こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
皆さん、労働組合に加入していますか?
加入しているけど、何をしている団体なのかよく知らない、お金だけとられて恩恵がない…と不満に感じている人もいるかもしれませんね。
ここでは労働組合とは何のための団体なのか?何をしているのか?を解説したいと思います。市役所バージョンで書きますね。
地方公務員の労働組合とは
まずはじめに説明しておきますが、民間企業は労働組合法にもとづいて「労働組合」をつくることができますが、公務員はできず、その代わりに「職員団体」という名称の団体をつくることができます。
多くの自治体は「職員組合」という名称で、たまに「職員労働組合」という名前で活動しているところもありますね。労働組合という名前のほうが私にとっては他の共済組合とかと区別しやすくて分かりやすいのですが、あくまで勝手に名乗ってるだけで法令上は労働組合ではありませんので一応知っておいてください。
地方公務員法第52条では、「職員団体」とは、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体とされていて、メンバーのほとんどが市役所の職員ですが、少数であれば職員以外の人でも加入できるみたいです。
ここでは便宜上「労働組合」と呼んで説明していきます。
市役所庁舎のなかに組合事務所が置かれていますよね。これは労働組合の権利です。
地方公務員の労働組合には、民間と違って、労働三権である「争議権」が禁止されていたり、「団体交渉権」が制限されていたりしますが、私のような一般ピーポーからするとそんなんどうでもよくて、何をしている団体なのか?加入するとどんなメリットがあるのか?のほうが気になると思います。
さて、本記事では何をしている団体なのか見ていきましょう。
労働組合は何をしているの?
労働組合は、市役所職員が安心して働ける職場づくりと組合員相互の交流を深めるための活動をしています。とパンフレットなどには書いてあるはずです。
ん~具体的に何をしているのか分かりづらいですよね。
主な活動内容を説明します。
賃金や労働条件の交渉
組合は、職員の代表として、賃金や労働条件の団体交渉を行います。
私が個人で「市長!賃金を上げてください!」と交渉したとしても、当然話を聞くまでもなく門前払いされてしまいますから、そんな個人の代わりに組織として交渉を行ってくれるのです。これは皆さんご存知ですよね(*’ω’*)
地方公務員の給料は、自治体の人事委員会が勧告をするんですが、だいたい国の人事院勧告にならって同じような給料変動になっています。ですから、人事委員会勧告前に「オラァ!国と同じように賃金下げるんじゃねえぞ!こっちは仕事量増えてんだ!」と圧力をかける交渉をするわけです。
賃金の他にも、「超過労働をやめさせろ!」や「ハラスメント撲滅!」など職員の声をくみとって、市役所に交渉してくれます。
要望活動のために、ちょっと面倒なアンケートや組合会議などが定期的に行われています。
36協定の締結
労働条件の交渉と同じようなものですが、36協定の締結という超大事な手続きを行います。
36(サブロク)協定とは、時間外と休日の労働について定めるもので、企業と労働者がこの協定を結ばないと時間外労働をさせてはいけないことになっています。労働基準法36条に規定されていることから36協定と呼ばれています。
職員ひとりひとりが市役所と協定を結ぶと大変なので、法律では「労働者の過半数で組織する労働組合」、もしくは「労働者の過半数を代表する者」が協定締結することと定められています。ですので、労働組合が私たちの代わりにやってくれているのです。過半数組合がない自治体では過半数代表者を選出する選挙とかがあってるかもしれませんね。
定型的な作業ですが、わたしたちの仕事に関わる大切な手続きなのです。
職員の相談に乗る
市役所職員が安心して働ける職場を目指しているので、組合では職員からのさまざまな相談も受け付けています。
例えば「職場でセクハラを受けて困っている」などの相談を聞いて、コンプライアンス担当課が動かないようなら働きかけをしたりしてくれます。
私の知り合いが執行役員をしていましたが、職場での悩みは何でも相談していいよ、と言っていました。どれくらい対応してくれるのかは知りませんが。
市役所内部で告発するのは勇気がいりますから、その前の相談でも構わないと思います。
共済事業
組合の共済(保険)に加入している人は多いのではないでしょうか。
何と言っても安いです( ゚Д゚)民間のN本生命やS友生命やM治安田生命などと比べると、営利目的はなく、余計な広告料や人件費などのコストが掛からない分、保険料がだいぶ安くなっています。
団体生命保険のほかに、「長期共済」「税制適格年金」「マイカー共済」だったり、「火災保険」などもありますから、確認してみてくださいね。
もし組合員なのに民間の割高な保険に入ってしまっているなら早めに見直しをしたほうがいいと思いますよ。
また、「ろうきん」と連携してカードローンなどの紹介をしています。
給付事業
給付事業も行っています。
結婚、出産、弔慰、災害にあった時などイベント毎に少しだけ現金が給付されるものです。例えば、結婚したときに5,000円給付とか、出産したときに5,000円給付とか。
私の自治体では互助会がしっかりした給付事業をしているので労働組合のほうはホント微々たるものだと感じますね。
パンフレットに互助会の給付事業が記載されていることがありますが、それは労働組合の事業ではありませんので労働組合に加入してなくても受けられます(互助会は全職員加入)。勘違いしないように。
レクレーション活動
定期的な飲み会や忘年会やスポーツ大会などのレクレーション活動がありますよね。バドミントン大会や卓球大会、ゲーム大会など、皆さんも参加したことあるのでは?
スポーツ大会は市役所の組織である互助会が主催していることもありますが、労働組合が主催することもあるかもしれません。
上位入賞チームには景品も用意されています٩(ˊᗜˋ*)و
また、自治体によっては青年部や女子部などがあり、それぞれ旅行や飲み会、ボーリング大会、などが開かれたりします。出会いが少ないと感じている人はぜひ青年部(35歳未満)の活動に参加してみるといいと思いますよ。
皆さんが知らず知らずのうちに参加しているスポーツ大会も、実は労働組合が主催しているかもしれませんよ。
部活動
自治体によるかもしれませんが、部活動も組合の活動の一部だったりします。
野球部やサッカー部、バレー部や硬式テニス部、将棋部や囲碁部など、まるで学校のような部(クラブ)活動が市役所でも行えます。大々的に公表されていないので存在を知らない人もいるかもしれませんね。
活動のなかで多くの職員の健康に寄与できるものなら、組合からもお金が出たりします。
新規採用者への勧誘
オルグと呼ばれる勧誘活動が盛んです。
狙う人たちはもちろん新規採用職員。メインは4~5月だと思いますが、入庁前から懇親会を開いてくれたりします。これは勧誘と言うより本当に懇親が目的ですけどね。
加入率を高めないと、団結力が落ち、交渉する立場の説得力が落ちますし、活動資金源も乏しくなっていきますから必死です。
労働組合によって必死さは違います。
恫喝まがいの勧誘をするところもあれば、新規採用研修に混ざって当たり前のように加入届を書かせようとするところもあるそうです。というか、そうでもしないとヨシ!入ろう!とはならないので仕方ない結果なのですが…。
勧誘の仕方で組合にたいして不満に思ってる人は多そうですね。
政治活動
最後になりましたが、これを言及しないわけにはいきません。
ズバリ労働組合は政治活動も行っています。
地方公務員の労働組合は大きく分けて2つの派閥に分かれ、市町村の労働組合はそれぞれ全国組織である「自治労」と「自治労連」に属しています。
約79万人が所属する自治労は、さらに上位の「連合」グループに属していて立憲民主党系です。約15万人の自治労連はさらに上位の団体「全労連」のグループに属していて共産党系です。
例えば自治労は「護憲」「脱原発」「沖縄基地反対」という主張で、デモなどのパフォーマンスを行って国政へ働きかけをしていますし、議員を国政へ送り込もうと活動しています。
市町村の労働組合という末端組織ではそこまで政治色は色濃くないかもしれませんが、自治体によっては強烈に支持政党の思想を押し出している雰囲気のところもあるようです。
そもそも政治活動といえば、日本では右翼・左翼とか尖った思想が怖い!危ない!と思われて悪いイメージがありますし、公務員は原則政治活動は禁止ですから忌避されてしまいますが、政治に働きかけをすることは「よりよい暮らしを求めること」なので決して悪いことではありません。
もし、執行役員に興味があるなぁって人は必ず知っておくべきだと思います。
私のような非組合員にはなんにも関係ありません。
互助会とは違うの?
互助会もしくは職員会など、呼び方はさまざまですが、これは労働組合とはまったく別の組織です。互助会は職員になったその日から会員になりますし、職員のみで構成されること、自治体の組織の一部であることが違います。
また、労働組合は、月3,000~5,000円の組合費がとられますが、互助会の掛け金は月500~1,000円です。
互助会は文字通り、みんなでお金を出し合って助け合うもので、結婚・出産などのイベント毎にしっかりした給付があるし、会員であればケガや病気のときも助けてもらえる保険みたいなものですね。(後述の「共済組合」の傷病手当金が終わった後も給付されたりします。)
労働組合と一緒で共済事業(民間の保険)や給付事業などをやっています。
各課控除でお茶代など月1,000円出し合ってたりしますが、それの市役所全体版というイメージです。
市町村職員共済組合とは違うの?
似たような名称で「○○県市町村職員共済組合」があります。
これもまっっったく別の概念です。
「いやいや、そんなの常識でしょ」って思う人も多いと思いますが、私のようなポンコツ人間は頭の整理をしないと違いがよく分からないし、若手職員のなかでは混同してる人がいらっしゃるかもしれません。
市町村職員共済組合、通称「共済組合」は、地方公務員等共済組合法の規定により設立される特殊法人です。地方公務員は強制的に加入することになります。
例えば、八王子市などの東京の市町村は「東京都市町村職員共済組合」に加入しています。都庁や特別区の職員は「東京都職員共済組合」に加入しています。
国の社会保険制度の一環として、短期給付事業(医療保険のこと)、長期給付事業(年金のこと)、この他にも貯金事業や住宅資金の貸付けなど沢山の事業を行っています。
皆さんお持ちの保険証(組合員証)は「共済組合」から貰えるんですよ(*’ω’*)
年金事業は……みなまで言うまい。
おわりに
長くなりましたのでここで一旦休憩です。
とりあえず、労働組合が何をしているのか簡単に分かっていただけたかと思います。
真剣に読んだ人は労働組合のメリット・デメリットがなんとなく分かったかもしれませんね。整理してみましたのでこちらの記事をどうぞ。
また、私は職員組合を脱退していますので、なぜ脱退したのか、どのように脱退したのか、辞める時の心構えなど、その体験談を書いてみました。
では、今日はこのあたりで。
またぬん(*’ω’*)ノ
コメント
組合(地方公務員法第52条第1項に言う「職員団体」)の政治活動について
地方自治体2条第1項によれば、「職員団体」は「職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体」のことですよね。
地方公務員法第36条第1項は「職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となつてはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。」と定めています。
職員団体が政治活動を行っており、それを承知で入会する場合、地方公務員法第36条第1項に違反し、地方公務員法第29条第1項第1号の「この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれらに基づく条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合」に該当し、懲戒処分の対象となります。