水道用バルブの基礎知識

水道・下水道

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

道路に埋設されている水道のバルブ。仕切弁だけでなく、空気弁、消火栓もバルブの仲間って知ってましたか? ここでは公務員が知っておくべき水道用バルブの基礎知識を解説したいと思います。

カミノ
カミノ

おもに水道本管用のバルブをご紹介します。

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バルブとは?

バルブは流体を遮断したり制御したりする弁のことです。蛇口🚰をイメージするとわかりやすいかと思います。水道用バルブを閉めるとだんだん流量が減っていき、閉め切ると水が遮断されて下流側は水が供給されません。実際の配水管は網目のように管路がつながっているので断水するためには複数のバルブを閉めなければなりません。

例えば、↓の図のような配水管路で、オレンジのバルブ3つを閉めると間の区間(赤い管路)は断水します。水道は圧力をかけて水を送ってるので、バルブをどれかひとつでも開けると断水は解消されます。

これが最もよく使われている「仕切弁」の役割です。

その他にも、流量や圧力を制御するバルブや、管路のエアーを抜くための空気弁や、消防活動に使われる消火栓などたくさんの種類のバルブが存在します。

バルブの開け方

路面にあるフタが気になる方も多いかもしれません。あの下はどうなってるんだろう?どうやって開けるんだろう?

そんな疑問にお答えしましょう。

まず、フタはこんな感じですね。あら可愛い。
小口径の配水管であればφ250(直径25cm)のフタです。

このフタの穴に専用の棒(開栓キー)を挿し込んでパカッと開けることができます。開栓キーは色んなタイプがあるんですが、例えばこんなん↓ ②の右上の部分でフタを開けます。φ500クラスになるとキーを挿し回して引っかけるタイプになると思います、たぶん。

伸縮型開栓キー (制水弁キー) | 株式会社 北川鉄工所 公式サイトより引用

↑開け方まで写真付きで載ってますねスゴイ

フタを開けると水道管は見えませんが、↓のようなバルブのてっぺんだけが見えます。そこに開栓キー①②の下部をはめてぐるぐる回すとバルブを開閉することができます。

ソフトシール仕切弁 | 水道用バルブメーカー 株式会社 清水鐵工所公式サイトより引用
こんなふうに開けます。株式会社 北川鉄工所 公式サイトより引用

フタにも色々ある

バルブの種類を解説する前に、フタを解説しましょう。一般市民にはこちらのほうが興味深かったり…。

下水のマンホールと違い、水道の仕切弁などのデザイン蓋はめずらしいです。見かけたらラッキー✌️

さきほども書きましたが通常はφ250くらい。大口径バタフライ弁などはφ500とかφ600もあります。特殊ものはφ900、φ1200もありえるかも。

こちらのフタには自治体名は載っていませんね。その代わりに「仕切弁」「水」「↑」「150」という情報がわかります。「↑」は水の流れる向き、「150」は管の呼び径150mmを表しています。私はこういう機能性がある方が好きです。

これを極めると、やり過ぎなスーパー機能性重視したフタが誕生します。

日之出水道さんの公式サイトによりますと、こちらのような情報を選べるらしいです。ぱっと見で管種、口径、土被りとかわかるのは嬉しいですね。

一方、消火栓の蓋は目立つように黄色や赤色で塗られています。

消火栓はデザイン蓋が多い気がしますね。

空気弁にもデザイン蓋があります🐨

皆さんの町のバルブの蓋も見てみてくださいな。

バルブの種類

さて、本題に戻ります。水道用バルブを用途で分類すると、

①遮断用(仕切弁・バタフライ弁・補修弁など)
②制御用(バタフライ弁・減圧弁など)
③管路保護用(空気弁・逆止弁など)
④消防用(消火栓)
⑤非常用(緊急遮断弁など)

だいたいこの5種類ですね。

用途によって役割がちがうので、構造もちがってきます。代表的なものだけご紹介します。

仕切弁

俗称的にはバルブを仕切弁と呼んだりしてますが、厳密には仕切弁はバルブのなかのひとつの種類です。

仕切弁(ゲートバルブ)は、弁体が上下に動く構造で開け閉めします。全部開けるか全部閉めるかの用途で使うので流量を調節する役割には向いていません。

水道本管ではメタルシート仕切弁ソフトシール仕切弁がよく使われます。ソフト弁は弁体にゴムライニングしてあるので締め込むとムニッとゴムが押し込まれて止水します。ゴムということでサビの影響が出にくいので最近はソフト弁が主流ですね。ずっと閉めっぱなしだとゴムが変形するらしくそんな用途には向いてません。メタル弁は弁体が金属なのでガチッと閉まり、長期的に閉める場所にも用いることができます。古いバルブはメタルです。

給水管は止水弁・止水栓と呼ぶことが多いと思います。仕切弁形式だけでなく小さい玉形弁やボール弁だったりします。玉形弁はその名の通り見た目が玉のかたちをしていて、内部で水がS字になって流れています。ボール弁は穴のあいた球型弁体が回って開け閉めします。

代表的なバルブの構造 滋賀県東北部工業技術センター公式サイトより引用

皆さんのご自宅にも必ず止水弁はあります。水道メーターのボックスの中にレバー式またはハンドル式のバルブがそれです。ぜひ触ってみてください。

バタフライ弁

バタフライ弁はチョウ🦋みたいなバルブです。は?????。いや、形がですね、チョウ🦋に似てるらしいんですよ💦

真ん中に軸があり、平らな弁体が回転して隙間から水が流れます。つまり90度回転で全開ということですね。

基本的にφ500以上くらいの大口径管路で使われ、仕切弁と同じ役割をしてますが、流量調整などにも使われます。

なぜ大口径ではバタフライ弁なのかというと理由は2つあります。まず、仕切弁は上に弁体を持ち上げるのでそのスペースが必要になり、大口径になると製品が大きくなりすぎるんです。もう一つの理由は、軸の回転だけなので開閉トルクが小さく操作できるからです。逆にいうと仕切弁は大口径で使うには固すぎて開け閉め出来なくなるのです。

空気弁

空気弁は管のなかのエアーを抜くための弁です。空気のことをかっこよくエアーといいます。エアーは流体管理の上で厄介な存在で、流路が狭くなったり、圧力を不安定にしたり、水が白く濁ったり、いろいろと悪さをします。

空気弁は水を通さずに溜まった空気だけを取り除く構造になっています。よくわからんけど凄すぎますね。もちろんエアーは高い方に昇っていきますから、エアーが溜まるところ、つまり管が上に凸になっているところに設置されています。

超わかりやすい図

橋梁添架管でよく見かけますね。

露出管につけられた空気弁

フラットなところでも500〜1000mに一箇所くらいつけましょう。

消火栓

消火栓の存在は誰でも知ってると思います。

屋内の消火施設は建築基準などで設置ルールが決められていますが、水道施設の消火栓は消防法第20条と水道法第24条に基づいて設置されます。設置ルールは消防水利の基準と各自治体の運用ルールで規定されています。

消火栓には地下式地上式の2種類あります。

道路に埋設されている“地下式”では、専用スタンドパイプを結合して、さらにそこにホースを結合して消火活動を行います。

最初から地上にホース結合口が出てるのが“地上式”です。積雪がある地域では地上式が設置されています。

地上式消火栓

使うときは他のバルブと同様に開栓キーを挿しこんで回すと、水が出てきます。

消火活動には使わないけど、洗管用に設置される同じような仕組みのバルブは排泥弁とか排水弁とか言われたりしますね。



ということで、水道事業者以外の方に向けて水道用バルブをかんたんにご紹介しました。

もっと詳しい説明は別記事でするかもしれません。

お楽しみに。

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