こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
土木や設備工事の材料である塩ビ管。
よく見かけますよね(*’ω’*) でも、塩ビ管といってもVP管とかVU管とか、いくつか種類があってちょっと分かりにくい…。
ここでは、塩ビ管の種類を解説します。
塩ビ管とは
塩ビ管は正式には「硬質ポリ塩化ビニル管」といい、塩ビパイプ、ビニル管とも呼ばれます。
硬質ポリ塩化ビニル管は、合成樹脂(プラスチック)の1つである硬質な塩化ビニル樹脂でできた配管材料です。
鉄管に比べ抵抗が少ないため流量が多く、腐食にも強いことが特徴です。また、軽くて、安くて、施工もしやすいことから、通気・給水・排水に幅広く用いられています。耐熱性は低いため、熱でやわらかくなってしまうので注意が必要です。
土木の使用シーンは、下水と排水ですね!
ちなみに、元材料である塩化ビニルの大手は世界シェアもトップの信越化学。
塩ビ管の大手は積水化学とクボタケミックスでしょうか。
2021年に建設材料の原料が軒並み高騰していることから、塩ビ管も10%や20%値上がりしています。
塩ビ管の種類
塩ビ管の代表的なものを私なりに7種類に分けました。
・VP管
・VU管
・VM管
・VH管
・HIVP管
・HT管
・リブ付き塩ビ管
ひとつずつ解説します。
VP管
VP管は、一般的な塩ビ管です。VPはビニルパイプのこと。(JIS K 6741)
厚みがあるため、水道など内圧がある環境でも使うことができます。設計圧力は1.0MPa(参考)
水道用はVPWという略号になり、JIS K 6742という違うJIS規格になります。
VU管
VU管は、VP管よりも薄肉につくられていて、値段は半分くらい。VPと同じJIS K 6741。
VP管を改良したものですが、今ではVP管と並び最も使われている管種です。内圧がある環境では使えませんので、おもに自然流下させる排水用、たとえば、宅内の簡易排水や下水管としてよく使われています。設計圧力は0~0.6MPaです(参考)
とりあえず土木工事ではVP管かVU管を選ぶことになり、特殊用途ならほかの管種になります。VPとVUの使い分けは明確には決まっていませんので設計部署のルールに従ってください。荷重が乗る場所に浅埋するならどちらにせよコンクリートで巻き立てることになります。
VP管→厚肉、呼び径13~300、内圧OK(※呼び径13~30は水道用)
VU管→薄肉、呼び径40~700、内圧NG
例えば、呼び径50ならVP管が厚さ4.1mmに対し、VU管は1.8mm。
厚さも重さも2分の1になっています。軽いですよ。
VM管
VM管は、農業用の塩ビ管です。(下水でも使うことがあるかもしれません。)
農林水産省の設計基準を満たすようにつくられていて、設計圧力はVPとVUの中間くらいの0.8MPa(参考)。圧力をかけて水を送ることができます。農業用ですから、小さい管径がなく呼び径350~500からの取り扱いになります。
JIS規格はVP管・VU管と同じ(JIS K 6741)です。
VH管
VH管も、VMとおなじく農業用の塩ビ管ですが、設計圧力は1.25MPa(参考)と高い内圧にも耐えられるようにつくられています。
内水圧が高めの配水環境で使うことになりますね。JIS K 6741ではVHという記号はありませんので、あくまでメーカーによる略号の使い分けと考えていいかと。
VM管とVH管はマイナーな管種です。
HIVP管
HIVP管は、耐衝撃性能を高めた塩ビ管です。正式には耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管といい、High ImpactからHI管とも呼ばれます。
ほかの管はグレーでしたが、HIVPは黒色で、見た感じ「硬そうだな~」って管です。
耐衝撃性はVP管よりも3~5倍強くなっていて、例えば車両が多く通る道路の埋設とか、外から衝撃が加わりやすい環境などで使われることが多いです。
管自体に可撓性があるのでメーカーは「地震にも強い」とうたっていますが、個人的には耐震管とは考えていませんし、耐震管として認めてない自治体が多いと思います。つねに新しい製品が開発されていますので、いずれ耐震管として認められるかもしれません。
全国的に水道の配水管としても使われているメジャーな管種です。(私の賃貸アパートでも屋外の給水配管で使われています。)
性能がいいので、値段はVP管の1.5~2倍かかります。
HT管
HT管は、耐久性と保温性に優れたパイプです。見た目は赤茶色。
90度の熱湯まで扱うことができるので給湯用配管としても使われています。ただし、設備工事の分野ですから、私たち土木技師がお目にかかることはほとんどありませんね。見たことないっす。
熱に弱い塩ビ管のなかでも、給湯用に使える管種があるということは知っておいた方がいいと思います。
ちなみに私の賃貸アパートは、ポリブテン管という塩ビ管ではない管が使われています。
リブ付き塩ビ管
リブ付き塩ビ管は、塩ビ管の外周面に環状リブをつけた下水道用の管種です。下水道協会規格ではJSWAS K-13。
リブのおかげでVU管より軽いのに、扁平剛性が1.5~2倍になっています!
砂基礎だけでなく砕石基礎でも使えて、地震時の液状化現象による管の浮き上がりの防止効果があるらしいです。原理はよくわかりません。
おわりに
さて、塩ビ管の種類について、主なものを説明してみましたが、参考になりましたでしょうか?
最後にクボタケミックスの管種別の圧力・使用温度範囲の表を載せておきます。
じつは、メーカーがいろいろなシーンで使える管を開発してるのでほかにもたくさんの種類があり無数の管材記号が存在しています。
穴が開いている有孔管もあるし、耐火VP管や硬質塩化ビニルライニング鋼管のように、塩化ビニルの層と別の材質の層を組み合わせたような管もあります。
具体的な用途ごとに説明しなければいけなくなるのでここでは割愛しました。
もし、配管工事に携わることになったら調べてみてください。(そしてこっそり教えてください( ゚Д゚)
継手の種類については、あとから追記するかもしれません。
では今日はこのあたりで。
またぬん(*’ω’*)ノ
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