こんにちは、気象予報士のカミノです。
ここでは、実技の勉強で必要になる「短期予報解説資料」について、独自の解釈で書いてみようと思います。
私の考えなので間違ってるかもしれませんのでご注意ください。
実技試験は何を測る試験なのか?
実技試験はなかなかの曲者です。過去問と模範解答を見てもピンとこない受験生も多いと思います。勉強方法がわからない人も多いはずです。
公表されている実技試験の科目は次の3つです。
1 気象概況及びその変動の把握
2 局地的な気象の予報
3 台風等緊急時における対応
3の台風等緊急時とは災害のことで、台風を出題される確率が高いですが、大雨等だけのときもあります。試験的には1と2がメインですが、3も応用問題というわけではないし、そんなに難しい出題ではないので点数を稼ぎたいところです。
1→2→3の流れは気象解析→気象予想→災害予想の流れですね。つまり、実技試験は実際おこなわれている気象解析と予想のながれをコンパクトにまとめたものであり、その各過程の能力を測る試験と言えるでしょう。
このような実技試験の勉強には短期予報解説資料がめちゃくちゃ役に立ちます。
短期予報解説資料とは?
短期予報解説資料とは、気象庁の予報官が作成するもので、その名のとおり気象庁が発表している短期予報(明後日までの予報のこと)を解説する資料のことです。
気象庁の「専門家向け資料集」から見ることができますよ↓
気象庁|気象の専門家向け資料集 (jma.go.jp)
短期予報解説資料は天気図との組み合わせで読むものです。天気図についてはこちら↓の記事で解説しました。
短期予報解説資料は、3時40分(前日21時の天気図をもとに作成)と15時40分(9時の天気図をもとに作成)の1日2回発表されます、たぶん。ってことで、15時40分発表の短期予報解説資料を見るときは9時初期時刻の解析図・予想図と一緒に見る必要がありますよ。
では、短期予報解説資料の中身をみていきましょう。
主要じょう乱解説図
右上に主要じょう乱の解説図がありますね。○に(数字)は低気圧、□に(数字)は高気圧の予想位置で、数字は(数字)時間後という意味です。例えば⑫は12時間後の低気圧中心がそこに予想されてることを意味します。擾乱が混雑して分かりづらいときもありますが、そのときは予想図を見て移り変わりを確認しましょう。
また、FTは予想時間のことで、FT24とあれば24時間後の予想ということです。前線記号の黒塗りはFT24、白抜きはFT48で、FT12とFT36は点線のみとなっているようです。また、シアーラインは破線で表現されます。
我流ですので間違ってたらすみません。(どこにも解説図の説明は載ってないのよ…)
1.実況上の着目点
【1.実況上の着目点】は、実況の解析ですね。
実況(初期時刻)のどこに擾乱があるのか、上空はどうなっているのか、どこで雨や雪や強風が解析されたのかを述べています。①②③などに分かれていてそれぞれ違う擾乱や現象について言及されています。例えば「①低気圧からのびる前線が日本の南から南西諸島へのびている。」とか「②北日本では、これらの寒冷渦周辺の 500hPa-39℃以下の寒気が流入」とか書かれたりします。
これは実技試験でいうと問1にあた「概況」と呼ばれたりします。試験では、地上天気図・高層解析図・気象衛星の画像のなかで、擾乱周辺・雨雲があるところを図から読み取り問題に答えていきます。
概況はわかって当たり前なので、問1は正確さに加えてスピードが大事です。わからないうちは【1.実況上の着目点】に書かれていることを天気図と丁寧に照らし合わせて確認しましょう。
2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点
次に、【2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点】では、地上擾乱の変動予想について、局地の気象について書かれています。
これらは実技試験の問2~4にあたるものです。(実技試験の設問形式は変わるのであくまで例)
例えば、問2で低気圧の12時間~24時間後の変動予想についてアレコレ聞かれたりすることが多い。というか必ず聞かれます。
ほかにも問3で○○付近に進んだ低気圧や、ある地点の地上の状況について、「低気圧中心の位置は?」「風は?」「気圧は?」と聞かれたりもしますよね。
3.数値予報資料解釈上の留意点
【3.数値予報資料解釈上の留意点】はあまり気にしなくていいです。
「総観場はGSM を基本、量予想や降水分布はMSM やLFM も参考。」と書かれてたりしますね。実技試験でモデルの違いが出題されたりするので一応数値予報モデルの違いとか特徴を知っておくと良いかと思います。
全球モデル(GSM) 地球全体の大気を対象とした気象庁の数値予報モデル。Global Spectral Model
メソモデル(MSM) 日本及びその近海の大気を対象とした気象庁の数値予報モデル。Meso-Scale Model
局地モデル(LFM) 日本領域の大気を対象とした気象庁の数値予報モデル。Local Forecast Model
気象庁のサイトより
4.防災関連事項 [量的予報と根拠]
大雨、大雪、波浪、高潮などの可能性がある場所と数値が書かれています。
①大雪ポテンシャル(18時からの24時間):北海道40、東北30cm。
②波浪(明日まで):北海道・東北・北陸4、伊豆諸島・近畿3m。
③高潮(明日まで):北日本では注意報基準を超える所がある。
例えば上記のように書かれたりしますね。実技試験では最後の設問で防災関連を問われます。釧路地方気象台が発表した府県気象情報の文章の穴埋めをしなさいとか、警報・注意報を答えさせる問題とか。
とりあえず波浪・高潮は置いておいて、大雨・大雪については「2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点」と天気図を見れば因果関係がわかると思いますので1つ1つ確認しましょう。さらに気象庁(気象台)が発表している天気予報ともリンクさせて勉強するといいかと思います。
5.全般気象情報発表の有無
日本全国を対象とする気象情報がここに記されます。台風とか大雨、顕著な大雨、高温情報などですね。
具体的な勉強法は?
さて、こんな感じで短期予報解説資料と実技試験が似通ってることが分かりましたか?だから「短期予報解説資料を見て勉強しよう」と言われるのです。
では具体的にどんな勉強をするのかというと、自分のやりたいようにしてもらって良いと思います。ナンジャソリャヽ(・ω・)/ズコー
私は短期予報解説資料を一文ずつ読んで、天気図の該当するところと照らし合わせて「ふんふん、なるほどね」と納得する、みたいな勉強法でした。天気図を見るのが早くなるし着目点もわかるようになる気がします。これだけでも丁寧にやるとすごく時間が掛かりますよ。
熟練者は、天気図から独自の短期予報解説資料を作って本物と見比べることも出来るらしいですが、私は時間が掛かるしそこまでの能力はないのでやりませんでした。
また、時間があるなら防災関連情報から逆に辿ってみる、例えば、「大雪ポテンシャル:北海道40cm」と記載されているとして、それは天気図から読み取れるか?雨じゃなく雪と判断できるか?なぜ大雪が降るのか?原因を考えてみるとか防災関連情報(結果)から原因を分析してみるのも勉強になるかなと思います。
ざっくりと解説してみました。とりあえず数日間追ってみてください。そして、自分なりの勉強方法を探ってみてください。ポイントは試験の出題をイメージすることですね。
では、次回の更新をお楽しみに。
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