水道管塗料問題で何が起きているのか

水道・下水道

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

令和4年1月から全国的に水道工事の一部が停止していた事件をご存知でしょうか?

この事件は全国ニュースでも報じられましたが、取り扱いが小さく、あまり知られていないと思います。

ここでは、建設分野に大きな影響を与えた水道管塗料問題について、どういう問題なのか?行政はどんな対応をしていたのか?をお話したいと思います。

追記:令和4年3月31日に塗料の安全性が確認されたとして、すべての資材の出荷自粛が解除されましたが、当時の状況がわかるようにそのまま本文は残したいと思います。

カミノ
カミノ

わたしの憶測で書いてるところもありますので、100%信じてもらうと困りますけど(;´・ω・)

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水道管塗料問題とは?

水道管塗料問題とは、塗料メーカーである神東塗料が水道管に使われる塗料において「①品質認証試験で不正をしていた、②塗料に規格外の原料を使っていた」疑いがある問題です。

11月頃に内部告発があり、令和4年1月12日に神東塗料が公表したものです。

神東塗料の公表を受けて、品質認証(JWWA規格)をおこなっている日本水道協会は当該塗料の出荷停止と品質認証マークの使用禁止、認証の一時停止を行い、神東塗料の塗料を使っている管材メーカーも出荷を一時停止しました。

そして、管材が入手できないってことは、工事もストップするということ。また、入荷されている製品であっても衛生性が担保できませんし、使用自粛がメーカーから要請されていたために、各水道事業者はほとんどの工事をストップせざるを得なくなりました( ゚Д゚)

追記:令和4年3月31日にすべての資材の出荷自粛が解除されました。
公益社団法人 日本水道協会【JWWA】

カミノ
カミノ

急な話でビックリ!!

水道管の何が問題なの?

今回問題になっているのは、水道本管によく使われているダクタイル鋳鉄管です。

このダクタイル鋳鉄管の外面塗装の材料に不正があったんですね。内面塗装だったらもっとヤバかったと思います。ただし、継手のところですこし内面に塗られていて水に触れるので、とうぜんJWWA規格に合格した製品しか使えません。

ダクタイル鋳鉄管の継手部分(大阪市Webサイトより)

ダクタイル鋳鉄管は水道本管で一番使われている管種です。その次は高密度ポリエチレン管ですが、口径が大きいものはダクタイル鋳鉄管のシェアが圧倒的ですね。

ちなみに、私はポリエチレン管のほうが好きです。

カミノ
カミノ

高密度ポリエチレン管(HPPE管)の普及がより一層、進むかもしれませんね。

管種などの話はこちらの記事でも少し説明しています。

現在は出荷再開されている製品も

1~2週間たった1月22日現在は、安全性が確認されて、多くの製品が順次出荷再開されています。
追記:令和4年3月31日にすべての資材の出荷自粛が解除されました。

とくに直管は、クボタ、栗本鐵工所、日本鋳鉄管の3社しかいないのですが、3社ともすべて出荷再開しています。

ほかにもクボタ系の材料は出荷再開されていますね。最大手が安全クリアだったので、水道局の公共工事でも大部分が再開しているようです。

でも、いまだにダクタイル鋳鉄管の異形管(直っすぐじゃない部分)は一部の製品が出荷自粛中で工事では使えていませんし、バルブ類もNS形のソフトシール仕切弁などが出荷自粛中です。NS形は多くの自治体で使われていますし、ハズ製のGX形異形管もたまに使われていますので、影響はまだ続いています。

いまから本格的な試験があるのかな?

異形管の塗装のようす 株式会社ハズWebサイトより

各水道事業者の対応

さて、行政側の対応を説明します。

水道事業者は、市単独の水道局だったり、市町村の枠をこえて広域だったり、都道府県が経営していたりしますが、ここではすべてまとめて水道局と呼びますね。

1月12日に、全国の水道局へ、日本水道協会や管材メーカーや厚労省や都道府県から、出荷停止と使用自粛の話がきました。

「使用しないでね」と言われたら行政は従うしかありませんから、全国的に1月12日もしくは1月13日からダクタイル鋳鉄管を使用する水道工事が停止しています。私が聞いた限りの主要都市ではすべて止まってます。田舎の小さな市町村では、まったく関係なく工事が進められているところもありますが…。

今回の問題について、きちんとWebサイトに公表している自治体もありますね↓

大阪市水道局:新聞報道のあった水道管向け塗料に関する不適切な行為に対する対応方針について(第1報) (水道をお使いの皆さまへ>その他のお知らせ) (osaka.lg.jp)

水道管等に使用された塗料に関する不適切な行為への対応について 横浜市 (yokohama.lg.jp)

工事停止のやり方は水道局によってさまざまです。ほとんどの場合は、口頭で業者さんに工事中止を指示していると思いますが、水道局によっては「工事してもいいけど、認証合格品を使ってね。使用材料の責任は請負業者にありますよ」という、発注者が責任を持たないような指示の仕方をしているところもあるようです。ちょっと無責任な気がします。

また、一時中止に伴う金額の変更、工期の変更については明確にしていません。工期は変更できると思いますが、金額の変更は微妙ですね、ふつうなら工事一時中止ガイドラインに従うことになりますが、既に再開している工事は適用しないことも考えられます。

問題解決の見通しが分からないので仕方ありませんが、受注者からするとたまったもんじゃないですね(;´・ω・)仕事再開の目処すらわかりません。コロナウイルスによる飲食店への営業自粛要請みたいな感じ、不満は溜まってると思います。

こんな曖昧な対応になってしまうのも無理はありません、情報が入ってこないのですから。水道局の知り合いたちに話を聞いてみても、みんな「ヤバイ」しか語彙力がない状態になっていました。

いまのところ、工事を止める指示については、「合格品だけの施工であれば可、自粛製品を使う路線は不可」が基本です。水道局によっては合格品であっても、再開の判断が遅れているところがあるようですし、逆に、自粛製品であっても現場到着していれば工事を進めて、通水する前段階までは施工させているところもあったりします。バラバラですね。

カミノ
カミノ

見通しが発表されないので、工事再開の判断が非常に難しい。

他工事への影響は

水道本管工事が止まると、はっきり言ってとんでもなく影響が出ます。

てか、出ました。

私も工事部署にいますが、私の工事にも影響が出ました。

1月12日に問題発覚してから、水道局が状況を判断し、13日~14日くらいに関連部署へ連絡が来たんですが、めちゃくちゃ迷惑被ってます。

例えば、道路改良工事をするときには、水道管の移設をお願いすることがよくあります。水道管が邪魔になるので、撤去してもらわないと道路付属物工事や電気やガス・通信の工事もできなかったりするのです。運用中の上水道ですから、先に新管を施工して運用切り替えしなければいけません。

他工事の工程にすべて影響してしまいます(;´・ω・)

ちょっとした移設ならまだ大丈夫ですが、道路改良系は国からの補助金で動いていて工程を遅らせることができませんからとくに大変です。都市計画道路であればさらに影響は大きいでしょう。

また、宅地の造成工事などでも影響が出ました。規模が小さければダクタイル鋳鉄管は使いませんが、地域によっては宅地造成でも本管はダクタイル鋳鉄管だったり、大規模造成では必ず使いますね。他管種であっても鋳鉄製の部分もあるのであやしい材料は出荷が止まっていました。

うちの水道局でも造成工事が何本か止まったようです。

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今後の対応はどうなるの?

まだ一部製品が出荷自粛中です。製品リストは日本水道協会Webサイトの【第六報】にあります。

公益社団法人 日本水道協会【JWWA】

今からの対応ですが、日本水道協会が対象塗料の浸出試験などを行うと思われます。どんな試験かはまったく分かりません。サンプルを何日間か水につけたりして浸出ぐあいを見るのかなー。

もしその浸出試験でNGだった場合、えらいことになりますね。まず今年度施工された水道管が規格不合格だったことになります。不正内容が具体的に分からないので、何年前までさかのぼるのかは分かりません。

施工済みの取扱いが難しい。

全部取り換えになるのか!?って騒ぐ人たちもいますが、そんなことはありえないと思います。誰が費用出すんですか。何億かかると思ってるんですか。

まず、水道水は定期的に水質試験をおこなっていて、それでは合格していますから健康への被害はありません。ただJWWA規格に整合しないというだけです。

ですから、水道局が特例でJWWA規格外製品についても品質を認めることになると思います。必要であれば水質試験の項目が増えたりするかもしれません。

まあ私の憶測ですが。

カミノ
カミノ

定期的な水質試験でOKだからJWWA規格外でもOKとなってしまうのは規格の意味ないやん!と感じてしまいますけどね…。

神東塗料と日本水道協会はもっと情報を出すべき

このニュースが報道されたりするなかで、「水の安全性の問題」みたいな大きな視点で論じられることもありますが、実際そのとおりで、水の安全性を揺るがす大きな事件だと思っています。

神東塗料は塗料メーカーなので、塗料を取引先に出荷するだけです。一次生産者としてどんどん製品をつくるだけで、末端である水道事業がどのように行われているかまでは深く考えていませんし、そんな意識はありませんね。なぜなら、内部告発から3ヵ月たってるのにいまだ調査中だし、告発内容を具体的に開示していませんし、問題点や解決の見通しが当事者のなかだけに隠されているからです。取引先への謝罪はありましたが、それ以外の関係者への謝罪はないんですかね?

塗料メーカーであっても、水道事業を担っています。飲み水をつくり送り届ける立場であることを自覚してほしいと思います。

また、神東塗料と日本水道協会はもっと情報を出すべきです。水道局職員、水道工事の請負業者、水道水を使う全国民にわかるように今後何をどのようにして、結果をいつ出すのか、合格の場合と、不合格の場合どのようなことが想定されるのか。記者会見をしろとまでは言いませんが、文書で誠意をもって示すべきだと思います。

問題が長引けば、職を失う人も出るかもしれません。長引かないのであれば、予想される規制期間を示すくらいはできるはずです。1月に1日も施工が出来ていない業者もいると聞いてます。

日本水道協会は責任がないんですから、今から何をしていつ頃結果を出すかくらい示してください。そのための協会です。

情報を出さなければ、行政は判断ができませんし、そこから連絡がくる関係者も判断ができません。

カミノ
カミノ

もうちょっと判断できる材料を示してほしいと思いますね。

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おわりに

ということで、水道管の塗料問題について解説しました。

ここまで土木インフラの大きな問題は珍しいですね。

いきなり水道水がアウト!というわけではありませんが、全国的に使われている製品で、健康に直接関わるところで品質認証規格の不正は前代未聞かもしれません。

水道水はそのまま使えるので、思ったほどニュースでは取りあげられていませんが、工事が止まるだけでも影響は大きいのです。

たしかに法令や制度が厳格化の一途ですし、どんどん規制されて仕事しづらかったり生きづらくなっています。私も厳格化の波には反対したいのですが、さすがに認証規格くらいは守ったほうがいいと思いますね。

工業製品ではそれが一番大事ですから。

皆さんもルールのなかで一番大事なものを優先するようにしましょう。

カミノ
カミノ

令和4年3月31日にすべての資材の出荷自粛が解除されました。

では今日はこのあたりで。

またぬん(*’ω’*)ノ

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