こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
道路の白線が薄くなり見えづらくなっていることがありますよね。安全に関わることですからすぐに引き直してほしいものです。しかし、これらを引き直すのは全部役所だと思っていませんか?
実は、白線には道路管理者である役所が設置するモノと交通管理者である公安委員会・警察が設置するモノがあります。
そこの違いを解説します。
白線の分類
道路の白線は土木技術者の間では「路面標示」とか「区画線」と呼ばれますよね。
みなさんだいたい同じ意味として使っていると思いますが、じつは一応定義が決まっています。道路法・道路交通法・標識令によって「路面標示」のうち道路管理者が設置するものを「区画線」、公安委員会が設置するものを「道路標示」と定義されていて、それぞれ種類・様式・寸法・設置場所などが規定されています。
道路交通法に基づく標示 → 「道路標示」:交通管理者(警察)が設置・管理
道路法 に基づく標示 → 「区画線」 :道路管理者(国、自治体など)が設置・管理
また、路面ではなく道路脇の橋脚とか隧道入口の壁とかに描かれる注意標示は「垂直面標示」と呼ばれるものです。
『道路構造令の解説と運用』ではこれらの標示を「マーキング」と総称しています。
んで、さらにここには登場していない「法定外の標示」というのも沢山存在していますので、これもマーキングに含めちゃいましょう。
すると分類はこうなります。(私独自のものです)
総称 | 区分 | 管理者 | 例 | |
---|---|---|---|---|
マーキング | 路面標示 | 区画線 | 道路管理者(役所) | 外側線、中央線(白)など |
道路標示 | 公安委員会(警察) | 横断歩道、停止線、中央線(黄)など | ||
法定外の標示 | 垂直面標示 | 道路管理者(役所) | 路面以外の標示 | |
その他 | 道路管理者(役所) | カラー舗装、交差点マーク、ハンプ標示など |
この表はあくまで私が整理した原則的なものですので例外もあると思います。例えば、一時停止にあわせて書かれる「止まれ」の文字は法定外標示ですが警察が設置します。
警察が設置・管理するもの
公安委員会、つまり警察が管理するものは「規制や取り締まりに関わるもの」というイメージで良いかと思います。
具体的に言うと、横断歩道や停止線、黄色の中央線(正式には、追越しのための右側部分はみ出し通行禁止)、黄色の車線境界線(進路変更禁止)などですね。
なお、道路管理者が設置する「車道中央線」「車道外側線(歩道なし)」の区画線は、道路交通法の「中央線」「路側帯」とみなすことができる“みなし規定”がありますので、道路交通法上の効力が働くにも関わらず、役所が設置管理するのが一般的です。また、実際のところ「車線境界線」や「導流帯」も公安委員会の意思決定を踏まえて同じような取り扱いになってます。
ということで、ホントは警察所管は24種類の規制標示と15種類の指示標示があるんですが、上の図のものを覚えてたらいいと思います。
ちなみに、詳しい道路標示のルールは『交通規制基準』を見てください。交通規制の目的、基準等|警察庁Webサイト (npa.go.jp)
これらが消えかかっていても、役所は引き直しません。(舗装補修工事の時はやりますけど)
役所が設置・管理するもの
道路管理者である役所が管理するのは、一般的には警察の取り締まりとは関係ないものです。
つまり、さきほど述べた警察管理の路面標示以外をすべて役所が引くことになります。
標識令で「区画線」として定められているのは
1.車道中央線
2.車線境界線
3.車道外側線
4.歩行者横断指導線
5.車道幅員の変更
6.路上障害物の接近
7.導流帯
8.路上駐車場
の8種類だけです。
しかし、これ以外の無数の法定外標示があり、実際に役所が管理する標示はめちゃくちゃ多いです。例えば…カラー舗装、グリーンベルト、ゾーン30、交差点マーク、ハンプ路面標示、「スピード落とせ」等の注意喚起などなど。
車が走りやすいように設置される道路の付属物が「区画線」です。
微妙なものは…
なかには、役所と警察どっちが引くか微妙なものもありまして、例えば、歩行者用路側帯や駐停車禁止路側帯、進行方向別通行区分(矢印のこと)。
これらは本来は警察が引くものだと思いますが(たぶん)、実際のところ区画線と一緒に道路管理者が引き直しをしています。都道府県警察によって扱いが違うかもしれませんが…。
まあ、中央線と車線境界線と外側線を引き直してですよ、それで交差点前の矢印が消えたままだったら何のために引き直したん?ってなりますよね。そりゃ一緒に引きますよ。
この矢印とかの管理はグレーゾーンで、役所のWebサイトを見ても堂々と「役所が管理ですよ」とは書かれていませんし、「警察の管理です」とも書かれていません。「警察の管理」と書いてしまうと警察がやらなきゃいけないのですがそんな予算ないので書けません。彼らはほぼ消えかかってる横断歩道と停止線を補修するので精一杯なのです。
ということでグレーゾーンの白線たちは、比較的予算枠が大きい役所が暗黙で引いてます。よく知らずに補修してる土木技師も多いと思います。一応、停止線や横断歩道は取り締まりに関わってくるので、位置や延長・幅を役所が決められない、警察管理だという認識は共有されていますが。
ということで、こんな感じで管理者が分かれております。あくまで個人的に整理した見解ですので、間違ってたらごめんなさい。(誰もちゃんと教えてくれないのよ…)
お問い合わせは各管理者にお願いします。
ではまたね(*’ω’*)ノシ
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