こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
契約にまつわる2つの保証金について、ここでは「入札保証金」をサクッと解説します。契約保証金はまた次回。
(一般的なことを書きますが、自治体の規定によって異なることがあります。)
入札保証金とは
自治体の競争入札に参加する業者は「入札保証金」を納めなければなりません。
入札保証金とは、競争入札の際にちゃんと契約締結をさせるために先に金額の一部を発注者が預かる制度です。もし万が一、落札者が契約締結しなかった場合は入札保証金はそのまま没収されて発注者の損害に補填されます。業者はお金を取られてるので契約手続きの途中で「やっぱやーめた」はできないわけです。理にかなった制度ですよね。
納めてもらった入札保証金は落札後に返還されます。落札者はそのまま「契約保証金」に充当されることが一般的かと思います。
(一般競争入札の入札保証金)
自治法施行令第167条の7第1項
第167条の7第1項
普通地方公共団体は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、入札に参加しようとする者をして当該普通地方公共団体の規則で定める率又は額の入札保証金を納めさせなければならない。
入札保証金の金額
入札保証金の金額は、国の会計法にならって入札額(税込)の5%以上、もしくは契約保証金と同額にするため10%以上とされてることが多いのかなと思います。
例えば、5%の場合は、公共工事で税込1000万円の札を入れるとき、50万円以上を入札保証金として納めなければいけないということですね。逆に言うと、50万円しか保証金を納めていないのに1200万円の入札はできません。
ちなみに、現金以外に、国債、地方債、政府保証債、金融債、小切手、定期預金証書なども担保にできることがあるみたいです。
入札保証金を減免できる場合
まあ、すべての入札参加者に入札保証金を納めてもらうのは返還手続きもあるし大変ですよね。てことで、減免できる場合が規定されています。
実際のところ、ほとんどが免除されています。
よくある免除の条件は次のようなものです↓
①保険会社との間に自治体を被保険者とする入札保証保険契約を締結した場合
②官公庁が発注する種類を同じくする契約を、過去〇年間に〇回以上誠実に履行を完了した実績を有する場合
③発注者の審査を経た入札参加資格を有する場合
④契約保証の予約証書を提出した場合
①について、保険契約で自治体の損害がカバーできるなら当然免除でしょう。保険証書を提出すればOK。
②について、規定している自治体は多いですよね。履行実績証明書を提出すればよかったりします。同じ自治体なら簡単ですね。
③について、自治体によってはそもそも入札参加の資格を審査制にしてますので、その審査をクリアした有資格者なら「契約を締結しないこととなるおそれがない」と判断でき、免除されます。一度有資格者名簿に載ればあとは入札参加し放題ですね(/・ω・)/
入札ボンド
④について、契約保証予約(入札ボンド)を説明しますが、導入していない自治体のほうが多いので、そこの方は「そんなのもあるんだな~」くらいで軽く読んでください。
先ほど書いたように、ほとんどの案件で入札保証金は免除されているのが実態です。ただし、国は一般競争入札が広がってきてゆるゆるで免除してていいのだろうか?と、これらの免除規定に代わるものを考え始めました。(わたしの憶測)
そこで平成18年から国土交通省で導入された制度が「入札ボンド」です。自治体でも導入している所もあります。ボンド(bond)は、英語で「結合」「束縛」「証文」などの意味らしい。
入札ボンド制度とは、入札参加者に対して金融機関等による審査・与信を経て発行される「履行保証の予約的機能を有する証書」を求める制度です。この証書のことを入札ボンドといいます。
落札後に行われる契約履行の保証については別記事で解説しますが、その契約履行保証のために行う審査と同じように、銀行などが会社を不良不適格じゃないか経営体制まで審査し、入札の前段階で履行保証の予約をするのです。そういう意味で予約的機能と言っています。発注者は自ら審査せずに第三者機関の審査による保証を得られますからいろいろメリットがありますね。
もちろん入札の度に証書を求めていたら業者側の負担が大きいですから、一部の自治体のごく一部の工事案件で対象とされています。それは金額により、例えば、生駒市の要領では「この要領の対象となるものは、一般競争入札の方法により請負契約を締結する予定価格1億5千万円以上の工事の内、生駒市建設工事等入札参加者選定委員会の議を経て対象にすると決定した工事とする。」と書いてあります。この金額基準は、議会の議決に付すべき契約や特定調達の金額とリンクしていることが多いと思います。自治体にとってはかなり高額の工事ってことですね。
ちなみに、一般的に入札ボンドの定義は広いみたいで、先述の「保険会社の入札保証保険」「金融機関・保証事業会社の契約保証予約」「金融機関の入札保証」の3つを指すのですが、ここでは2番目の契約保証予約だけ説明しました。3番目の「金融機関の入札保証」は「免除」扱いではなく「代わる担保」という扱いになります。現金納付に代わり有価証券を提供したときと同じです。
契約保証ってなんだ?保証事業会社ってなんだ?って話はまた次回。
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