい話をすれば、イ号とロ号の国営公園があります。どちらにせよめっちゃ広大な都市公園ですね。

イ号国営公園:都市公園法第2条第1項第2号イに基づくもの(広域なもの)
 【例】国営ひたち海浜公園(茨城県)

ロ号国営公園:都市公園法第2条第1項第2号ロに基づくもの(国家的記念事業や文化的資産になるもの)
 【例】国営吉野ヶ里歴史公園(佐賀県)

都市公園

きました。自治体が管理する都市公園です。

市街地にある普通の公園はコレで、私たち土木技師(造園技師)が管理しています。都市公園法に基づく公園で、関係法令が適用されます。都市公園と言うくらいですから、都市計画上の公園なんですが、じつは「都市計画区域内の都市計画施設である公園」だけではありません。説明がむずかしいので今回は割愛しますが…(すみません。)

全国にコンビニの2倍以上の約11万箇所あるらしいΣ(・ω・ノ)ノ!
種類も豊富で、大きく分類すると住区基幹公園、都市基幹公園、大規模公園、特殊公園、緩衝緑地等があります。

都市公園の数(R1年度データ) PARKFUL Webサイトより引用

細かく分けるともっと多いけど。市役所職員が管理するところですから、別記事でもっと詳しく書こうと思います。なんでこんなに沢山あるのかって話、開発公園にまつわる課題も。

児童遊園

児童遊園は児童福祉法に基づく児童の遊び場です。

都市公園との区別はつきづらいですが、児童遊園は狭いスペースにブランコ・すべり台・砂場などの遊具メインで、子供が自由に遊べるようになっています。住宅街に遊具スペースがあるとありがたいですよね。私も子供ができてから公園によく行くようになりましたが、遊具で遊ぶ大切さを身に染みて感じました。

基本的に行政管理ですが、地域によっては完全に地元設置・管理となっている場合もあるかもです。「都市公園でいいじゃん」という考えのもと都市公園に統廃合が進められている自治体もあると思います。

ストリートビューで探してみたコチラ↓の児童遊園は広めですね。

江東区の児童遊園 東京都 – Google マップより引用

その他の営造物公園

都市公園・児童遊園以外の自治体が管理する公園を紹介していきます。一括りにしましたが、じつはめちゃくちゃ種類があります💦 知ってる限り列挙してみますが、私も詳しくないので、まあそんなものもあるんだなー程度で。(場合によっては都市公園に該当するものがあるかもしれませんがご了承ください)

特定地区公園(カントリーパーク)

都市公園の基準は適合できないけど、農山漁村地域の生活環境をよくしたいってときに整備される公園です。所管は国交省なので、特定地区公園を含めて「都市公園等」と整理されることも多いです。

都市計画区域の指定がない市町村が、都市公園の「地区公園」を準用して「特別な地区公園(標準面積4ha)」をつくるイメージ。ルールについてもそのまま流用して条例化している自治体が多いと思います。

整備実績では、例えば広島県の場合は、↓の公園があります。

・大平山公園(呉市)
・鹿田公園(江田島市)
・豊平総合運動公園(北広島町)
・白竜湖スポーツ村公園(三原市)

白竜湖スポーツ村公園 広島ニュース 食べタインジャーWebサイトより引用

条例設置公園

特定地区公園以外の条例で設置している公園です。いろんなパターンがあるみたいで一概には言えないのですが、イメージで言えば、都市計画区域外で、特定地区公園(カントリーパーク)でもない公園ですかね。

利用するうえで都市公園・特定地区公園との違いは無いので、見た目で種別を判断することはできないと思います。

具体例として、大阪府吹田市の日本万国博覧会記念公園が挙げられます。大阪府が条例に基づき公園を設置しています。

万博記念公園の太陽の塔 るるぶWebサイトより引用

農村公園・農業公園

農村公園・農業公園は、農林水産省の農村生活環境基盤整備事業・農村総合整備モデル事業などで整備された公園です。農業集落に住む人のための公園ですね。「あれ?さっきも特定地区公園という農業集落向けの公園があったぞ?」と思った人はえらい。あちらは国交省。こちらは農水省。つまり自治体の農林部署などが管理することになります。地域密着型の公園なので、小さいものは地元組織が指定管理者として管理することが多いかもしれません。

ちなみに、農村公園という呼称は他の種別(たとえば条例設置公園)にも使うこともあると思います。

写真は山形県上山市にある久保手農村公園

久保手農村公園 かみのやまさいぐべWebサイトより引用

団地公園

市営団地や県営団地などの中に公園があります。団地って周辺の道路も持ってたりするんですよね😂 当然自治体の所有ですが、土木部署ではなく団地を所管する建築系部署が管理していたりします。

河川公園・砂防公園

河川管理者が河川敷などに設置している公園もあります。河川法に基づく河川環境整備事業でつくられますが、河川敷に都市公園として占用しているケースもあるかと思います。

砂防公園もあります(砂防公園という名称が使われるかは知らないけど)。砂防法に基づき、砂防指定地内の環境整備でつくられます。渓流の環境保全みたいな意味合いが強いです。

長崎市のそとめ神浦川河川公園 ながさき旅ネットWebサイトより引用

港湾緑地

港湾緑地とは、港湾の環境整備事業でつくられた施設です。海浜、植栽、広場、休憩所を含みますので、港にちなんだ「○○公園」とか「○○広場」などの名称になってると思います。港湾緑地はだいたい広いですし、ゆったりした空間でのんびり海も観ることができて私は大好きです😊(笑)

JR尾道駅前港湾緑地 広島ニュース食べタインジャーWebサイトより引用

他にもちょこちょこあるかもしれませんが、だいぶ網羅できたのでは? 自治体が管理している、都市公園以外の公園もいろいろあるってことですねー。

地域性公園

大別その2にいきます。

地域性公園は、権原に関係なく、その区域を公園として指定し、土地利用の制限や一定の行為の禁止・制限によって自然景観を保全するための公園です。ひっくるめて「自然公園」と呼ばれているものですね。都会から離れた自然豊かな公園のイメージ。

自然公園法に基づき、指定・管理されていて、区域内は行為制限ルールなどが厳しいので注意してください。自然公園区域よりもっと厳しいのは自然保全区域です。

国立公園

国立公園は、国が指定し、直轄管理する超広大な公園区域です。

例:知床国立公園

国定公園

国立公園に準じる景勝地として国定公園を指定しています。管理は都道府県です。似たような名前が多くてややこしいですね💦

例:琵琶湖国定公園

都道府県立自然公園

都道府県が指定したものです。

例:都立滝山自然公園

自然公園の3つは分かりやすい(笑)さくっと紹介しました。私のような市役所職員はあまり関わることがない公園たちですね。

その他の公園

大別その3。ここでは民間の公園を「その他の公園」として分けました。

公園の定義によってはショッピングセンターや商店街やデバートなどの子供を遊ばせる場所(施設・設備・空き地)なども公園とみなすこともできますが、ここでは、屋外にあって、土木や造園が携わる施設に限定しています。

民間の公園

民間事業者が公衆に開放している公園です。個人の場合もあるみたいですね。公園の定義にもよりますが…たとえば、お金持ちが私財をはたいて公園っぽい形態の空間を市民に開放していたら、それは公園でしょう。

わたし的にはマンション内の公園とか、ビルの公開空地も場合によっては公園にあたると思っているので、ここに分類されるでしょう。さらに細かく区別する意味は無いのでしませんが😂

ひとつだけ具体例を挙げると、「福島に桃源郷あり」と称賛される花見山公園は、個人の所有地です。花木農家の方が70年以上にかけてつくりあげた美しい花木と福島市街地が一望できる景色が魅力で、全国各地からたくさんの人々が訪れる福島県屈指の観光名所となっています。

花見山特設サイト | 福島に桃源郷あり

こんな立派な公園が個人の所有地なんてビックリですよね。

民間動物園

動物園・植物園の多くは都市公園法・都市計画法上の「特殊公園」の扱いになりますが、動物園の2割くらいは民間企業が設置・運営していますので、それらは都市公園には当たらないと思います。たぶんね💦法の適用可否は大事なところなので「例外もあるかも」という意識を持ってたほうがいいでしょう。

ちなみに、動物園・植物園は博物館法も絡んできます。

おわりに

公園の種別を見ることにより、全体像と色んな目的・根拠法があるんだなということが分かっていただけたかと思います。

国交省は「緑地」も公園と同じカテゴリーで整理していますし、一般的にはオープンスペースや広場・庭園という言葉も公園と近しい意味で使われますね。それくらい「公園」の定義は難しいということですが。

グリーンインフラとかPPP/PFI(官民協働・パークPFI)などの新しい概念・取組が出てきてますので、その基礎資料としておさえておきましょう。

では、市役所職員が一番関わることになる「都市公園」についてはまた次回。

道路と河川の分類についても記事を書いてますので是非読んでみてください↓

バイバイ(。・ω・)ノ゙

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