都市計画マスタープランとは、都市計画法第18条の2に基づいて作成される、都市づくりの目標やそれらを実現していくための取り組みを示した基本的な方針です。
こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
受験生の皆さん、面接の準備は進んでいますか?
今回は、面接の前にやるべきこととして「都市計画マスタープラン」を読むことをお勧めします。
難しい話ではありませんので、気楽に読んでください。
公務員の面接対策として、大切なポイントはこちらの記事で解説しています。
都市計画マスタープランとは?
面接前に自治体を分析するために、「総合計画」を読むことを薦めている本やネット記事がありますが、総合計画は非常に抽象的な書き方がされていますし、市役所独自の色がわかりませんので、私は「都市計画マスタープラン」を読むことをおすすめします。
都市計画マスタープランとは、都市計画法第18条の2に基づいて作成される、都市づくりの目標やそれらを実現していくための取り組みを示した基本的な方針です。
市役所は、都市計画マスタープランをもとに、土地利用の規制・誘導や都市施設の整備などの具体的な事業を進めていくことになります。
私たちは「都市マス」とか、「マスタープラン」とも呼びます。
ということで、都市マスを読んで、面接に活かしたいのですが、どんなふうに使えばいいのでしょうか。具体的に説明していこうと思います。
「○○市 都市計画マスタープラン」で検索すると公式サイトのページが出てくるはずです。
都道府県庁を狙っている人は、「都市計画区域マスタープラン」を見てみてください。
枚方市の都市計画マスタープラン
ここでは、大阪府枚方市の都市マスを見ながら解説してみます。
都市計画マスタープラン(平成29年3月改定) | 枚方市ホームページ (city.hirakata.osaka.jp)
まずは「概要版」を見ていきます。
最初にこのようなマスタープランの位置付け(他計画との関係性)が図示されています。
市役所の「総合計画」が一番上位にくるんですが、総合計画の下に、地域防災計画や都市景観基本計画などさまざまな計画があることがわかりますね。そのなかのひとつが都市マスです。
都市マスでは、用途地域などの設定をしてから、道路・公園・下水道などの土木インフラ、公共施設の整備、緑地、居住環境、都市防災などハード面の計画がおもになります。
ちなみに、もうひとつ最上位の「基本構想」という方針もあります。今は新しく作成しないはずですが、市によっては昔の基本構想が残っているかもしれません。
主要課題と基本方針
次のページには、都市が抱える課題と、それらに対する基本方針が書かれています。
興味あったり、仕事をしたいなーと思っている課題があれば、後述とか「全体版」で詳細に分析されているはずなので見てみましょう。
興味ない所は読み飛ばしてOKです。
目指すべき都市構造
次に、目指すべき都市構造が示されています。
地図がでてくると分かりやすいですよね(*’ω’*)
ほとんどの都市が「コンパクトシティ」を目指していますから、このような地図を示し、駅や観光資源がある場所を拠点として、拠点と拠点をうまく交通で繋ぐようなまちづくりを計画しています。
枚方市は13の拠点と、鉄道が3路線あることがわかりますし、メインの道路網もわかりますね。全体像だけ把握しておきましょう。
拠点には生活しやすいように病院・郵便局・役所・銀行・娯楽施設など都市機能が集められます。
お金を掛けるところを選択集中しているわけですね。コンパクトシティという概念は重要ですので、もし知らなければこの機会に勉強してください。
大きな都市計画は分かりますが、具体的に面接で使えるような武器にはなりませんから、部門別と地域別の方針を見ていきます。
部門別の方針
次に、土地利用、交通(鉄道・道路・バス)、都市緑地、下水道、景観、防災、など部門別の方針が示されています。
例えば、都市緑化はこんな感じ。
もし、公園整備の仕事をやりたいのであれば、都市緑化の方針を見てみて、市役所が今から何をしようとしているのかを理解しながら、「自分ならこうしたい」というアイデアを考えてみるといいかもしれません。
全体版には公園の整備状況も載っています。
このくらいの具体性があれば面接では使えそうです。
計画の数字を参考にしながら、面接では
「職員に採用されたら、公園整備の仕事に携わりたいと考えています。私は○○地区に住んでるのですが、子供たちが小さな公園で窮屈に遊んでる姿を見かけるので、もう少し緑がある広い公園があったらいいなと思っています。枚方市には87の公園があり、計画では100か所の公園整備を目指していますが、どこにどのような公園をつくるのかとても興味があり、ぜひその仕事をやってみたいです。」
(これは今てきとうに書いただけですので、本来はもう少し強い理由が欲しいですが)
という風に、職員になったらやりたい仕事に数値を盛り込むことだけでも、「この人は市役所の計画書を読むほど真剣に枚方市のことを考えてるんだな」と好印象を与えることができると思います。
もっと「公園整備に関して、○○をしてみたいです」など市役所の実情も頭に入れながら現実的な提案を言えれば「この子合格や!!」となるでしょう。
地域別の構想
次に、地域別の方針です。
規模が大きい市であれば、大きく分割してそれぞれの地域で独立した方針を立てています。政令市であれば区ごとになるでしょう。
都道府県庁も同じように、全然地理的にも文化的にも異なりますので、地域別の方針を決めます。
枚方市は7つの地域に分けており、それぞれ地域の特徴や、資源、人口・世帯数、土地利用、都市基盤が示され、この地域での課題が列挙されています。
中部地域を見てみるとこんな感じ(一部抜粋)。
文章に固有名詞が出てきますから、自分がやりたい仕事と結び付けて話すことができそうです。
中部地域は住宅地が多いみたいですね。それだけ安らぎの空間が求められているだろうから、淀川の自然環境保全を言及するといいかもしれません。
例えば・・・、
「職員に採用されたら、自然環境保全と、自然を感じられるまちづくりに取り組みたいです。とくに枚方市駅を中心とした中部エリアは住宅地が多く、これまで以上に安らぎの空間が求められてくると考えています。このエリアは、淀川の自然環境に近く、市民の憩いの場としてピッタリだと思いますので、国交省や大阪府とも連携し、自然環境の保全をしつつ、枚方市駅・御殿山駅・牧野駅などの周辺にも身近に憩い潤う場を計画してみたいです。」
こんな感じで、ちゃんと都市計画考えてますよってことをアピールするといいと思います。都市マスの文章をそのまま流用しちゃっても大丈夫です。
具体的な事業などを質問されるかもしれませんので、大変ですが1~2個アイデアを考えておきましょう。
このほかにも、「地域に入って地元の人たちと仕事をしたい」という志望動機や仕事内容を話そうと思ってる受験生は多いかもしれませんが、都市マスを参考にしながら、拠点エリアの説明と、だから私は○○したいです、ということが言えればいいと思います。
あくまで学生のアイデアなので、現実離れしたアイデアしか思い浮かばないかもしれませんが、それは面接官も重々承知です。気後れすることなく、できるだけ現実的な理想論を語るようにしましょう。
おわりに
ということで、都市計画マスタープランを面接試験に盛り込む方法について解説しました。
私のイメージでは、残念ながら都市計画を読むほどの土木受験生は少ないので都市計画を知っているだけでも有利になります٩(ˊᗜˋ*)و
面接官は事務方の人も多いので、都市マスを知らない人もいますし、実際私が拠点エリアについて話したときも「すみません、私は不勉強で知らなかったのですが、そういう計画があるんですね。」とオバちゃん面接官に言われました( ゚Д゚)たぶん総務とか福祉の部長だと思います。
土木なら都市マスでいいんですが、事務職とかでも市役所の数ある計画のなかから興味がある分野の計画に目を通してみると、自分の意見に説得力が出てくると思います。
全部を覚える必要はありません。あくまで面接で話す目的なら、頭の中に入れて自分の言葉で話さないといけないので、関心があるテーマじゃないと無理ですし。
関心のあるテーマだけはしっかり目を通しておきましょう。
若手職員でも都市マスをちゃんと読んでる人はほとんどいないかも。ぜひこの機会に読んでみてくださいね。
では、今日はこのあたりで。
またぬん(*’ω’*)ノ
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