及び、並びに、又は、若しくは、等、その他、その他の、正しい使い方(公用文の書き方ルール①)

仕事全般

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

公用文の書き方にはたくさんのルールがあります。

土木系の公務員であればあまり気にするほど重要ではないんですが、最低限のルールは知っておいた方が良いと思いますので、いくつかピックアップして解説していこうと思います。

ここでは、及び、並びに、又は、若しくは、等、その他、その他の、の正しい使い方を説明します。

カミノ
カミノ

このブログでは公用文のルールは無視しています。公用文ではないので(笑)

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限定列挙と非限定列挙

グループ分けをすると、特定の語句を列挙する限定列挙と、列挙しきれない事項もざっくり含める非限定列挙とよばれる2種類の書き方があります。

7つの用語を分類するとこうなります。

種類用語コメント
限定列挙及び、並びにand の意味
又は、若しくはor の意味
非限定列挙等、その他、その他の等を連発しがち

ちなみに、公用文ではこれらの用語は漢字で書くのが一般的です。ふつうの接続詞はひらがなで書くんですけどね…。

「及び」と「並びに」の使い分け

「及び」「並びに」はandの意味です。

例文:「今日は林檎及び蜜柑を食べたい。」は林檎も蜜柑も両方食べたいという意味ですね。

よく間違いがちなのがまず最初に使うのは「及び」です。「並びに」は階層構造になったときだけ使います。どういうことか例を見てみましょう。

例文:「明日は林檎及び蜜柑の収穫 並びに葡萄の運搬をしなければならない。」

収穫しなければならないのは林檎と蜜柑です。また、葡萄の運搬もしなければならないことを一文で書くとこのようになります。つまり「及び」で並列した語句のさらに広い範囲に語句を並べたいときは「並びに」を使うということですね。

単独で「並びに」を使っても一般的には意味が通じることもありますが、公用文では誤解を与えないように正しい使い方をしましょう。

「又は」と「若しくは」の使い分け

「又は」と「若しくは」はorの意味です。

例文:「今日は林檎又は蜜柑を食べたい。」は林檎か蜜柑のどちらか一方を食べたいという意味ですね。

使い分けは「及び」「並びに」と一緒なんですが、まずは「又は」を使い、階層構造になるときは「若しくは」を使います。「若しくは」単独で使ってはいけません。

例文:「明日は林檎若しくは蜜柑の収穫 又は葡萄の運搬をしなければならない。」

林檎の収穫、蜜柑の収穫、葡萄の運搬、この3つのうちどれか1つだけを明日しなければならないということです。作業に時間が掛かるんでしょうね。andのときと逆で、範囲が狭いほうの列挙に「若しくは」を使っています。

カミノ
カミノ

実際の公用文というか法律では、andとorの意味が混ぜこぜに使われているので非常に理解しづらいですが、ルールに則って書いてるので、読み解けば唯一通りの解釈になります。そうじゃなければ悪文=ダメな法律です。

3つ以上の語句を並べる時

2つ語句を並べるときは「及び」「又は」だけということが分かりましたね。

では、3つ以上ならどうでしょう。

3つ以上語句を並べるときは、「、」で並べて最後の語句と前の語句を「及び」「又は」でつなげます。

例文A:「明後日は林檎、蜜柑、葡萄及び桃を買うつもりだ。」

例文B:「明後日は林檎、蜜柑、葡萄又は桃を買うつもりだ。」

例文Aは4つの果物すべて買うつもりですが、例文Bは4つのうちどれかを買うつもりです。読点の意味まで変わってしまうのは不思議ですね~。

名詞じゃなくて動詞を並べるときは、「及び」「又は」の前にも「、」を打ちます。動詞の連用形のうしろは区切ったほうが見やすいですからね。

例文:「明後日は林檎を購入し、切断し、及び咀嚼するつもりだ。」

みんなが大好きな「等」の使い方

公務員は「等」を多用しがちですね(;・∀・)便利なんですもん。正しい使い方をおさらいしておきましょう。

語句を「、」で並べて最後に「等」をつけるだけです。

例文:「土木公務員の人気を高めるためには、給与、福利厚生、職場環境等を改善する必要がある。」

並べた3つの事柄以外にもたぶんあるけど具体的には書けない・書きたくないときに「等」を使います。たぶんandの意味だと思いますが私もよく分かりません。

とりあえず保険の意味で「等」を使いがちですけど、等等等等ばっかりの文章もよく見かけます。とくに限定列挙の「及び」「又は」と併用すると複数の解釈ができてしまいますし、書いてる本人の意図しない意味になってることもしばしば。なるべく堂々と限定列挙で言いきっちゃいましょう。

「その他」と「その他の」の使い分け

非限定列挙には「等」のほかにも「その他」と「その他の」があります。法令や例規で見かけますね。「その他」と「その他の」では意味が違うことがあります。些細な違いですが、許認可に関わる規則などで解釈を間違えると業務ミスにつながりますのでポイントをしっかりおさえておきましょう。

基本的に「△△その他○○」は、△△と○○が並列関係です。andの意味です。

逆に「△△その他の○○」は、△△は○○の例示です。

ん?どういうこと?(。´・ω・)

横浜市の道路占用許可基準を例にとって説明してみます。

例文A:通路は、信号機若しくは道路標識の効用又は道路の見通しを妨げ、その他道路の交通の安全を害しないように設けること。

例文Aでは、①効用を妨げるのもダメ、②見通しを妨げることもダメ、③道路の交通の安全を害するのもダメ、という禁止事項を述べています。道路の交通の安全を害することは前2つと比べたら抽象的事項なので「その他」をつけていますが、前2つも必ずダメだよと言いたいのです。

例文B:倒壊、落下、はく離、汚損、火災、荷重、漏水その他の事由により道路の構造又は交通に支障を及ぼすことがないと認められるものであること。

例文Bでは、倒壊、落下、はく離、汚損、火災、荷重、漏水は、何らかの事由の例示です。「こんなこともあるよね~」という想定のものですので、「倒壊、落下、はく離、汚損、火災、荷重、漏水」が書かれていなくても文章の意味は同じです。

違いが分かりづらかったかな?まあだから何だって話ですけど、たとえば法律の禁止事項で○○と□□が断言されているのか、それともただの例示なのかによって、自治体の運用の仕方が変わるんです。

「の」の違いでも意味があるってことを覚えてもらえればいいかと思います。

法律の例文を読み解いてみよう

及び、並びに、又は、若しくは、等、その他、その他の、の使い方が分かりましたかね?

では実際の法律を読んでみましょう。もっともっとややこしい文章もありますが、比較的簡単な道路法を見てみます(;・∀・)

道路法
(違法放置等物件に対する措置)
第四十四条の三

道路管理者は、第四十三条第二号の規定に違反して、道路を通行している車両から落下して道路に放置された当該車両の積載物、道路に設置された看板その他の道路に放置され、又は設置された物件(以下この条において「違法放置等物件」という。)が、道路の構造に損害を及ぼし、若しくは交通に危険を及ぼし、又はそれらのおそれがあると認められる場合であつて、次の各号のいずれかに該当するときは、当該違法放置等物件を自ら除去し、又はその命じた者若しくは委任した者に除去させることができる。

うーん、これでもややこしいですね。

意味のまとまりごとに改行して色分けとかしてみます。

道路管理者は、

第四十三条第二号の規定に違反して、道路を通行している車両から落下して道路に放置された当該車両の積載物、道路に設置された看板  ←ただの例示!!!!

その他の

道路に放置され、又は設置された物件(以下この条において「違法放置等物件」という。)が、 ←orの意味!並列関係!!

道路の構造に損害を及ぼし、若しくは交通に危険を及ぼし、又はそれらのおそれがある  ←orの意味!!階層構造の並列関係!!!

と認められる場合であつて、 

次の各号のいずれかに該当するときは、

当該違法放置等物件を自ら除去し、又はその命じた者若しくは委任した者に除去させる  ←orの意味!!階層構造の並列関係!!!

ことができる。


こんな感じで分解してみると法律は読めるようになります。あれ?法律の読み方を解説したかったわけではなかったのに…。

まあいいや、法律の読み方ガチ解説はまた今度やります。業務の参考になりましたら嬉しいです。ではまた。

※私の独学によるものですので解説した内容が間違ってたら教えてください🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️

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