半たわみ性舗装を解説します

道路

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

今回は「半たわみ性舗装」について、わかりやすく解説していきます。道路行政や舗装工事に携わる方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。

半たわみ性舗装とは何か、どんな特徴があって、どこで使われるのか。見ていきましょう。

サムネイル画像は原鉱業株式会社さんのWebサイトから引用しました。

半たわみ性舗装って何?

半たわみ性舗装は、アスファルト舗装とコンクリート舗装の“いいとこ取り”をした舗装方法です。具体的には、粒の間に大きな隙間(空隙)がある「開粒度アスファルト混合物」を敷いた後、その隙間に「浸透用セメントミルク」を流し込んで固めます。

これによって、アスファルトの柔らかさ(たわみ性)とコンクリートの硬さ(剛性)を組み合わせたハイブリッドな舗装が完成します。アスファルトの柔らかさを半分持っているという意味で「半たわみ性舗装」と呼ばれます。

半たわみ性舗装の特徴

特徴をいくつかポイントを挙げてみます。

  1. わだち掘れに強い(塑性変形抵抗性)
    大型車が通っても変形しにくくなります。普通のアスファルトだと、わだち掘れ(タイヤの跡が残っちゃうように変形すること)がありますが、半たわみ性舗装ならその心配が減ります。
  2. 耐油性と難燃性がすごい
    油がこぼれても劣化しにくいし、火にも強い。ガソリンスタンドや工場、駐車場みたいな場所で重宝されます。私は詳しくありません。
  3. 明るい色で視認性アップ(明色性)
    セメントミルクのおかげで表面が明るくなるので、トンネルの中や夜間の道路でも見やすくなります。顔料を変えれば、カラフルに着色することも可能です。
  4. 施工が早いタイプもある
    使うセメントミルクの種類によって、固まる時間が変わります。普通タイプは3日、早強タイプは1日、超速硬タイプならなんと3~4時間で交通開放できます。供用中の道路であれば超速硬タイプ一択ですね。
  5. 見た目もオシャレにできる
    表面を磨いたり、ショットブラストで加工すれば、石畳や大理石みたいな仕上がりにもできるらしいです。詳しくありません。
  6. コストが高い
    デメリットですね。普通のアスファルト舗装に比べると、少し高めになります。またアスファルトを敷いた後に後日セメントミルクを浸透させるので手間も掛かります。

どこで使われているの?

普通のアスファルト舗装よりも強くしたい、特定の条件が求められる場所に用いられます。たとえば…

  • 交差点や料金所
    車が頻繁に止まったり動いたりする場所で、わだち掘れを防ぐために採用されます。
  • バスターミナルやバス停
    バスの重さに耐えつつ、明るい色で視認性を高めるのにぴったり。
  • トンネルの中
    明るさが大事なトンネルでは、明色性が活きてきます。
  • 工場やコンテナヤード
    重い荷物やフォークリフトが動き回る場所で、耐久性と耐油性が役立ちます。
  • 公園や商店街
    見た目を重視する場所では、着色や表面加工でオシャレな舗装に。

要するに、「強さ」「耐久性」「見た目」が必要なシーンで輝く舗装と言えますね。

市役所工事(市道)では、大型車交通量の多い幹線道路の交差点の付近(停止線の前)やバス停留所付近が多いかなと思います。薄層カラー舗装(後述します)を省略して舗装に色をつけられるので、そういうカラーリングしたい特殊な場所でも使われるようです。

具体的な場所を見てみよう

Googleマップで具体的な場所を探してみました。

1つ目、大阪市 阪神高速入口料金所の付近

大阪市, 大阪府 – Google マップ

この白っぽく色が変わっている所が半たわみ性舗装です(と思います)。料金所では必ずブレーキを踏んで減速しますよね。そのときに路面に負荷が掛かり、わだち掘れが起きやすいので、半たわみ性を採用していると思います。

2つ目、福岡市 博多周辺の市道(?)

祇園大通り – Google マップ

停止線の手前30mほどだけ半たわみ性舗装になっていると思われます。停止線前は負荷が掛かるので合理的な設計です。ココは施工したてみたいですね。これだけ明色だと分かりやすいです。

見分け方

セメントミルクを入れるので標準的に白または灰色になります。見た目で判別しづらいのですが、現地でよく見ると、骨材同士の隙間が大きくてその隙間に白や灰色のセメントミルクが満たされているのが分かります。

パッと見てコンクリートにも似ていますが、上の写真のように表面が削れて黒いアスファルト用骨材が見えていれば「コンクリートでは無い」と判断できますね。

薄層カラー舗装とは違う?

薄層カラー舗装も舗装に色づける工法ですので勘違いする人は多いのですが、まったく別のものです。

薄層カラー舗装は区画線(白線)の親戚みたいなやつで、アスファルト舗装をきちんと仕上げたあとに、表面に塗料を塗っていくイメージです。区画線よりも施工幅が広くて、色が豊富なバージョンと思っていいでしょう。薄層カラー舗装にもいくつかタイプが分かれていますが、ここでは割愛いたします。

ちなみに、他にもカラーリングできる特殊な舗装はありますのでご留意くださいませ。(まあ顔料入れれば色付きますし)

カミノ
カミノ

半たわみ性舗装もセメントミルクの顔料を変えることで、いろんな色にすることができますよ。

施工の流れを簡単に

どんな風に作るのか、ざっくり説明しますね。

  1. 開粒度アスファルトを敷く
    隙間が多いアスファルト混合物を道路に敷きます。この時点ではまだスカスカ。
  2. セメントミルクを浸透させる
    そのあと(普通は翌日かな?)、特殊なセメントミルクを流し込んで、隙間を埋めます。普通、早強、超速硬のどれかを使います。この工程がすごく大切で、適切に浸透できているかがポイントです。表層5cmであれば深さ5cmにも満遍なく浸透させなければなりません。空隙がそのままになってしまうと逆に弱い舗装になっちゃいますからね💦何度も転圧したり時間を掛けて浸透させていきます。施工は必ず立ち会ってチェックしましょう。
  3. 固まるのを待つ
    養生時間は使うミルクの種類次第。3時間~3日くらいで完成!
  4. 仕上げ(オプション)
    表面を磨いたり、用途に合わせてカスタマイズ。私はしたことないですが。

おわりに

半たわみ性舗装は、アスファルトとコンクリートの長所をミックスした、ちょっと贅沢な舗装方法です。わだち掘れに強く、明色にできる優れもの。

ただし、コストが高いので、使う場所は慎重に選ばれます。道路や施設を見ていて「ここ、なんか丈夫で明るいな」と思ったら、それは半たわみ性舗装かもしれません。

役に立ちましたら幸いです。

ではまた。

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