請書とは、おもな契約事項のみを記したうえで、相手方が一方的にその契約の履行を誓約する書面です。
こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
今日は「請書」について解説します。
請書とは
請書とは、おもな契約事項のみを記したうえで、相手方が一方的にその契約の履行を誓約する書面です。
誓約書みたいなものですね。
請書は「うけしょ」と読みます。
自治体が契約するときは、契約書を作るのが原則ですし、公共工事の工事請負契約でも一般的には契約書を作成します。しかし、金額が低いときなどは、そんなに手間暇をかける必要もないだろうということで、簡易な「請書」で済ませる自治体が多くあります。このことは各自治体の契約関連規則で定められています。
例えば、栃木市の財務規則ではこのように書いてあります。
(契約書の作成を省略することができる場合)
栃木市財務規則
第87条 次の各号のいずれかに該当する場合は、前条の規定にかかわらず、契約書の作成を省略することができる。(略)
2 前項の規定により、契約書の作成を省略するときは、特に軽微な契約を除き、契約の適正な履行を確保するため、請書又は見積書その他適当な文書を徴するものとする。
軽微な契約って例えば何?
さきほどの栃木市財務規則によると100万円未満の請負契約などが軽微なものとされていました。
軽微な契約がなにかというと、土木技師が携わるものでいうと、しっかり図面を作るほどでもない作業とかですね。
具体的には、施設の保守点検、施設の清掃、設備機器の部品交換、物品の購入、工事用原材料・道具の購入、そんな感じでしょうか。建築なら、ガラス修理、雨漏り修繕とかかな?
このなかでも、「特に軽微な契約」は請書すら必要ありません。例えば、契約金額10万円未満は見積合わせ(競争見積)でOKとか、これも各役所のルールで決まっています。小さい案件に無駄な時間を掛けれませんからね。(実務上、請書の有無でそれほど負担の差はありませんけど。)
でも、残念ながら、栃木市がどのような基準で運営してるかは先述の規則からは読み取れませんね。
自治体によっては「建設工事」に分類される作業は全部契約書を作らなきゃいけないところもあります。
請書は法的な拘束力をもつの?
請書は、相手方が誓約するだけの一方的なものであり、契約の両当事者が記名押印するものではありませんから、役所から相手方へ法的に拘束力をもつことはできません。
請書をもらってから、役所が返事をしない限り、いつ契約が成立したかさえ相手方にはわからないのです。
もし、法的に拘束力をもたせるならば、例えば、注文書による「申し込みの意思表示」をしっかりすること、契約の成立時期についてお互いに認識する方法をとっておくことが大切ですね。
もし、支払いの条件だったり特殊なルールを設けたい場合は、トラブル防止のため文書で取り決めておくべきですから、当然、契約書を作成すべきです。
また、個別の法令の規定で義務付けられているときも、当然、契約書を作成しなければなりません。
ちなみに、収入印紙は、契約書と同じ扱いで貼付します。(100万円以下の請負契約は200円)
請書の場合の契約成立時期はいつ?
さきほども言いましたが、請書では、契約の成立時期があやふやです。
自治体によっても考え方が違うかもしれませんが、基本的には、入札の場合は落札者が決定したときです。
随意契約の場合には、承諾の意思表示が発せられたとき、つまり、見積書の提出日です。
なんか、もやっとしますが、そんなもんらしいです(笑)
契約の変更が必要になったときは?
契約の変更をするときはどうしましょう?
そもそも、変更が必要になるような契約を請書ではするべきではないと思います。事前にしっかり作業内容を確認しておき、複雑な作業で、いくつか条件がつきそうなときや、途中で条件変更がありえるときなどは、トラブル防止のため契約書を作成したほうがいい。と、机上では言えますが、実際には請書でバンバン契約するかもしれません。
それで変更が必要になったとき、どうするかというと、下記の方法があります。
1.変更内容について協議書を交わして合意する。
2.増額分について、新たに請書を徴取する。
3.当初の請書を差し替える。
どちらの選択肢についても、何の理由で変更が必要になって、いつ、どのように相手方とやりとりをしたのか経緯などを記録しておきましょう。
実は、こういう細かいルールや様式はしっかり定まっていなくて、各課の判断に任されています。財務上、負担行為なども行いますから、どの方法が良いのか、規則をよく読んで、庶務係と相談して対応しましょう。
おわりに
繰り返しになりますが、自治体によって、請書も必要無い金額設定があったり、別の書類が必要だったりするので、契約関連規則を読んで確認しましょう。
請書の手続きは頻繫にやる部署じゃなければ、過年度案件の手続きも少し間違ってるときがあるので、過去資料だけでなく、規則・マニュアルを片手にしっかり根拠をみるのが大切です。
「建設工事」の場合は、請書だけじゃなく、注文書と契約約款などが必要ですよ。
では、今日はこのあたりで。
またぬん(*’ω’*)ノ
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