こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
予算の話でまず説明されるのが「会計」というおおきな枠組みでしょう。
会計はかんたんに言うと財布のこと(*’ω’*)
ここでは、自治体の会計について簡単に解説いたします。
会計とは?
「会計」って意味が曖昧な言葉ですよね。
一般的には、会計とは、お金の出入りを記録して資金の管理を行うことを指します。
「会計」=「支払」のイメージがあるかもしれませんが、その理由はお金の支払い(何に使われたか)が一番大事だと多くの人が思ってるからです。自治体では会計室が会計業務全般をしていますが、そのなかでも一年中、出納処理をしてますからね。
ここで解説するのは、自治体が設けている「会計という名の財布」のことです。
さて、お金の出入りを記録するのですが、管理の仕方は、議会の審議するときや住民にとってわかりやすいものがいいので、単一のもので経理するように決まっています。
これが一般会計です。「単一予算主義の原則」と呼ばれます。
経理・簿記・財務・財政とは?
お金関連の仕事は、たくさんの用語がありますよね。言葉の意味を整理しておきましょう。
(あくまで私のイメージ。資格試験での専門用語とはちょっと違うかもしれません)
会計 … お金の出入りを記録して資金の管理を行うこと。
経理 … 会計のなかのひとつの業務。お金の流れを記録して、伝票や帳簿をつくったり、民間企業であれば税金関係の申告を行うこと。
簿記 … 会計のなかのひとつの業務(ツール)のこと。取引によりもたらされる資産・負債・純資産の増減を会計帳簿に記録すること。
財務 … 帳簿・財務諸表をもとに資金計画を立てて資金調達を行ったり、予算管理を行うこと。
財政 … 国や地方自治体が収入・支出をする経済行為のこと。また、資金計画のこと。私のイメージでは財務と同じです。市役所では「財政課」「財政状況」という単語で使いますね。
どれもフワッとした言葉ですよね…。定義を覚える必要はありませんよ。
自治体では単式簿記がキホン
おまけな話ですが、簿記の種類は単式簿記と複式簿記があり、自治体の会計では単式簿記が主流となっています。
単式簿記とは、「現金を得た・現金を払った」という現金主義にもとづく記録方法です。小学生でもわかるほど簡単ですよね。
複式簿記とは、施設を整備したときに「現金という資産が減少する一方で、有形固定資産が増加した」と記録する方法です。これを発生主義といいます。チョット難しい…。簿記と言えばふつうは複式の商業簿記のことをいいますよ。
このように、自治体と民間企業では、単式簿記・複式簿記の違い、もっと言えば現金主義と発生主義の違いがありますので頭の片隅に入れておきましょう。
余談ですが、自治体は、道路や公園といった土木インフラ、学校や図書館などの施設を数多く所有していますよね。しかし、単式簿記による単年度予算・決算では、整備された資産や負債を把握できてるとは言えません。そのため、複式簿記を使ったりする「地方公会計」という制度が注目されています。
簿記形式を大きく変更することになるため、ハードルが高く、小さい市町村まで普及させるのはむずかしいと思いますが(;´・ω・)
参考に神奈川県のWebサイトをおいておきますね↓
地方公会計制度の概要 – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)
3つの会計
では、自治体の会計たちをご紹介します。
さきほど単一の会計(一般会計)で経理しなければならないと言いましたが、例外もあります。そのほうが管理がすごく楽だから。
自治体ではお金の管理を明確化させるために、目的に沿っていくつかの財布に分けて収支を計上しているのです。
大きくグループ分けすると3つに分けられます。
一般会計
一般会計とは自治体の施策をおこなうための一般的な会計で、自治体のほとんどの仕事が一般会計に基づきます。例えば、福祉・教育・土木などに要する経費を、市税などを財源として経理します。
私たち土木公務員が携わる道路・河川・公園など土木事業はほぼすべて一般会計と思ってもらってもいいですよ。
例えば、札幌市の令和3年度、一般会計予算はこのようになっています↓
あらゆる分野に掛かる費用をひとまとめに計上しているのが分かると思います。
土木部局は、1兆1140億円のうち、土木費1051億円。
この予算を1年間で使い切るために業務を回すことになります。
特別会計
特別会計は、文字通り、特定の事業を行う会計です。一般の歳入・歳出と区分して収支経理をおこないます。
特別会計に分けないものをすべてまとめたものが一般会計という言い方もできますね。
例えば、札幌市の特別会計は、
土地区画整理会計、
駐車場会計、
母子父子寡婦福祉資金貸付会計、
国民健康保険会計、
後期高齢者医療会計、
介護保険会計、
基金会計
の7つがあります。
また、鹿児島県の指宿市には、
国民健康保険会計、
後期高齢者医療会計、
介護保険会計、
唐船峡そうめん流し事業会計
の4つがあります。
比べてみると同じ会計もあることがわかりますね(*’ω’*)
土地区画整理事業は、土木職も携わりますよ。
企業会計
企業会計は、公営企業の会計です。地方公営企業法において企業会計を設けることが定められています。
公営企業は民間企業と同じ会計処理で、事業ごとに使用料などで収益を上げて運営していますよ。
小さい自治体には無かったりしますね。
例えば、札幌市の企業会計は
病院事業会計、
中央卸売市場事業会計、
軌道整備事業会計、
高速電車事業会計、
水道事業会計、
下水道事業会計
の6つの会計があります。
一方、鹿児島県の指宿市の企業会計は、
水道事業会計、
公共下水道事業会計、
温泉供給事業会計
の3つがあります。
こちらも比べてみると面白いですね。自治体にどのような企業(みたいな組織)があるか分かります。ご覧のとおり、土木職であってもや軌道整備事業、上下水道事業などに配属されれば企業会計にもとづいて仕事をすることになるでしょうね。
会計は独立している?
会計を分けているということは、会計間でお金のやりとりをしたくないからですよね。そのための特別会計(企業会計)です。
ただし、特別会計は独立採算制をとっていたりしますが、歳入について一般会計からの繰り入れなどがありますから、必ずしも一般会計から完全に独立しているとはいえません。
私も詳しくありませんが|ω・`)
まあ土木公務員にとっては、独立しているイメージで良いと思います。
おわりに
「自治体の会計」についてざっと解説してみました。
個別の会計は、自治体によってアリナシがちがうことが分かったかと思います。
企業でも、事業の特殊性によって会計の種類は分かれていると思います。例えば建設会社では「建設業会計」がありますよね。
自治体でもそんな感じで分かれているわけですね。大きな3つのグループ分けは必ず知っておきましょう。
ただ会計上の区分ってだけなので、必要になったとき財源や予算管理ルールの違いなどを勉強すればいいと思いますよ。
ちなみに、このほかにも地方財政統計上は、普通会計と地方公営企業会計に分かれたりしますが、土木公務員には必要じゃないかなと思うのでここでは割愛しました(;´・ω・)
次回は会計年度の話かな。
では、今日はこのあたりで。
またぬん(*’ω’*)ノ
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