図面、仕様書、設計書で表記されるコンクリートの規格等について解説します。
「24-8-40BB」という記号はしょっちゅう見かけますので、何を示しているかは絶対に理解してください。土木技術者の常識だと思われます( ゚Д゚)
コンクリートの規格等の表記について
このように表記がされますよね。ひとつずつ解説していきます。
構造物の種類
まず、積算上はコンクリート構造物は3つに分類されます。基準書には次のように書いてあります。
構造物種別 | コンクリート構造物の分類 |
---|---|
無筋構造物 | マッシブな構造物、比較的単純な鉄筋を有する構造物、均しコンクリート等 |
鉄筋構造物 | 水路、水門、ポンプ場下部工、桟橋上部コンクリート、橋梁床版、壁高欄等の鉄筋量の多い構造物 |
小型構造物 | コンクリート断面積が1㎡以下の連続している側溝、笠コンクリート等、コンクリート量が1㎥以下の点在する集水桝、照明基礎、標識基礎等 |
コンクリート打設方法
打設方法も3つに分かれます。合うものを選んでください。
打設方法 | 選定条件 |
---|---|
人力打設 | 日打設量が10m3未満で、ミキサー車等からホッパ・シュート類により直打ち又は、人力運搬車等による運搬手段を用いて、コンクリートを打設することが適している場合 |
ポンプ車打設 | 人力打設の条件以外でポンプ車打設が適している場合 |
クレーン車打設 | クレーン車による打設が適している場合。トラッククレーンを標準機種としますが、現場状況によりクローラークレーンを選定します。 |
下記のようなフローが積算基準書に載ってますね。
コンクリートの種類
ここからはJIS A 5308レディーミクストコンクリートに規定されている記号の話です。
3つ数字が並ぶ前に「普通」と書いてあることがあります。
これはコンクリートの種類です。普通のほかには、軽量1種、軽量2種、舗装、高強度があります。市役所の土木工事では一般的に普通しか使わないと思っていいので記載が省略されることが多いです。
後述するセメントの種類の「普通ポルトランドセメント」とは違う意味なので注意してくださいね。
呼び強度(設計基準強度)
先頭の数字は「呼び強度」です。呼び強度とは、生コン工場が保証する品質のことで、材齢28日の圧縮強度です。施工業者がプラントへ注文するときなどコンクリートの取引における呼称ということですね。
ただし、私たち発注者(設計者)が示すときには「設計基準強度」を意味することもあります。設計基準強度とは、構造計算において基準とするコンクリートの圧縮強度のことです。18・21・24・27・30・33の3N刻みになってます。一般的に無筋コンクリートは18N。鉄筋コンクリートは24N以上です。
設計基準強度と呼び強度の違い
厳密には、設計基準強度≠呼び強度なので、一応違いを説明しておきます。
設計者は構造計算を行い、想定される外力に対して安全な構造物を設計します。設計基準強度は構造計算の鍵であり、この強度以上のコンクリートを現場では打設しなければいけません。もちろん現場によって環境条件が違いますから、設計基準強度どおりの仕様でコンクリートを注文しても、いざ打設してみると28日後に強度が足りない事態が考えられます。(普通はありえませんが、過酷な現場ならありえるかも)
そうならないように、現場監督は補正を加えた数値で生コンを発注することもあるでしょう。(土木では普通は図面に示された強度をそのまま注文するけど)
設計基準強度≦呼び強度
ということですね。
スランプ
スランプとは、生コンの軟らかさ=施工しやすさを示す指標です。
高さ30cmのスランプコーンを引き上げたときの生コンの下がり(cm)で表します。軟らかいほうが潰れて下がりが増えるわけです。生コンのスランプ規格値には8・12・15・18cmなどがあります。
スランプ計測写真をTwitterにあげてる方もいます。
粗骨材の最大寸法
「粗骨材の最大寸法」とは、ふるい分け試験において測定された数値で、単に骨材寸法の最大値を示しているわけではないことに注意です。最大値はもう少し大きいです。
10・20・25・40mmなどがあります。
大きいほうが経済性が良い(←変わらない?)ですが、現場やかぶり厚を考慮して決定しましょう。狭い隙間に打設するときは40mmで設計してはダメですよ。
セメントの種類
N=普通ポルトランドセメント
BB=高炉セメント(B種)
H=早強セメント
です。
ちなみに、呼び強度に24Nみたいに「N」がついてることがありますが、こちらは強度の単位N/㎟のことです。
最大水セメント比
水セメント比とは、生コンに含まれる水とセメントの質量の比です。水が多ければ施工がしやすく、逆にセメントが多ければ強度が増します。一番バランスのいいところを設計者と施工者がそれぞれ選ぶわけです。
また、中性化にも深く関係していることにも留意しましょう。原則として60%以下ですが、耐久性が必要な構造物なら55%を指定します。施工業者が自主的に社内基準を設けてることもありますよ。必ず50%以下とか。素晴らしいですね!
おわりに
ということで、設計図や積算ソフトなどで見かけるコンクリート表記について解説しました。
発注者向けのコンクリート全般の基礎知識はこちらの記事にまとめましたので参考にしてください↓
ではまたねん
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