計画高水位・HWLとは?

河川

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

計画高水位、またの名をHWL(ハイウォーターレベル)。

河川関係でよく聞く単語ですね。土木専門ではない事務職のかたでも耳にすることは多いと思います。

概要だけ解説したいと思います。

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計画高水位とは

計画高水位とは、計画高水流量が河川改修後の河道断面(計画断面)を流下するときの水位です。

簡単に言うと、かなり大きい洪水の時に川を流れていく最高水位のことです。

計画上では計画高水位よりも高い水位にはならないということですね。このときの「計画上」とは計画規模の降雨を意味しますから、万が一それ以上のとんでもない豪雨が降ったとしたら超過洪水となり、想定外の越水や破堤が起きてしまうかもしれません。

計画高水位は、堤防や護岸などの設計の基本となる水位です。また、橋梁などの占用物の設計にも大きく関わってくることになります。

図面ではH.W.L.と表記されまして、会話のなかではハイウォーターと呼ばれています。

カミノ
カミノ

ここではHWLと書きます。

関連する専門用語

↑の説明でも専門用語が出てきてよく分からない方もいるかもしれません。

関連するワードをご紹介しておきます。

計画高水流量

計画高水流量は、基本高水流量からダムなどの各種洪水調節施設での洪水調節量を差し引いて求められます。

実際に洪水時に河道を流れる水量ということですから、河道を建設するときに基本となる流量であり、超重要な数値です。

最上川電子大辞典より

基本高水・基本高水流量

基本高水(きほんたかみず)は、洪水防御計画で対策の目標とする洪水のハイドログラフ(流量が時間的に変化する様子を表したグラフ)のことです。言いかえるなら、流域に降った計画規模の降雨がそのまま河川に流れ出た場合の河川流量を表現しています。

基本高水流量は、このハイドログラフに示される最大流量から決定された流量の値です。

計画規模の降雨

計画規模とは洪水を防ぐための計画を作成するとき、対象となる地域の洪水に対する安全の度合いを表すものです。河川計画の目標とする大前提の値となります。

計画規模=計画安全度=治水安全度です。計画規模の降雨を計画降雨と呼んだりします。

例えば、「1/100」であれば、100年に1回程度の頻度で発生する雨による洪水に対して安全に設計しようぜ!ってことです。しかし、あくまで確率的な話ですので、3年連続で1/100規模の降雨がある可能性もありますし、1/100で設定した河川でもそれを上回る降水がある可能性はあります。

一級河川の計画規模は1/100~1/200年とされているところが多いようです。一方、中小河川の計画規模は1/10~1/50年程度とされているところが多いと思います。

堤防の余裕高

HWLに関連して、余裕高(よゆうだか)という言葉をよく聞くと思います。

文字通り、何か構造物を作るときにHWLからどれだけ余裕をもたせるか(離して構築するか)の高さのことですね。

堤防の余裕高(HWLから天端までの高さ)はおよそ0.6m以上とされていますが、流量によって大きくなります、詳細は河川管理施設等構造令参照。

なぜ余裕高を設けるかと言うと、洪水時は流水のうねりや波、流木による水位上昇などが考えられますからそれらを考慮しているのです。また、余裕高があるおかげでHWLを超える超過洪水が起きてもある程度は耐えることができます。

京都府WEBサイトより

橋梁の余裕高

一方、道路畑ですと橋梁占用時の「余裕高」をよく聞くと思います。

橋梁の桁下空間(HWLから橋桁までの距離)にどれだけ余裕を持たせるかという値です。

こちらも河川管理施設等構造令では堤防の余裕高を準用してもよいことになっていますので、これを基準に河川毎に計画余裕高を設定していると思います。正直、河川管理者によって設定値はバラバラですし0.5mと言われることも、1.0mと言われることもあったりするので、河川協議で確かめましょう。流木が橋桁に引っかかったりすると危ないので流木が多く予想される河川ではさらに増高すると安心ですね。

dbSheetClient千夜一夜 より
カミノ
カミノ

余裕高だけではなく、橋脚などの構造にもHWLにまつわる制約があります。

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HWLの設定の考え方

HWLの定義が分かったところで、「じゃあ実際どうやってその水位を決めてるの?」っていう実務の部分を少しだけ説明しておきます。おもに市役所が携わる中小河川の話だと思ってください。

前提の考え方

まず前提の考え方は次の2点です。

・沿川の地盤高以下(地盤高程度)にする

・既往洪水最高水位以下にする

沿川の地盤高以下にする=掘込河道にするということ。そうすれば超過洪水のとき提内地の被害を少なくできます。しかし、逆に深く掘り込んでHWLをかなり低く設定してしまうと、その地点では問題を解消できますが、実質的な流下能力は計画高水流量以上となって下流の築堤区間などの弱点部で破堤の危険性が増してしまいます。なので、地盤高程度にするのが良いです。

また、既往洪水の最高水位が分かっているのなら、その水位を目安とすべきでしょう。既往洪水の最高水位より高く設定するならばその地点で過去経験したことのない流量が流れることになり、想定外の事態が起きるかもしれません。越水時などの被害も過去の被災以上となるでしょうし、内水処理も難しくなります。また、先程と同様に流下能力が高くなりすぎるのは下流へ悪影響を及ぼします。

河川の計画はあくまで流域全体で考えるものであって、超過洪水があったとしても全体の被害を抑えることが重要です。

カミノ
カミノ

なかなか難しそうですね。

不等流計算で求める

さて、実際の求め方ですが、不等流計算で求めます。

HWLの定義からすると、「HWLは計画高水流量を流したときの水位縦断」だと思われるかもしれませんが、イメージとしてはそれでもいいのですが、不等流計算で算定した水位がそのままHWLになるわけではありません。

HWLは、不等流計算に局所的な水位上昇量を加え算定された各地点の水位を包絡するように、縦断図上において直線近似で設定します。つまりここでも余裕高みたいなものが含まれることになります。

山梨県河川ハンドブックより

あたりまえですが、凸凹の縦断勾配よりも直線的にHWLを設定する方が施工上も管理上も都合が良いからです。HWLの勾配が一定であれば、堤防の天端高が縦断的に一定の勾配を保つように施工しやすく、堤防道路の車の走行性も良くなりますし、堤防をパトロールするときに厳密な測量をせずに不等沈下などの異常を発見することができます。

おおまかに言うと、このような感じで設定されています。河川ごとに状況や性格がまったく違いますから、HWL設定の考え方も少し違うかもしれません。

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おわりに

河川は社会基盤のさらに基盤となる存在です。HWLはどの分野にも影響を与える値ですから、その意味を知っておいたほうが良いかなと思って解説しました。

市役所の管理する河川ではHWLが分からない(存在しない!?)ことも珍しくありません。HWLは計画を立てて河川改修のために設定するものですし、昔整備されているとしても、古い図面を紙管理してることが多く、万が一紛失すれば確認するすべが無くなってしまいます。

もしHWLが分からないけど喫緊で検討材料として欲しい場合は、関係機関に資料が残ってないか調査したり、現地で洪水水位の痕跡を調べたり地域の人に聞き込みししたりして推測することもあるかもしれません。

できるだけ河川の現況図面や資料を整備して、さらに全てパソコンデータとして管理するようになるといいですね。

河川行政で大事なキーワードを解説してみました。参考になりましたら幸いです。

ではまた☺️👋

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