こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
橋梁と言えば、土木構造物の代表的なシンボルですよね。地域のランドマークとしても親しまれていますし、複雑な構造計算のイメージもありますから「橋梁設計の仕事をしています」と言えば一目置かれることになるでしょう。
公務員であっても、土木の仕事をするにあたり、橋梁は避けては通れないものです。橋だけに。
しかし、多くの職員が橋梁に対して苦手意識をもっています。私も例外ではありません。
そんな橋梁を、維持管理の観点から少しでもわかりやすく解説していきたいと思います。
ここでは道路橋の定義と分類を説明します。
橋梁とは
皆さんは橋梁(橋)の定義を言えますか?
川や海を渡るための通路?
それは人間だけが渡る?
水路に鉄板を敷いただけのものは橋と呼べる?
綱を張っただけのものは橋と呼べる?
難しいですよね(;´・ω・)私が土木の専門家じゃない人と問答をしたところ、
彼の最終的な回答は「人間(猫と犬とねずみも可)がある地点からある地点へ行くために、空中に架かっていて安全に渡れるもの」でした。
実はこれであってます(笑)
橋梁には道路橋や鉄道橋、横断歩道橋、水管橋など、目的によってさまざまな橋がありますが、国交省が毎年行っている道路施設現況調査では、道路橋を次のように定義しています。
道路橋の定義
橋梁とは、「河川、湖沼、海峡、運河などの水面を超えるため、あるいは水のない谷、凹地または、建築物や他の交通路等を超えるために桁下に空間を残し、架設される道路構造物で橋長 2m以上のもの」である。
溝橋(ボックスカルバート)は、「橋長2m以上かつ土被り1m未満のもの」という条件が追加されます。
私たち道路管理者は、この定義のもとに道路橋を調査したり維持管理したりしています。
あくまで国交省が定義している道路としての橋梁です。
このブログでは道路橋を解説します。
橋梁と橋は違うの?
橋梁は橋を専門的に呼んだ用語。それでもいいのですが、実は道路的には、橋梁と橋は意味が違いますので一応紹介しておきます。
橋梁は「橋」「高架橋」「桟道橋」の3つに分類され、
「橋」は、水面を渡すための橋梁です。出水期に水面になるなら橋です。
「桟道橋」は斜面の中腹に棚状の形式で設けられ、橋梁部分が横断的に車道まで及んでいる橋梁です。山道でよく見かけます。
「高架橋」は橋でも桟道橋でもない、跨道橋や跨線橋などのことです。
このように道路橋は3つに分類されますが、この分類はあまり知られていませんし、全然重要ではありません( ゚Д゚)
一般的には、橋=橋梁ですから、このブログでも同じように扱います。
橋梁の分類
さて、さきほどの分類はあまり意味がありませんが、次は重要な分類を説明していきます。
分け方にも沢山の方法がありますが、ひとつずつ見ていきましょう。
管理者(所有者)による分類
橋は道路の一部ですから、もちろん道路管理者によって管理されます。道路の種別で分けると、
高速自動車国道 | 21,000橋 | 3% |
直轄国道 | 41,000橋 | 6% |
補助国道 | 35,000橋 | 5% |
都道府県道 | 113,000橋 | 16% |
市町村道 | 513,000橋 | 71% |
全国には約72万橋が存在していますが、この中で市町村は70%を超える50万橋を抱えています。そもそも日本の道路延長の80%以上が市町村道なので当たり前の話なのですが。
また、里道などにも橋梁はありますけど、この数字にはカウントされていません。
私はこのなかでは市町村道のみを管理しています。また、県道橋や国道橋に関係した業務をすることもあります。
使用材料による分類
材料による分類も見てみましょう。
横浜市の橋梁数を参考にのせてみます。
木橋 | 木材を主材料とする | 2橋 |
石橋 | 石材、レンガを主材料とする | 1橋 |
鋼橋 | 鋼材を主材料とする | 645橋 |
コンクリート橋(RC橋、PC橋) | RC(鉄筋コンクリート)またはPC(プレストレストコンクリート)を主材料とする | 1,026橋 |
混合橋 | 鋼桁とRC桁のように異種材料により構成されている | 36橋 |
横浜市では、ほとんどが鋼橋か、コンクリート橋(RC、PC)ですね。他の自治体も同じだと思います。もっと鋼橋が少ないかな?
ご覧のように木橋や石橋は大変希少ですから古いものなら歴史的建造物として保存対策がされたりします。ちょっと大変です(;´・ω・)
横浜市の栄区上郷町の鼬川に架かる「みなもと二の橋」のようにわざわざ新しく作られる木橋もあったりするようですね。平成13年に完成しています。
私の市では、田舎なので用水路を渡るような単純構造のコンクリート橋がめちゃくちゃ多いです。
支持方式による分類
単純橋 | 1径間ごとに単純支持した橋 |
連続橋 | 主桁などの主構造が2径間以上にわたって連続する橋 |
ゲルバー橋 | 連続桁構造に不静定次数に等しいヒンジをいれて静定構造とした橋 |
市町村レベルだとそもそも1径間だけの橋が多いので、単純橋が圧倒的なんですが、橋長が長く重要度が高い橋は連続橋だったりします。
ゲルバー橋はコンピューターによる不静定計算ができなかった頃によく採用されていましたが、今ではほとんど新設されません。残っている橋もそんなに多くありません。
構造形式による分類
上部工の構造形式による分類も見ていきましょう。
橋と言えば、一般の人は上部工のデザインのことを指しますから、聞いたことある名称も多いはずです。
桁橋 | 主構造に桁を用いた橋 |
トラス橋 | 主構造にトラスを用いた橋 |
ラーメン橋 | 主構造にラーメンを用いた橋 |
アーチ橋 | 主構造にアーチを用いた橋 |
斜長橋 | 塔から斜めに張ったケーブルで桁を支える構造の橋 |
吊橋 | ケーブルを主塔間に張り渡し、これに桁を吊り下げる構造の橋 |
ボックスカルバート | 水路・通路の空間をつくるために地中内に設置された箱型の構造物 |
トラスは鉄道橋でよくみられます。吊橋は長大橋に向いていますし、斜長橋も規模が大きい都道府県道でみられます。
市町村道で管理されるものは、ほとんどが桁橋やカルバート、少しだけアーチやラーメンがあったりしますね。
ボックスカルバートでも幅が2m未満はただの「道路に置かれているコンクリート製品」で、2m以上になった途端に「橋梁」として丁重に扱われることになります(笑)街中にごまんとある中小規模の側溝や水路ボックスを全部橋梁メンテナンスするわけにはいきませんからね(;´Д`)
おわりに
簡単でありましたが、橋梁についてざっくりと概要を説明しました。
全然難しくない内容だったはず。橋梁について好きになれそうな気がしてきましたか?
では、次はパーツごとに「上部工の構造について」「橋脚、橋台の構造について」「基礎について」を説明しようと思います。
「橋梁点検と補修」「耐震補強」についても書けたらなと思っていますが、いつになることやら(;´Д`)
気長にお待ちください。
こういうこと書いてほしいってことがあればTwitterのDMやリプでお知らせください。
橋梁の名前などをすぐ調べたいときは「全国橋梁マップ」がおすすめ!
スマホで使ってみてね。
橋梁の補修については、福岡市の道路橋補修教本がおすすめです!
参考にしてください。
では今日はこのあたりで。
またぬん(*’ω’*)ノ
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