役所と民間の違い

仕事全般

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

役所と民間では色々な違いがありますが、ここでは普段語られない3つの観点で書いてみようと思います。

役所=市役所の土木課、道路課などのヒラ職員
民間=建設会社、建設コンサルタントのヒラ社員

を想定しています。

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予算執行という考え

まずは、お金に関する考え方が大きく違います。

公共の仕事をされてる方はよくご存知かと思いますが、役所では予算執行が最重視されます。予算は市民が選んだ首長と議会が決めた1年間のお金の使い方です。つまり、市民との約束事といえます。各部署はその予算を100%消化するために1年間仕事をするのです。

つねに官房部署や上層部は予算執行率を気にしながら、停滞している仕事がないかチェックしています。たとえば、9月時点で「上半期の予算執行率は○○%の○○億円。残りの発注本数は○○件」みたいな数字を報告しています。

予算を残すのは悪とされ、執行できなかったら予算管理に失敗したということ。余程の理由がない限り当初予定の事業で使うべきですし、そうでなくても他事業にまわして使い切るべき、という考え方が根付いています。やるべき仕事は沢山あるのに部署についた予算を捨てるなんてありえませんからね。(財政課はそんなことはないと言うでしょうが)

適切に予算を執行しているか、つまり設計・工程・契約方法が正しいものかは念頭に置いていますが、「利益」という言葉はありません。貧乏部署は「とにかく支出を切り詰めろ」という文化がありますが、少しずつ変わってきてると思います。事業はするけど支出を減らすという考えは、目的物の品質を下げたり、業者にお金を払わずに作業をさせるみたいな不適切な対応をすることにつながってしまいますから、予算が足りなければ「一部事業を次年度以降にまわす」という選択をとります。流用や補正予算である程度弾力的に対応できます。

つまり、多少語弊があるかもしれませんが、適切な設計をしたうえで「予算を使え!ガンガン事業を進めろ!」というのが役所の基本スタンスです。

一方、民間企業ですと、営業が仕事をどんどん受注して、技術系社員たちはその収入のなかでなるべく支出を抑えながら利益出すことが求められると思います。目的物を作るための最も効率的な方法と工程を考えて、人件費・材料費・機械経費をできるだけ切り詰める。そのために実行予算を組みますよね。

民間では、目的物の品質を確保したうえで「なるべく支出をおさえて利益を出せ!」が基本スタンスになるでしょう。

ここが大きな違いですね。

たまに、この役所の考え方はおかしいと思ってる人がいますが、民間の考え方に染まった人から見れば役所が変に見えるだけで、役所の単年度予算主義などのシステムはべつに変ではないし、民間・役所でどっちが良い悪いとかはありません。どちらもダメな運用の仕方をしているとデメリットが出てきてしまうだけです。

クレームとずっと付き合わなきゃいけない

クレームの対応も少し違います。

クレームというのは場所に紐づいたものが多いです。ある場所の舗装がボロボロだ。ある水路の雑草が茂りすぎだ。ある場所で道路工事をしていたがガードマンの対応が悪かった。

役所、とくに基礎自治体(市区町村)の場合は地域からの要望苦情に耳を傾けるのも仕事ですから、一つのクレームが完結するまでずっとお付き合いすることになります

解決に時間が掛かるものもあるし、そもそも解決できないものもたくさんあります。解決できない場合はずーーーーっと付き合うことになります。単純にあたまのおかしいクレーマーが居ても、その担当部署、その自治体に所属している限りずっと対応しなければなりません。

民間の場合は一般市民と関わることが少ない仕事もあるでしょうし、公共工事で発生したクレームでもその地域で作業が終われば離れることができます。半年の工事であれば半年我慢すればミッションクリア。

このような違いがあります。

クレーム対応は人によると思いますが、私の経験では業者のクレーム対応は誠意が感じられないときが多いです。その場だけテキトーに謝って逃げればいいのですから。業者が100%悪いのになんで私だけ謝ってるんだ?みたいなこともある。思い返すと腹が立ってくるので多く書きませんが。まあみんな全てのクレームに事細かに対応してたらしんどいので自己防衛してるのかなと思います。

公務員でも異動で逃げれるので、対応が杜撰だったり誤魔化して去っていく人もいますね。普通に仕事してたら逃げれないので精神的に潰れてしまったり、嫌になって休みがちになったりする人もいます。責任転嫁は官民問わずやる人はやるって感じ。

まあ、基礎自治体で働く以上はクレーム対応は必須です。

業者差と地域差

もうひとつの観点は業者差と地域差です。

役所はたくさんの業者さんに同じような仕事をしてもらうので業者間の力量差をすごく知っています。小さい自治体、狭い業種になると専門業者はほんとに片手で数える程になり、技術者の受け持ち状況や各作業員のスキルも会社同士のつながりもある程度分かってます。

A社は○○さんが書類作るから丁寧でわかりやすい。B社はベテランの○○さんたちがいるから現場は綺麗だけど書類はさっぱり。C社は若い人が多くて活気があり、指摘をすると素直に吸収してくれる。

このように、業者の技量差のようなものを知ることができるのが役所です。

一方、民間企業の場合はいろいろな発注者から仕事を請け負うので、国・県・市町村間の力量差や地域差を知ってると思います。地域によって条例も違うし仕様書もルールも違う。ぶっちゃけ職員の対応は国と市役所で全然違うと思います。一般的には国のほうが厳格で、市役所はゆるいイメージでしょうか。市役所のほうが職員も一緒に協力してくれるイメージかなと思います。どっちがいいかは知りませんが。

私は地域差を知ってる業者さんから他都市の色々な話を教えてもらうようにしています。当たり前と思っていたことが実は役所独自の慣行的ルールだったということも珍しくありません。自分の考えを見直せるので面白いですね。

さて、3つの観点から役所と民間の違いを書いてみました。

べつにだからどうした?って話だと思いますけど、何かの参考になれば幸いです。

ではまた。

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