こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
建設分野を大きく分けると、「土木」と「建築」の2種類に分かれます。
似ているところもありますが、実は、この2つは全くの別物なんですよ。
建築とは?
建築基準法によると、「建築」とは「建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転すること」とされています。
また、「建築物」とは「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(以下略)」と定められています。
屋根に柱か壁がくっついていれば建築物になるんですね~。
屋根というのがキーワードで、土木技術者の私としても、仕事で建築基準法の適用を迷ったときは、屋根があるかどうかが判断材料になっています。変な構造物も沢山あるので、一応迷ったら建築部署に問い合わせしますけどね(;^ω^) ※付属の門扉や塀も建築物とされています。
建築は、戸建住宅やマンション、ビルなどの建物全般が取り扱う対象となります。人の暮らす場所、働く場所を整備し、快適にする役割があります。
業種としては、大工や内装、塗装、設備、電気、防水、左官、鳶、型枠大工などでしょうか。
土木とは?
一方「土木」とは、建築と比べると実に曖昧な言葉です…。
語源は諸説ありますが、中国大陸から伝わった『淮南子(えなんじ)』という紀元前2世紀頃の本に「築土構木」という言葉が載っており、それを縮めて土木という言葉が使われるようになったのではないかといわれています。
土木学会では、土木という言葉を以下のように定義しています。
市民のための工学あるいは市民の文明的な暮らしのために、 人間らしい環境を整えていく仕事
公益社団法人土木学会 土木という言葉について https://www.jsce.or.jp/contents/pamph/index.shtml
曖昧でしょう?(笑)
道路、河川、公園、港湾、ダム、橋梁、鉄道、水道、下水道、などなどいわゆる社会インフラと呼ばれる生活の基盤となる構造物が一括りに「土木」とされています。
インフラとは、基盤、下部構造などの意味を持つ英単語。一般の外来語としては、道路や鉄道、上下水道、発電所・電力網、通信網、港湾、空港、灌漑・治水施設などの公共的・公益的な設備や施設、構造物などを指すことが多い(社会インフラ)。
IT用語辞典e-words http://e-words.jp/w/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%A9.html
とても公共性が高いことがわかると思います。整備が進めば進むほど市民の暮らしは豊かに、安全に、便利になります。
そして、規模感が街全体、県、日本という国、果ては地球規模で考える機会もある分野なのです。
※地方自治体公務員はそんな大きい規模で考えなくていいです。
土木と建築の関係性
ということで、建物をつくるのが建築で、その土台となる基盤整備が土木のお仕事ということになります。
この2つの違いと関係性について考えていきます。
高いビルから皆さんが暮らす街を眺めてみると、その規模感の違いが判ると思います。見えている住宅やビルが建築の仕事で、それ以外全てが土木の仕事になります。
例えば、学校の校舎は「建築」で、グラウンド、駐車場、緑地帯、樹木の整備は「土木」の仕事なのです。
役所の仕事では、こういった所管の公共施設の他にも、再開発・再整備事業などではビルの建設と周辺の道路整備・公園整備など同時に事業を進めていく場面が数多くあります。
総合建設業(ゼネコン)や大手コンサルタントは会社内に建築部門と土木部門を構えていて、大事業に対してどちらの仕事もこなせるように人材をそろえています。1つのプロジェクトを貫徹できるのは契約上も有利ですもんね。
もちろん2つの分野は密接に関係し、お互いに協力・連携しながら仕事を進めなければいけません。工事がバッティングしてもいけませんし、道路工事が終わってからビルの建設を開始するとかの順番の制約があったりしますから、共通のスケジュールをもとに進捗報告していく必要があるでしょう。
しかし、正直言って土木技術者からしたら建築基準法なんて読んだことない人も多いですし、内装工事なんか未知の分野ですから、関わりたくないなーと思ってるのが正直なところです(笑)建築士という難関国家資格も世間的に浸透してますから、お高いイメージもあります。
おそらく建築からしたら土木は道路とか下水道を整備してる人たちっていう、また違う法令を元に仕事をしているので関わりたくないというのが事実かもしれません。
こんな微妙な関係の2分野ですが、国交省は2つを総括して仕事してくださいという指針を出しています。
「Code for Code Writers」という位置付けの技術標準として策定し、土木分野と建築分野の設計に関する基本的な考え方を包括するものとなっている。(個別の構造物の設計に関する技術標準の策定・改訂において、考慮すべき事項を示し、その取捨選択は個別構造物の特性に合わせた議論に委ねる。)
土木・建築にかかる設計の基本について
よくわかりませんが、包括して設計検討してね。っていうことらしいです。
土木技術者も少しは建築の勉強をしておく必要がありそうですね。
ちょっとした建築物っぽい物ならわたしも設計したりします。
【まとめ】土木とは何なのか?
まとめてみます。
- 建築とは屋根付きの建築物(住環境)についてのお仕事
- 土木とは社会インフラ(生活基盤)についてのお仕事
- 両者とも市民の生活を物理的に豊かにするための重要なもの
- 土木技術者も少しは建築の勉強をしたほうがいいかも
土木はとってもやりがいがある仕事なんです。
では今日はこのあたりで失礼します。ありがとうございました。
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