都市公園の「誘致距離」って何?

公園

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

公園は、住民にとって利用しやすい位置に配置されることは重要ですよね。都市公園には標準的な配置基準があります。ここではその配置基準である誘致距離についてかんたんに解説します。

公園の種別については↓で解説しています。

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都市公園の種別

配置の話をする前に、都市公園の種別を説明しなきゃいけませんね。香川県のWebサイトから表をお借りしましたので下の表をご覧ください。

「都市公園等」には色々な種類があるんですが、今回は上の5つ(基幹公園)についてお話していきます。普通、公園といえば大体基幹公園のことを指すことが多いですね。

住宅街のなかにある一番小さいものが「街区公園」です。昔は児童公園という名称だったとおり、児童が遊ぶための小さな公園でした。簡単にアクセスできる公園がほしいので、小さい街区公園はすぐに歩いていける距離に配置されます。その次に大きいのが近隣公園と地区公園で、もう少し遠い距離間隔で配置されます。でもまあ一応徒歩でいける距離を想定します。

総合公園と運動公園は都市全体のなかで配置場所を決めるような大きな公園ですね。

誘致距離とは?

公園の誘致距離とは、特定のエリアに住む人々が、公園にどの程度の距離でアクセスできるか(アクセスするのに抵抗感がないか)を指す概念です。公園を中心に円を描く形になるので「誘致半径」とも呼ばれます。

上表にも書いてありますが、街区250m、近隣500m、地区1kmという全国一律の基準がありましたが、正式な一律基準としては平成15年に廃止されました。ちなみに、この数値は、公園利用分析によって整備すべき公園の予定利用者の居住圏域を推定した結果をもとに定められたものらしいです。

(参考)住区基幹公園における誘致距離標準(平成15年3月28日より廃止)
街区公園:250m
近隣公園:500m
地区公園:1km

しかし、この基準は今も「参酌すべき基準」とされています。都市公園法施行令第2条に具体的な数字は出てきませんが、次のように規定されています。

都市公園法施行令の抜粋

(地方公共団体が設置する都市公園の配置及び規模の基準)
第2条 地方公共団体が次に掲げる都市公園を設置する場合においては(略)、次に掲げるところによりその配置及び規模を定めるものとする。

1 主として街区内に居住する者の利用に供することを目的とする都市公園(←街区公園のこと!)は、街区内に居住する者が容易に利用することができるように配置し、その敷地面積は、0.25ヘクタールを標準として定めること。

2 主として近隣に居住する者の利用に供することを目的とする都市公園(←近隣公園のこと!)は、近隣に居住する者が容易に利用することができるように配置し、その敷地面積は、2ヘクタールを標準として定めること。

3 主として徒歩圏域内に居住する者の利用に供することを目的とする都市公園(←地区公園のこと!)は、徒歩圏域内に居住する者が容易に利用することができるように配置し、その敷地面積は、4ヘクタールを標準として定めること。

4 主として一の市町村の区域内に居住する者の休息、観賞、散歩、遊戯、運動等総合的な利用に供することを目的とする都市公園(←総合公園のこと!)、主として運動の用に供することを目的とする都市公園(←運動公園のこと!)及び一の市町村の区域を超える広域の利用に供することを目的とする都市公園(←広域公園のこと!)で、休息、観賞、散歩、遊戯、運動等総合的な利用に供されるものは、容易に利用することができるように配置し、それぞれその利用目的に応じて都市公園としての機能を十分発揮することができるようにその敷地面積を定めること。

 
このように法令では今でも「街区」「近隣」「徒歩圏域」という単位で配置を考えるように示されているんです。自治体が整備計画をつくるときなどは、さっきの数値基準を参酌してくれよってことです。

配置の考え方

では、誘致距離をあてはめて公園の配置の考え方を説明します。

1km×1kmの住区(小学校区)のなかに4つの街区があり、1つの近隣公園と4つの街区公園を配置するのが望ましいとされています。もちろん郊外はそんな密ではありませんし、市街地でもおおよその目安です。地区公園は4つの住区からアクセスできる場所に配置します。沢山の住区が集まって都市が形成されますが、全体で運動公園・総合公園などが1~2つ配置されます。

文章で読んでもわかりづらいですよね。図で見てみましょう。配置のモデル図は下のようになります。

飯田市の「飯田都市計画公園見直しガイドライン 令和7年2月」から引用

あれ?8つの住区があるから、東西に1つずつ地区公園を配置したほうがいいのでは?と思うかもしれません。しかし、東西に運動公園と総合公園があることに注目です。それら大きい公園があるので、中心部の住民のための地区公園が1つあれば十分だろうということです。さらに東西には広大な特殊公園と河川敷緑地もありますからね。このように全体を勘案して計画は作られます。

都市計画において理想的な都市公園はこんな感じですね。シムシティ?みたいですよね(笑)

実際の公園を見てもどの種別の公園なのかは分かりませんが、大きめの「○○中央公園」とか「○○広場公園」みたいな名称は近隣公園のことが多いと思います。小さい自治体であれば地区公園はほぼありません。総合公園や運動公園があれば必要ないから。

では、最後に配置の考え方を表にして終わりにします。

種別配置の考え方
街区公園誘致距離250mを標準
近隣公園誘致距離500mを標準
地区公園誘致距離1kmを標準
総合公園原則として、一の市町村の区域を対象として住民が容易に利用できる位置に配置
運動公園原則として、一の市町村の区域を対象として住民が容易に利用できる位置に配置
広域公園一の市町村の区域を超える広域の圏域を対象として、交通の利便の良い土地に配置
特殊公園風致公園樹林地、湖沼、海浜等の良好な自然的環境を形成する土地を選定して配置
動物公園、植物公園気象、地形、植生等の自然的条件が当該公園の立地に適した土地を選定して配置
歴史公園遺跡、庭園、建築物等の文化的遺産の存する土地若しくはその復元、展示等に適した土地又は歴史的意義を有する土地を選択して配置

おわりに

公園の配置基準を解説しました。参酌基準ではありますが、公園行政全般・都市計画・区画整理・開発許可などの業務のなかで誘致距離の数値が使われています。

都市公園の種別(とくに基幹公園)と、それぞれの規模感、誘致距離の概念は土木系公務員には必須の知識となりますので覚えておいてくださいね😊街区公園の250mを覚えていれば、500mと1kmも紐づいて理解できますよね。

また、さきほどの配置モデル図を見てもらえればよく分かると思いますが、公園だけでなく都市緑地なども都市における大事な緑の要素になっていますね。緑地の話も今後の行政運営では非常に大切になってくる気がします。私も勉強します💦

では、今日はこのあたりで。

またね。

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