発注者と受注者は対等ではない

エッセイ

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

過激なタイトルですね😅一応書いておきますが、当然契約上は発注者と受注者は対等な存在です。しかし、仕事を進める上では対等にはならない、というかそうなってはいけないと私は思います。ここではそんな心構えの話をしたいと思います。

土木工事をイメージして書いていきますね。

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発注者は監督する立場である

まず、発注者は受注者を監督する立場だということ。「監督」とは何でしょう。goo辞書にはこう書いてありました。

・取り締まったり、指図をしたりすること。また、その人や機関。

・法律で、人または機関の行為が、その守るべき義務に違反していないか、その目的達成のために適当か否かを監視し、必要なときには指示・命令などを出すこと。

goo辞書より

ここに書いてある通りですね。発注者の監督業務では受注者を監視しなければいけない。そして、受注者が間違ったことをしていたら指示や命令を行う義務があり、その権限が与えられています。

監視というと大袈裟に聞こえますが、現場の施工状況と出来形を確認したり、書類をチェックすることですね。間違いがあればまずは口頭やメールで修正のお願いをして、それでも是正されないようなら工事協議書で指示を行います。

なぜこのような権限が与えられているかというと、お金を支払って目的物を作ってもらっている立場だからです。例えば、個人宅の新築工事を契約したときも同じように、図面・仕様書・現場説明と違うモノを作っていたら「これ違いますよ」って施主が修正指示したりできると思います。

また、とくに役所の土木工事では市民の税金を使って工事をしてもらいますから、発注者の責任は重く、その権限も広く認められているのです。

カミノ
カミノ

受注者には実質的にはこんな権限はありませんよね。

もし、できるだけ対等な立場になるなら

契約上は発注者と受注者は対等な立場です。契約とはそういうものですが、それはあくまで権利と義務をお互いに行使する・できるという意味で、じつのところ権利と義務の幅は違いますよね。

世間では「平等・対等=正しいこと」みたいな意識が強くなってて、だからこそ、危うさをはらんでいると私は思います。

もし、土木工事を進める上で、発注者と受注者は対等な立場だと意識するとどうなるでしょう。

担当者は正しい指導をできなくなってしまいます。ビジネスで完全に対等なことはほとんどありません。細かいやりとりは担当者間だけで行われ、その力関係のバランスは、担当者の年齢・性別・役職・業界経験・人脈・喋りのうまさ・その状況により簡単に傾くからです。

私がわざわざこの記事を書くのは、力関係が良くない状態になってきていると思うからです。昔みたいに横暴な監督員や検査官は減ってきていると思いますし、それは良い事なのですが、逆に監督員の力が弱くなってきている気がします。

現在、建設業の高年齢化が問題になっているように、受注者側の現場代理人・主任技術者はほとんど40代以上で、50〜60代のことも多いです。それに対して発注者側の担当者は新人から中堅まで20〜30代がほとんどだと思います。50代のベテラン施工者や社長から高圧的に迫られた時に萎縮してしまうこともあるのではないでしょうか。修正指示を言い出せないこともあるのではないでしょうか。

そんなことがあってはいけません。だから盲目的に「受発注者は対等」と信じ込むのは危険だと思います。発注者は間違ったことには厳格に対処し、指示・命令も辞さない覚悟が必要なのです。

目的が違うがゆえに…

ちなみに、そもそもなぜ発注者が権限を持たせられているかというと、両者は目的が違うからです。発注者は正しくインフラを作ってもらい引き渡してもらうことが目的です。受注者はインフラの品質に加えて、利益も大事な目的になります。生活するために利益を出すことが必要ですから、業者によっては利益が最優先になることもあります。赤字になるなら仕事しない、それが当たり前ですよね。この目的の違いから、発注者が受注者を監督しなければいけない仕組みになっています。

私のブログやツイッターを見に来るような意識が高い業者さんはしっかり品質のことも考えてくれてると思います。しかし、そうではない業者さんもたくさんいます。たくさんは語弊があるのでは?と思うかもしれませんが、事実多いです。施工不良もあるし、品質度外視の提案をされることもよくあります。

正しく監督するために

発注者はときには厳しい態度で受注者に接しなければいけませんが、そのときの発言は強制力を伴います。誤ったことを指示してしまえば受注者に損害を与えてしまいます。私も仕様に書かれていないことや誤ったことを指示する職員を何度か見てきました。

発注者と受注者は対等ではない。しかし、それは、正しく監督するために必要な立場のギャップであり、その権力の上にあぐらをかき何も努力しないのは職務怠慢でしょう。

正しい知識で指導・指示するためには日々の勉強が欠かせませんね。仕様書の内容を理解する、関係法令を知る、土木の技術力を身につける。そういう心構えを持ちましょう。わたしのブログが自己研鑽の手助けになれば嬉しいです。

また、受注側の現場代理人たちとは適度な緊張関係を保つことも大事だと思います。馴れ合い過ぎず、仲はいいけど、施工についてはビジネスライクに。お互いに指摘したり依頼できる関係が理想です。

ということで、受注者さんにもいろいろ質問することも多いですが、ご協力よろしくお願いします。

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