現場代理人とは?主任技術者と監理技術者との違いについても解説

土木全般

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

公共工事では現場代理人を置くことが決まりとなっています。(もしかしたら配置義務がない自治体もあるかもですが…)

しなしながら、主任技術者との違いをよく分かってない職員も多いと思いますので、ここでは市役所の土木工事を例に挙げて、超わかりやすく解説しようと思います。国・都道府県とは多少ルールが異なるかもしれません。また、民間はかなりルールが異なります。

現場代理人は誰を代理する?

現場代理人は、工事現場の監督をするイメージですが、誰を代理する人なんでしょうか?
 

正解は、・・・・・・・「請負人」つまり会社の代表取締役です。

たとえば、市の土木工事であれば、市長と建設会社の代表取締役が契約を交わしますね。その契約履行に関する権限を請負人である代表取締役に代わって行使できるのが「現場代理人」です。

実際は現場監督をしていますが、書類上の役割としては技術的なことは担当しなくてもよくて、現場に常駐して問題が起きたときに会社(技術者)と役所(監督職員)に連絡を取ったり、契約上の書面を取り交わすことができればOKなのです。

カミノ
カミノ

ちなみに、市役所レベルの工事では代表取締役が現場代理人になって「ん?もうこれ代理人じゃなくて本人じゃん」という状況もよくあります。

常駐とは?

建設会社は沢山の工事を同時進行で進めていますから、役所側としてはきちんと公共工事の現場をおさめてもらうためには、その担当者を明確化かつ唯一化して、現場に専念させ、工事現場を適切に運営できるようにしたり、発注者と連絡を取りやすくする必要があります。

そのため、発注者(自治体)が公共工事標準請負約款で工事現場に常駐することを義務付けています。

「常駐」とは、当該工事のみを担当していることだけを意味しません。工事期間中、特別の理由がある場合を除き常に工事現場に滞在していることを意味するものであり、その作業場所または近くの現場事務所や資材置き場などに居て、労務管理、工程管理、安全管理等を行い、監督職員との連絡に支障をきたさないようにしなければなりません。

なかなか厳しい制約ですね…。

常駐義務が緩和されるときもある

さすがに小さい工事で拘束されると厳しいので、緩和措置がとられています。大体どこの自治体もルールは似ていて、例えば、次の場合は常駐義務はありません。

  • 契約締結後、現場事務所の設置、資機材の搬入又は仮設工事等が開始されるまでの期間。
  • 工事請負契約書の規定により、工事の全部の施工を一時中止している期間。
  • 橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター等の工場製作を含む工事であって、工場製作のみが行われている期間。
  • 工事現場において作業等が行われていない期間。
  • 1件の工事における請負額が○○○○万円未満の工事(技術者の専任が必要とされない工事)で、発注者又は監督員と常に携帯電話等で連絡がとれる場合。

まあ色々例外はあるようですが、小さくない現場では必ず常駐だと覚えておきましょう。

常駐である→専任である

また、常駐であるということは専任であるということです。専任とは、1つの工事に対してのみ従事している状態のことです。手持ちの工事が竣工する前に、2つ目の工事の現場代理人になることはできません。

しかし、昨今の人材不足などから他の現場も兼務できるような規制緩和が広まっています。常駐義務のある現場代理人を他の現場にもつかせる???それほどに人材不足は深刻なんでしょうけど…。働き方改革って何でしたっけ???

現場代理人の資格要件

よく勘違いされていますが、現場代理人には施工管理技士などの免許は必要ありません

誰でもOKです。

ただし、多くの自治体で「会社との直接的かつ恒常的な雇用関係」を求めてることが多いです。そこらへんを歩いているオジサンを捕まえてきて現場代理人ですと言われても困りますからね。「直接的かつ恒常的な雇用関係」とは、例えば、「入札日以前に3カ月以上の雇用関係にある正社員」みたいな内容です。入札を取るためだけに短期間雇用されてもダメですし、派遣社員でもダメですからね。資格要件は入札申請のときに審査されると思います。

雇用関係にあれば誰でもOKってことですが、実際のところ、現場の運営や発注者と連絡を取り合ったりするなかで土木施工のこともしっかり分かっていないと成り立ちませんから、現場監督ができるくらい能力の高い人が選ばれ、主任技術者と兼任していることもよくあります。

主任技術者や監理技術者との違い

ややこしいのが、現場代理人とは別に「主任技術者」を配置しなければならないことです。若手の中には混同してしまってる人もいると思います。こちらの「主任技術者」はガチの技術者ですから、建設業法に基づく資格要件があります。

というより、工事現場にとっては技術者の配置のほうが重要であり、現場代理人の配置義務は“お互いやりやすくなるように”という理由で役所が公共工事標準請負約款で勝手にルール化しているだけとも言えます。

さらにさらに監理技術者なんて名前のよく似た役割がありますが、監理技術者は下請契約が一定額を超えると主任技術者がグレードアップして呼び名が変わるものであり、主任技術者と監理技術者が同時に配置されることはありません。

つまり、公共工事では元請は
①「現場代理人+主任技術者の2人」
②「現場代理人+監理技術者の2人」
③「現場代理人(技術者兼任)の1人」
という3パターンの配置がありえます。

なお、下請にも建設業法に基づき主任技術者1人の配置が義務付けられているので、1つの現場に主任技術者は沢山います。

技術者の配置については重要なので別記事で解説したいと思います。

一応それぞれの違いについて表にしておきます。

項目現場代理人主任技術者監理技術者
役割施工会社の代表として現場を統括・管理技術的な面から工事の品質確保や施工管理を行う主任技術者の職務に加えて、協力会社の管理など全体の技術統括を行う
位置づけ契約上の代表者(現場における契約履行責任者)工事に配置される技術責任者下請管理が必要な場合に主任技術者にかえて配置される
設置要件公共工事では必須すべての建設工事で必須下請契約の総額が○○○○万円以上の場合に必要
資格要件特になし(ただし会社との雇用関係が要件となる自治体もある)必要な資格:施工管理技士(1級または2級)等必要な資格:1級施工管理技士等+監理技術者講習修了
現場常駐義務ありなしなし
専任義務原則専任。(例外規定あり)契約の総額が○○○○万円以上から専任。(最近は兼任規定があることも多い)原則専任。(兼任規定あっても厳しい)
主な業務内容工事の進捗・安全・品質の管理全般、発注者との連絡窓口工程管理、品質管理、安全管理など技術的な監督協力会社の施工内容確認、技術的調整など
兼任の可否主任技術者または監理技術者と兼任可能現場代理人と兼任可現場代理人と兼任可

金額基準はよく変更されます。最新の規定を確認しましょう。

おまけの話

さて、ここまで、契約約款による現場代理人の常駐義務と専任義務について説明してきましたが、市役所の工事ではたまに常駐義務(専任義務)を無視する業者が見受けられます。なんと、現場代理人は名義だけで、実務は別の人がやってるなんてことがあるのです。せっかくの制度がまったく意味をなしていません。こういうのはやめてほしいです。今の時代は必ずしも役所が力関係的に上ってわけでもないですし、代替者を立てれない場合は契約自体が解除になるおそれがあり、監督職員としても都合が悪いので目をつむってる実状があります。あまりに酷い場合はしっかり是正をするべきでしょう。

まあ、どう対応するかはケースバイケースですが。
市役所は、結構テキトーだったり、闇があったりしますよって話。

 
ということで、簡単ではありましたが、現場代理人について土木技師に必要な情報を整理してみました。入札契約事務に関するところではまだ他にもあるのですが…。まあ要らないでしょう。

業務の役に立ちましたら幸いです。

またねん(*’ω’*)

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