市区町村の選挙事務ってどんなことをするの?

選挙事務

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

選挙が近づくと市区町村は慌ただしくなります。職員が選挙事務に駆り出されるからです。

今日は市区町村の選挙事務を私なりに解説したいと思います。

カミノ
カミノ

選挙事務のことを知ってると選挙の見方が変わるかも!

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選挙事務は大きく分けて3つ!

選挙事務は大きく分けて次の3つがあります。

期日前投票

投票事務

開票事務

どこに割り当てられるかは、本人の希望を考慮して部署ごとに必要定数を満たすように(課長が勝手に)決められます。

もちろん拒否権はあるにはあるんですが、部署の人数が少なければ若手はほぼ強制的に参加することになり、投開票両方に当てられれば、朝7時から深夜3時まで働くこともあります( ゚Д゚)

カミノ
カミノ

職種関係なく、土木技師からもたくさんの職員が動員されています。

では、ひとつずつ見ていきますね。

期日前投票

期日前投票は、投票日に行けない人のために、公示の翌日から投票日の前日まで特定の場所で投票できる制度です。

利用する方は年々増加していて、今後は主流になっていくんじゃないかなーと思います。良い制度ですよね。

期日前投票でやることは「投票事務」とほぼ同じで、スタッフも同じように市区町村の職員が動員されます。

期日前投票に割り当てられるのは個人的には絶望だと思っていて、なぜかというと、あまり暇ではないから、と、手当てがつかないから、です。

まあ、場所にもよるんですが、なるべく市民が投票しやすく来訪者が見込める場所に設置されますので、全然人が来ないという状況はあまりありません。ですから、日中ずっとダラダラと人が来て、投票日間近だと混雑するときもあるくらいです。(自治体の力の入れ具合によりますかね。)

そして、平日の日勤ということもあり、通常勤務(+数時間の残業)として扱われてしまうので、日曜に投票事務に出れば日当で1万~2万円くらい貰えるのに対して(自治体によってはこちらも振休ですが)、期日前投票事務は、平日の通常業務をストップさせるだけですごく損してる気分になってしまうんです。

カミノ
カミノ

正直、期日前投票の事務はやりたくないですね…。

投票事務

投票事務は、投票日(日曜)に朝7時から夜8時まで投票所のスタッフをします。ふつうは朝6時半集合で、終わってから投票所片付けて夜8時半頃に解散になりますから、実質14時間労働ということですね。

実は、日曜だけでなく前日に2~4時間かけて投票所の設営をするので、土日がつぶれてしまいます(´;ω;`)ウッ…

投票の流れ(四日市市選挙管理委員会公式サイトより)

いくつか役割がありますので、一般的なものをご紹介します。

おおよそのマニュアルはネットにも転がってますので、例えば、投票事務テキスト(甲賀市選挙管理委員会)などを参考にしてください。

受付係

来訪者から入場整理券を受け取り、受付番号を書き込んだりゴム印を押したりします。

名簿対照係

受付の隣で、入場整理券によって本人確認をおこない、投票人名簿に○をつけます。

個人的には一番好きな仕事です。

投票人名簿によって地域の人の家族構成とかが分かるし、誰が期日前に行ったか、選挙にちゃんと行ってるか確認できるからです。必要以上に名簿を見ないようにするべきでしょうが、いや、選挙事務13時間は暇すぎるんですよ(´;ω;`)

投票用紙交付係

投票用紙を1枚ずつ交付機から取り出し、渡し、枚数をカウントしていく仕事です。

個人的に嫌いな仕事です。

なぜかというと、「こちらは○○の用紙になります。○○を記入してください」みたいな説明を毎度しなければいけないマニュアルになってるからです。13時間ずっと同じことを言い続けると、口が回らなくなるし、頭がおかしくなるし、人間性が薄れていくのを感じ取れます。そのような貴重な体験をしたければオススメです。

カミノ
カミノ

べつに「はいどうぞ」で渡しても良いと思うんですが、まわりの真面目な職員たちの目がありますし、毎度きちんと説明をしなければいけません…。

投票管理者・職務代理者

投票管理者は、投票所を統べる人です。投票ルールを熟知しておく必要があり、投票所の設営からスタッフの管理までいろいろな準備と運営をすることが仕事です。

が、実際のところ投票管理者はあまり仕事をしません。本番に投票立会人と一緒に座ってるだけ、なんてことも。

彼らの仕事は職務代理者が代わりにすべてやっています。

本来、職務代理者は、投票管理者の身になにかあったときにその職務をすべて代行する“予備の人”ですが、実際のところ職務代理者が投票所の運営をとりしきっているわけです。通常業務でも課長は決裁をするだけで、実働は係長クラス以下がやっているのと同じようなものですね。

というわけで、職務代理者が大変です。

配属になったスタッフへの声掛けから、投票立会人の手配から、投票用紙の受取り、投票所に使わせてもらう施設の職員との打合せ(鍵の貸与)など、あらゆることを準備しなければなりませんね。

本番も投票所をウロウロして、それぞれの係の仕事に間違いがないか確認したり、庶務をしたり、案内したり特殊な対応をしたり、忙しそうです。

あー大変そう。

投票立会人

投票所には、職員ではないお爺さんが2人すわっています。

ちょっとちょっと、知らない爺さんが入ってるよ!セキュリティ何してんの!ってことではなく、この人たちも仕事をしてます。投票が正しくおこなわれているか有権者の立場で監視しているのです。(実際は眠そうに座ってるだけやけど…)

トイレとか休憩とか行ってもいいように2人以上に参加してもらってます。自治会の役員さんとかですね。おじいちゃん率高めです。

投票事務は暇すぎる?

まあ良く言われている通り、投票事務は暇ですね。

選挙人がおおい地区なら長い行列ができたりしますが、お昼のピークを過ぎればそんなに人来ませんね。

ド田舎の投票所は、とにかく暇。

暇なのに、だらけられない。これがつらい。

いつ来てもすぐ対応できるように、ずっと待ってないといけない。これがつらい。

私はこの「他のことをできない無駄にキツい時間」が大嫌いなので、選挙事務はできれば避けるようにしてます。人によってはお金がもらえるのでやりたがる人もたまにいますけどね。

開票事務

開票のようす 毎日新聞2019/12/21の記事より

投票が夜8時に閉まり、夜9時から開票がスタートします。

投票を終えた投票箱は、閉じられ、鍵を掛けられ、開票所へとタクシーもしくは公用車で大急ぎで運ばれます。市内中の投票所から投票箱が運ばれてきますから、体育館や公共施設の大ホールなどの会場で行われますよ。

ちなみにTwitterで「タクシーor公用車」のアンケートをとってみましたが、公用車のほうが少し多そうですね( ゚Д゚)

開票事務の役割分担は自治体によってけっこう違っていますので、私なりの分類でざっくりと説明します。

開票事務テキスト(甲賀市選挙管理委員会)などに詳しく載ってますよ。

開票係

まず開票する係です。

投票所から直送便でやってきた何十もの投票箱が整然と並べられ、静寂の中カウントダウンが始まり、21時の「開票開始!」の合図で、一斉に鍵を開けて投票用紙をぶちまけます。

とにかくぶちまけるのが仕事、みたいなところがあります。

ぶちまけ終わったら、投票箱の空の確認を入念におこない、ぶちまかれた投票用紙をイチゴパックに詰める作業をおこないます。

カミノ
カミノ

イチゴパックが投票用紙のサイズにぴったりなんですよね。

分類係

記入内容ごとに分類する仕事です。

投票用紙の読取分類機にかけます。機械を使わない自治体は、開票係と一緒にコツコツと分類をおこないながらイチゴパックに詰めます。

カミノ
カミノ

疑問票は審査係にまわしますが、なるべく早くまわした方が良いです。開票をはやく終わらせるポイント。

点検係・計算係

分類された投票用紙が正しいか、点検する係です。

一枚一枚数えて、同じ投票用紙を100枚もしくは200枚の束にしてゴムでとめます。

審査係

疑問票について、有効であるか無効であるかを判断する係です。

ほかの機械的な仕事とは一線を画すので、選挙管理委員会の人たちがやってるイメージです。実際のところよく知りません。

カミノ
カミノ

私も話し合いに入れてくれ~。

集計係

しっかり点検された投票用紙の束を、集計して記録していく係です。

誰が当選したとか落選したとかは職員にはどうでもよくて(いや、どうでもよくはないが)、一番大事なのは、交付した投票用紙と開票された投票用紙の枚数が合っているかです。

もし、枚数が合わなければ、不正があった可能性があります。

選挙で不正があるとすれば民主主義の根幹をどかんと揺るがす大問題ですから、私は「あらら~」くらいしか思っていませんが、選挙管理委員会は目の前が真っ暗になるくらいの心情でしょう。祈りながら集計を見守っています。

カミノ
カミノ

数が合わない票を「持ち帰り票」と言います。

開票作業はお祭り騒ぎ

おおまかな開票の流れはこのようになっています。他にも、開票管理者とか、開票立会人とか、管理係、庶務係、速報係などいろいろと役割はありますが、一般職員にはあまり関わりないので割愛しますね。

ということで、開票事務は早い係だと1~2時間で終了します。人口が少ない市町村はすぐに開票結果が出てますよね。このためだけに日曜夜の会場に駆けつけているわけなのですが、意外と徒労感はないんですよね。やっぱりお祭り気分になるからでしょうか、緊張感もありますしね。

会場ではマスコミのカメラや記者が開票を見守っていたり、2階席から双眼鏡で票をカウントしてたりします。

新人のころは目の前の仕事だけに集中しているかもしれませんが、会場をいろいろ見渡してみると意外とおもしろいんですよ。

おわりに

選挙事務について私なりに解説してみました。参考になりましたかね?

自治体によっては選挙事務スタッフ(とくに期日前投票)を市民からも募集してることがありますので、興味がある方は調べてみてくださいね。

はじめての選挙をやる人に向けての、「投票の仕方」の解説はこちら

Twitterで現役公務員のみなさんから寄せられた「選挙事務あるある」はこちら

では、今日はこのあたりで。

またぬん(*’ω’*)ノ

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