こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
都市の水道施設は、「上水道」「中水道」「下水道」「工業用水道」の4つに分けられます。
ここでは土木公務員が知っておくべき「4つの水道施設」について、かんたんに解説いたします。
中水道と工業用水道はマイナーですから、そんなものもあるんだな~程度の認識でいいですよ。
水にまつわる4つの施設
水にまつわる4つの施設「上水道」「中水道」「下水道」「工業用水道」。
これら4つを総称して、「都市用水」と呼びます。
なお、「水道」とは、都市用水と同じ総称として使うこともありますが、一般的には飲用できる「上水道」のことを指しますので土木技師は間違えないようにしましょう。
都市用水以外には、農業用水や水力発電用水などがあり、そちらの方が使用総量は大きいのですが今回は都市用水のみの解説になります。
ではひとつずつ見ていきましょう。
上水道とは
上水道(水道)とは、飲用の水を供給するための施設全般のことです。例えば、河川の近くに設けられた取水場や、道路下にある水道管、浄水場、配水池、それぞれの建物、ポンプなどですね。
水道法では「水道」とは、導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいう。ただし、臨時に施設されたものを除く。とされています。
厳しい水質基準に合格した、綺麗な水ですね(*´ω`*)
ちなみに水道管は役割によって導水管・送水管・配水管・給水管などの種類があり、管種やサイズがちがいます。
所管省庁は、厚生労働省。
中水道とは
中水道とは、生活排水・産業排水・雨水を再生処理して利用するシステムのことです。国交省はわかりやすく「雑用水利用」と呼んでいます。飲用ではなく、水洗トイレや消火用水などに使われています。
例えば、官公庁の施設をはじめ、「埼玉スタジアム2002」「東京ディズニーランド&ディズニーシー」「幕張新都心地区」「東京ドーム」など、とくに東京・福岡などの渇水に見舞われやすい地域で普及を進められていますよ。
ちなみに、建築基準法による建築設備定期検査においては、国土交通省が定める雑用水の通水試験を行い、上水などへのクロスコネクションがないか、着色剤を中水タンクに注入したりして検査を行います。
所管省庁は、国土交通省。
塩素による消毒がされず、飲用水に適する水質の基準は満たされませんが、ふつうに綺麗な水ですから、上水道と同じイメージで良いと思います。
下水道とは
下水道とは、生活排水や産業排水などを、衛生処理を施し、ある程度きれいな水にして河川や海に排出するための施設全般のことです。
下水道法では「下水」とは、生活もしくは事業による廃水(汚水という)または雨水のこととされています。また、「下水道」とは、下水を排除するために設けられる排水管、排水渠その他の排水施設、これに接続して下水を処理するために設けられる処理施設またはこれらの施設を補完するために設けられるポンプ施設、貯留施設その他の施設の総体のこと、とされています。
使い終わったトイレの水やお風呂や洗濯用水など、汚い水を排出するものを「汚水管」と呼び、雨水のみを排出するものを「雨水管」と呼びます。どちらも下水道ですよ。
所管省庁は、国土交通省。
下水道には合流式・分流式がありますが、また次回詳しく解説します。
工業用水道とは
工業用水道とは、工場などに雑用水を供給するための施設全般のことです。
工業用水道事業法では「工業用水道」とは、導管により工業用水を供給する施設の総体とされています。
上水道にすごく似ていますが、工業用水は原水を沈殿処理(一次処理)しただけのものであり、上水道のようなハイレベルな浄水処理をしていません。そのため、直接飲用水としては利用できませんが、上水道に比べて非常に安価なので、工業の発展には欠かせないものとなっています。
ちなみに、昭和のはじめごろに井戸水を汲み上げすぎて地盤沈下問題が起きたために、工業用水法で井戸の取水規制がされることになり、同時に工業用水の給水が広まりました。
所管省庁は、経済産業省。
一般家庭と同じような水質は必要ないですし、高額すぎますからね。
水資源行政に関する組織と法律
おまけです。参考に、水に関する行政組織と法律を載せておきます。
例えば、いまから新規で水道関連事業をはじめようと思ったらこれら関連法令をしっかり遵守し、各機関に許認可申請などを行う必要があるのです。めんどくさいですね( ゚Д゚)
【国土交通省】
水管理・国土保全局 水資源部
・水資源開発促進法
・独立行政法人水資源機構法
・水源地域対策特別措置法
・雨水の利用の推進に関する法律
水管理・国土保全局 水政課、河川環境課、治水課 等
・河川法
・特定多目的ダム法 等
水管理・国土保全局 下水道部
・下水道法 等
【厚生労働省】
・水道法
・水道原水法 等
【農林水産省】
・土地改良法
・森林法 等
【経済産業省】
・工業用水法
・工業用水道事業法 等
【環境省】
・水質汚濁防止法
・水道水源法 等
多岐に渡りすぎやろ。
おわりに
ということで、4つの水施設について解説しました。
上水道
→ 飲用の水を供給するための施設全般のこと
中水道
→ 生活排水・産業排水・雨水を再生処理して利用するシステムのこと
下水道
→ 生活排水や産業排水などを、衛生処理を施し、ある程度きれいな水にして河川や海に排出するための施設全般のこと
工業用水道
→ 工場などに雑用水を供給するための施設全般のこと
各法律や官公庁によって名称の使い方がちがうときもあるのですが、おおよそ概要を理解しておけば大丈夫と思います。
中水道と工業用水道はすごくマイナーな施設ですから、そんなものもあるんだな~程度でいいですよ( ゚Д゚)
ただし、上水道と下水道の違いに関しては重要なのに市民の方だけでなく事務職の職員さんでもよくわかっていないことがありますので、ここの違いだけは理解しておきましょう。
では、今日はこのあたりで。
またぬん(*’ω’*)ノ
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