気象予報士試験の対策3(天気図)

気象予報士

こんにちは、気象予報士のカミノです。

「天気図」と聞くと↓のようなテレビのお天気コーナーで出てくる気圧図をイメージする方が多いと思います。

天気図 – Yahoo!天気・災害 より

私もそういうイメージでした(笑)

これは民間企業が作ったもので、じつは気象庁が作成・公表している公式の天気図は↑みたいなシンプルなものだけではなくて、たくさんの種類があります。しかも、そのなかに「予想天気図・数値予報天気図」というものがあり、それらを読み取れば将来天気が分かるのです!

ですから、気象予報士の実技試験でも「天気図から読み取る力」が一番大事になります。

ということで、ここでは試験対策としての天気図についてご紹介します。

カミノ
カミノ

天気予報の見方が変わるっ!

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天気図とは

天気図とは、さまざまな規模の気象現象を把握するために、地図上に天気、気圧、等圧面における高度、気温、湿数、渦度などの値を、等値線や数字で記入した図のことです。

気象庁サイトには、実況天気図、予想天気図、高層天気図、数値予報天気図の4つのワードが出てきます。

なお、言葉はてきとーに使い分けてるっぽくて、例えば「高層天気図」と言えば、単一の等圧面図だけでなく高層の数値予報天気図のことも指しますし、単に「予想図」と言えば地上の予想天気図と数値予報天気図の予想図のことを指すみたいです。

カミノ
カミノ

正しいかはさておき実況=解析みたいな使われ方をしてますね。

天気図はどこで見られるの?

各天気図は気象庁が作成し公表しています。

気象庁 | 天気図 (jma.go.jp)気象庁の「気象の専門家向け資料集」 (jma.go.jp)のページから見ることができます。

「いきなり天気図って言われても、どれを見ればいいか分からんぜ?」って方向けに、気象予報士試験で出題されやすいものだけを抽出してみました。

画種名天気図名
ASASアジア地上解析図
AUPQ78アジア850hPa 700hPa解析図
AUPQ35アジア500hPa 300hPa解析図
AXFE578極東850hPa気温・風、700hPa上昇流/500hPa高度・渦度天気図
FXFE502,504,507極東地上気圧・風・降水量/500hPa高度・渦度予想図
FXFE5782,5784,577極東850hPa気温・風 700hPa上昇流/700hPa湿数 500hPa気温予想図
FXJP854日本850hPa相当温位・風予想図

本家より民間サイトのほうが一覧(アーカイブ)で見やすいと思いますが、画質や掲載方法などが違いますので一番使いやすところを探してみてくださいね。

 

天気図を簡単に解説します

では、今ご紹介した実技で扱う天気図たちについて、私なりに一言ずつ説明を入れていこうと思います。

その前に…、天気図については参考書などいろいろと解説されているわけですが、じつは気象庁サイトにも公式の解説資料があります(*’ω’*)しかも解析のやり方まで書かれています!ので受験生の方は必ず目を通しておきましょう!

気象庁|気象の専門家向け資料集 (jma.go.jp)
このページ中央付近の解説資料がそれです↓

ASAS アジア地上解析図

基本中の基本、地上の実況図。

問1ではこの天気図から読み取れることを穴埋めで答えさせるパターンが多いですね。警報事項(海上台風、海上暴風、海上強風、海上風、海上濃霧)などを伝える天気図なので、しっかり表記ルールと専門用語は理解しておくべきでしょう。

各地のリアルな天気が分かるので素人でも一番面白い図ですね(*‘∀‘)私は記号を暗記するために1時間くらいかけて1個ずつ記号や数字の意味を読んでいったこともありました。

ちなみに擾乱の進行方向を示す矢印⇒は32方位らしいですが、試験で問われる方角は16方位です。つまり、矢印が北微東(北北北東)を示していたら試験では「北」もしくは「北北東」で答えるってことです。どちらも正解になるとは思いますが、結構てきとうかもしれません。

カミノ
カミノ

地上の予想図は、FSAS24とFSAS48があります。こちらも補足的に使うと思います(どこに前線が解析されるかを見たりします。)

AUPQ78 アジア850hPa 700hPa解析図

上が700hPa天気図で、下が850hPa天気図です。

すべての天気図に言えることですが、図の下に説明書きがあるので試験中ド忘れしてしまっても図の意味は分かります。

網掛け域は湿数が小さくて湿ってるところですので、対流圏の中・下層の雲領域と一致しやすいです。この図だと西日本に雲が掛かってるっぽいですね。地上の実況図から天気を確認してみると確かに西日本は雨です。

AUPQ35 アジア500hPa 300hPa解析図

上が300hPa天気図で、下が500hPa天気図です。

300hPa天気図だけは、破線が等温線ではなく等風速線ですので注意しましょう。いつも見ていれば慣れます( ゚Д゚)

300hPaは高度9600mくらいですが、この図でよく分析されるのはジェット気流(強風軸)の位置ですね。日本周辺では夏季は1~2本、冬季は2~3本が解析されるそうです。そして、だいたい通る高度はいつも一緒らしいです。とは言っても、風は上にも下にもいきますから等圧面で表現すると途切れたりもすると思います。まぁてきとーに最大風速をなぞっていけばいいですよ。

500hPaはトラフの解析でもよく使われますが、複合天気図のほうが出題される気がします。

AXFE578 極東850hPa気温・風、700hPa上昇流/500hPa高度・渦度天気図

AXFE578はT=0の解析図(実況)です。載ってる天気図は予想図で言う所のFXFE502の上段とFXFE5782の下段ですね。

上段は500hPa面と渦度なので上空のトラフの位置が分かりますね。

下段は850hPaと700hPaの複合図です。私としては後述するFXFE502みたいに地上図のほうがいいけど、地上の実況図はASASがあるので不要ってことでしょう。850hPa気温・風に加えて、700hPa上昇流領域も示されているので低気圧中心の位置を把握しやすいと思います。その低気圧とトラフの位置関係を確認したりできます。

FXFE502,504,507 極東地上気圧・風・降水量/500hPa高度・渦度予想図

FXFE502,504,507とFXFE5782,5784,577はそれぞれ2種類の天気図の12・24・36・48・72時間後の予想図が上下に載っています。

AXFE578と似てますが、こちらは予想図です。例えば、左下のT=12は12時間後という意味。

上段でトラフの解析をして、下段の低気圧中心との位置関係を確認しやすい組み合わせですね。

地上擾乱の盛衰などがわかりやすく、時間の流れを一番つかみやすい天気図だと思います。日本を低気圧が通過しそうなときは、対応するトラフがうしろから追いついていく様子を見ましょう。

このあたりは記述問題で必ず出題されますし、作図も絡んで配点がすごく高くなるので重要な天気図です。

FXFE5782,5784,577 極東850hPa気温・風 700hPa上昇流/700hPa湿数 500hPa気温予想図

この複合天気図は、気温に着目する図ですね。

天気予報でよく「上空の寒気が~」とか言われるのは、この500hPaの寒気のことです。

暖気と寒気がぶつかるところが前線なので、等温線が混んでるところに前線を解析できます。

他の図と違って等温線がメインになりますから慣れていなくて読み取るのに手間取りがちですが(私だけ?)、試験中は一刻を争うので、日々の天気図からカラーペンを使ってすばやく解析する練習をしておいたほうがいいかも。

カミノ
カミノ

前線位置は地上予想図FSAS24とFSAS48に描かれているので答え合わせができます。

FXJP854 日本850hPa相当温位・風予想図

FXJP854はすべて同じ種類の図で、相当温位がわかる図です。T=12・24・36・48時間後の予想図が載っています。

しかも風も予測データが等ピッチで記載されているので風の流れがめちゃくちゃわかりやすい。相当温位は前線に対応しているので、(等温線よりも一致していると思う)、前線の作図問題では必ずこの図を見て低気圧中心と前線を見つけましょう。わかってる受験生はこの図を見て「キタ━(゚∀゚)━!!」となってます。

850hPa面の前線が解析できますが、前線面は傾いてるので地上の前線は南に1度くらいズレるみたいです。

その他、出題のされ方について

簡単に専門家用の天気図をご紹介しました。ちなみに、実技試験では日本周辺(極東)にクローズアップ編集されたものが出題されます。

また、昔は「〇時間予想図」とか書かれてるだけで予想時刻は受験生が即座に計算しなければいけませんでしたが、今は「予想対象時刻〇日〇時」とか親切に書かれています。

図の並びは上図と下図がセットで出るわけではありません。あくまで別の天気図ですからね。ただし、解析しやすいからその組み合わせになっているわけで、一般的な配置と同じセットで出題されることもあります。

縮尺はほとんどの図が同一のものになっていますし、解答用紙も同じ縮尺なので、トレーシングペーパーで書き写すことが可能です。(たまに縮尺が違う図や衛星写真がありますので注意してください)

最後にひとつだけ。天気図解析は難しそうに思えますが、実技試験で問われることは意外と難しくありません。じつは「天気図を読める能力」を示すだけで6割くらい得点できると思います。

そのためには問題文を深読みをしないこと、問われている事を飛躍して答えないことが大事です。問題文をよく読んで、問われていることを、天気図を見て答えれば必ず部分点をもらえる解答になると思います。難解な専門用語はとくに必要ありません。私は正直勉強量が足りなかったけどそれで合格できました。

何か役に立ちましたら幸いです。

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