こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
今日は「降水量」についての話をしたいと思います。
降水量とは
降水量とは、降った雨などがどこにも流れ去らずにそのまま溜まった場合の水の深さを表しています。
ミリメートル(mm)で表します。
1時間の降水量がよく使われますよね。例えば、「1時間で100ミリの降水量」は降った雨がその場にたまった場合、1時間で雨が水深10cmになるということです。
筒状の容器があれば、自分でも簡単に計測することができますよ。
神戸地方気象台 -ペットボトル雨量計の作り方 (jma.go.jp)
降雨量と降雪量との違いは?
似た言葉に、降雨量と降雪量があります。
降雨量は、降水のうち雨だけを測ったものです。
降雪量は、降水のうち雪だけを測ったものです。また、「積雪〇〇cm」という言い方をするので、こちらのほうが聞きなれてるかもしれません。
これらに対して、降水量とは雨・雪・霰・雹などをすべて含んだ、降った水の体積を合計したものなのです。
降水量による雨の強さ
みなさん天気予報を見て、降水量から雨の強さをだいたいイメージできるのではないかと思います。
1mmならパラパラ雨が降る感じで、傘がなくても急いで通れば我慢できるくらい。
2mmなら傘が必要。道路に水たまりが出来始めます。
5mmは普通に雨って感じ。
10mmを超えるくらいになると、道路全体が水浸しになります。人間的にはあまり数量がわからなくなりますよね。
1時間に20mmは大雨です。災害の心配もしたほうがいいでしょう。
日本の平均年間降水量は1600mm
さて、降水量に関するもので、ひとつ覚えておいてほしい数字があります。
日本の平均年間降水量です。
一年間でおよそ1600mmとされています。
地域にもよりますので、具体的に都道府県ごとの降水量平年値を載せてみます。
2021年に気象庁から発表された、1991~2020年の観測値による新平年値です。
地点名 | 降水量平年値(mm) |
---|---|
札幌 | 1146.1 |
青森 | 1350.7 |
秋田 | 1741.6 |
盛岡 | 1279.9 |
山形 | 1206.7 |
仙台 | 1276.7 |
福島 | 1207.0 |
新潟 | 1845.9 |
金沢 | 2401.5 |
富山 | 2374.2 |
長野 | 965.1 |
宇都宮 | 1524.7 |
福井 | 2299.6 |
前橋 | 1247.4 |
熊谷 | 1305.8 |
水戸 | 1367.7 |
岐阜 | 1860.7 |
名古屋 | 1578.9 |
甲府 | 1160.7 |
銚子 | 1712.4 |
津 | 1612.9 |
静岡 | 2327.3 |
東京 | 1598.2 |
横浜 | 1730.8 |
松江 | 1791.9 |
鳥取 | 1931.3 |
京都 | 1522.9 |
彦根 | 1610.0 |
下関 | 1712.3 |
広島 | 1572.2 |
岡山 | 1143.1 |
神戸 | 1277.8 |
大阪 | 1338.3 |
和歌山 | 1414.4 |
奈良 | 1365.1 |
福岡 | 1686.9 |
佐賀 | 1951.3 |
大分 | 1727.0 |
長崎 | 1894.7 |
熊本 | 2007.0 |
鹿児島 | 2434.7 |
宮崎 | 2625.5 |
松山 | 1404.6 |
高松 | 1150.1 |
高知 | 2666.4 |
徳島 | 1619.9 |
那覇 | 2161.0 |
気象庁|報道発表資料 平年値の更新について (jma.go.jp)
けっこう地域によってばらつきがあることがわかりますよね。また、年によっても多少のばらつきはありますので目安として使ってくださいm(__)m もし、豪雨による災害がすくないところに住みたければ、降水量をひとつの指標にしてもいいかもしれません。
東京は年間1600mm。日本の平均もおおよそ1年間で1600mm。
1600mmという数字を覚えていれば、例えば「1日で400mmの大雨」というのがどれだけ恐ろしい量かわかると思います。1年間の四分の一の雨が1日で降ってしまっているということですから、街の排水施設はオーバーフローしますし、ダムや大河川の許容量も超える可能性があることがよくわかりますよね。
また、1600を365日で割るとおよそ4mmになります。1日に平均4mmの雨が降るということです。そんなに降ってるかな~と疑問に思うかもしれませんが、やはり梅雨や台風、雪の時期に集中しますから降るときは降る、降らないときは全然降らないものです。
1日平均4mm。
なんとなく降水量に対する感覚をもっておくといいかと思います٩(ˊᗜˋ*)و
降った雨はどこにいくのか
さて、おまけ的な話として、降った雨がどこに行くのかを説明したいと思います。
1日平均4mmと言いましたが、
4mmのうち、
1mmは蒸発し、
1mmは湖沼など地表にたまり、
1mmは地下に浸透して、
1mmが河川に流れ込みます。
明確な定義分けが難しいですし、平均のはなしですが、あくまでイメージはこんな感じです。たった四分の一しか河川に流れ込んでいません。
しかし、具体的に短時間に降った雨がいくら河川に流れ込むのかはこれ通りにはいきません。河川計画をたてるときには、降雨量からタンクモデルや貯留関数法などの流出解析をおこなって河川流量を算出します。流域ごとに、森林の保水量や宅地開発状況は違いますから、洪水データから解析のための定数を設定することになります。
道路の側溝や水路などの排水施設については、中小河川でも使われる「合理式」を用いてピーク流量を求めます。水位や流量のデータがなくても使える最も単純な式です。
都市の開発が進むと、多くの水が行き場をなくし、地表流として河川に流れ込むようになります。ゲリラ豪雨も増えてますから、開発を制限できなければ洪水災害はますます増えていくでしょう。
おわりに
降水量や雨についての解説でした。
土木技術者なら年間降水量1600mmという数字は覚えておくべきだと思います。
また、降雨から河川流量の算出の仕方などは次回解説したいと思います。
降水量の観測は小学校の自由研究とかでやってみると面白いかもしれませんね٩(ˊᗜˋ*)و
では、今日はこのあたりで。
またぬん(*’ω’*)ノ
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