市街地でのムクドリ問題 ~騒音と糞害、対策について~

道路

こんにちは。土木ブロガーのカミノです。

見られた方も多いかもしれませんが、先日、NHKの朝のニュースで山形市のムクドリ問題について特集が組まれていました。

ムクドリたちが市街地に集まり、全国各地の自治体が頭を悩ませているそうです。実は、私の市も例外ではありません( ゚Д゚)

今日は、このムクドリ問題について解説します。

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ムクドリの生態・習性について

ムクドリは、オレンジのくちばしをもった全長24cmほどの鳥で、雀より少し大きいくらいです。

1匹なら可愛らしい小鳥ちゃんですね(*’ω’*)

遠くから見ると、雀みたいなのが大量にいるな~くらいの印象だと思います。

渡り鳥ではなく、日本国内では、留鳥もしくは漂鳥です。

ムクドリはかつて田畑に近い森林などに住んでおり、雑食で畑に害を及ぼす害虫を食べてくれていたので、農家の人からは益鳥として扱われていたそうです。しかし、今は、里山の樹林地や屋敷林などが開発されたことにより、本来の住処がどんどんと減少してしまいました。それにより、天敵である猛禽類やヘビなどから身を守るために、市街地等のねぐらにしやすい樹木があって天敵があまり近づかない場所に移ってきたと考えられています。

春から初夏までが繁殖期で、ヒナが巣立つまではつがいで行動し、木や人家の軒先などに巣をつくります。ヒナが成鳥となる初夏以降には大群化し、昼間は分散して郊外の田んぼや公園など緑と水がある場所で餌を採り、夕方になると安全な市街地に群れで戻って来て、そこをねぐらとします。

私の市では夏くらいから目立つようになり、寒くなる11月頃にバッタリいなくなりますが、滞在期間は気候等によって変わるようです。

個人的には、「ねぐらである樹木がある」「ビルなどに囲まれて暖かい」「明るい」といった条件がムクドリは好きなのかなーと思います。

どんな被害があるの?

写真:メ~テレより

うるさい鳴き声

夕暮れ時になると、1万羽をゆうに超えるほどの大群が市街地の公園や街路樹に集まり、夜遅くまで鳴き続けます。ずっとお喋りしてるわけです。鳴き声はギュルギュルみたいな音で、何万羽も重なり合って不気味な音になっていますね。

私の住んでいる市街地では夕方から深夜の0時過ぎまでうるさい時もあります。

通行するだけの人はそこまで深刻には考えませんが、近隣に住んでいる方や店舗の方は死活問題だと思います。

糞害。とにかくフンが汚い!臭い!

何万羽も集まるわけですから、それだけフンもしますね。空から降ってくるので傘をさして歩く人もいるそうです(ほんとかな?)

フンにより、通行がしづらくなるのもありますし、あと臭いんですよね。朝からめっちゃ臭うんですよ。

この糞害問題が、公物管理者の私たち土木技師が一番つらいところですね。公園の施設もめちゃくちゃ汚くなるんですが、特に道路が通行できないほどフンで汚れてしまうので、クレームも来ますし、でも清掃してもすぐ汚れるし、お手上げって感じです。

私の市では、市の公園と、市道と県道と国道に被害があり、より市民に近い市役所にクレームが寄せられます。いや、原因者じゃないし知らんがなって感じですよね。

ムクドリ問題はどこでも起こりうる問題

先日のNHKの特集では山形市が取り上げられていましたが、20年以上前から全国各地で被害が問題視されています。

こちらのFNNのニュースではさいたま市を特集しています↓↓

動画の中では、群馬の前橋市、埼玉の川越市、福島市の名前が挙がっていますが、そのほかにも東京23区でも被害がありますし、検索すると全国の自治体で被害があることがわかります。

なぜなら原因が、「里山の樹林地や屋敷林などの開発」ですから、全国的に条件は同じなのです。

自治体がおこなっている対策

さて、公園や道路の管理者である自治体にはクレームが山のようにきていることでしょう。

鳥獣による被害ですから、環境課などの環境系部署が対応したり、被害を受けている道路管理課公園管理課などが対応することになります。被害を受けている管理者が、市民から加害者のように責められるわけなので困ったものです。土木職に限らず事務職でも勿論対応することになりますので、覚悟しておきましょう。

国内の野鳥は、「鳥獣保護管理法」という法律によって保護されています。ムクドリも保護の対象となっており、鳥獣保護管理法の中で、許可や資格のない駆除または狩猟は禁止されています。捕まえて殺すことができないわけです。捕獲は、害鳥として認められる場合によっては可能だと思います。

自治体でおこなっている対策をいくつかご紹介します。

フクロウ・カラスの模型をとりつける

ムクドリの天敵であるフクロウ(猛禽類)の模型を、街路樹やビルの屋上などに取り付けます。皆さんの住んでいる市街地でも街路樹周りを見てみるとフクロウ(模型)がいるかもしれません。

ムクドリたちは一時的にビビって近づかなくなりますが、慣れると戻ってくるようです。

動く模型のほうが効果が長続きするって聞いたことありますがどうなんでしょう。電池式なんでしょうか?

ムクドリが嫌がる音を流す

単純に、金物でカンカンカンと音を立てて追い払ったり、発音装置でムクドリが嫌がる音を流したりするそうです。

ある程度の効果はありますが、やはりしばらくすると戻ってきてしまいます。継続的に行うことにより居なくなるかもしれません。

また、特殊波動方式の機器を使ってパルスをランダムに発生させると、最も効果があるそうです。

街路樹を剪定する

公園や道路の樹木をバッサリ剪定してあげます。とまる枝がなくなるので、ムクドリは次第にいなくなります。かなり効果があります。

私の市でも、あるとき県が県道街路樹の剪定を行いました。すると、雨が降った翌日には、「ここには寒すぎて居れない」と思ったのかムクドリはさっぱりいなくなりました。そのかわり近くの公園や国道に移っていきました。

電線にとまる場合も、近くに樹木がある場所ですので、樹木を剪定してあげるといなくなると思います。最初から電柱・電線しかないところに集まっているのならお手上げですね(;´・ω・)

鷹による追い払い

写真:旅する写真愛好家より

こちらもかなり効果があると思います。鷹匠を呼んで鷹で追い払ってもらう方法です。

福井県や滋賀県で実際にやって効果があったそうです。たぶんやってるところ多そうです。

費用は高額そうですが、どんなもんなんでしょう。

株式会社鷹匠によると、

初回害鳥追い払いプラン

稼働回数:月8回
期間:3ヶ月~6ヶ月(状況に応じて変化します)
費用:30万円(税抜き・交通費別途)

追い払い後アフタープラン(環境維持管理)

月2回稼働:1〜3月、7〜12月
月4回稼働(繁殖期):4〜6月
稼働合計回数:年30回(基本)
期間:一年契約 
費用:60万円(税抜き・交通費別途)

とのこと。うーん。どうなの?

高いけど、効果がのぞめるなら…パフォーマンス的な意味もあるし(;´・ω・)

ご家庭で出来る対策法

家の周りに集まるとか、庭に巣を作りだしたとか、そういう場合に簡易的に対策する方法を考えてみます。業者にしてもらう場合は3万円くらいで対策してくれるようです。

音で追い払う

まずは、音ですね。カンカンカンと鳴らしたり威嚇したら逃げていくようです。何度もしましょう。

獣害用の装置もありますよ(*´з`)b

鳥よけネット・鳥よけシート

ムクドリ以外のものにも対策として使われているもので、ベランダなどに鳥よけネットを張る方法と、鳥よけシートを敷く方法です。

物理的に侵入を防ぎ、営巣させることもないし、糞害などはなくなりますね。

フクロウの模型を置く

自治体の対策でも実施しているものですが、鳥よけグッズやフクロウの模型を置くと近寄らなくなります。

ここまですることがあるか分かりませんが…。

ムクドリ問題の課題

最後になりますが、課題について考えたいと思います。

まず、ここで述べてきた対策は、その場所から別の場所にムクドリを移しているだけなので、根本的な解決になっていないという問題がありますね。自治体側も分かっていることなのですが、それしかする術がないのです。カラス等の別の鳥獣被害も一緒です。

根本的には、人里離れたところにムクドリの住処を戻してあげないといけないのですが、それはできません。なぜなら、諸々の事情によりひたすら宅地開発がされているからです。国が土地利用を変更できるような文化的土壌がないので住処を戻してあげることは無理だと断言できます。

では、根本的にはどうするかというと、ムクドリを捕獲して殺すことが解決になります。法令を改正して、ムクドリを害鳥と認定して殺処分も許可する。人間様が勝手に住処を潰したくせに、人間様に迷惑かけてるから殺すって、それどうなの?って思いますが、それが人間のエゴなのです…。

実際はこれも環境保全の観点から難しいでしょうね。一生解決することのない問題だということです。

被害箇所から一時的に追い払って、また次の場所でも追い払う、を一生ループすることになります。

なるべくコスパが良い対策方法でその場をしのぎましょう。

カミノ
カミノ

肥大化してしまった人間社会の歪みですね。可哀そうなムクドリ。

では、今日はこのあたりで失礼します。

ありがとうございました。

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