こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
(ここでは市役所の仕事のお話をします。)
市が意思決定するときには起案と決裁が行われますが、市長がすべての決裁をすることは現実的には不可能です。そこで、実務上は市長に代わって市長を補助する職員が決裁を行います。
これを専決といいます。
なんとなく前例にならって決裁権者を決めている職員さんもいるかもしれませんが、重要なところなのでしっかりルールを知っておきましょう。
専決とは部下が決裁すること
専決とは、執行機関(市長)の権限に属する事務の一部について、執行機関に代わって補助職員(部下)が決裁することをいいます。
市長だけでなく○○委員会などの執行機関も同様です。
専決は法的な権限を渡すわけでは無いので、対外的には市長が決定して実施したものだとみなされます。例えば、課長決裁でも市長印が押されますよね。ですから、問題が発生したときに市長は「決裁していないので知りませんでした。私は関係ありません。」と責任を免れることはできず、対外的に法的責任を負うのは市長と市です。
自治体では各執行機関の「事務決裁規定」などで専決区分を定めています。規定名称は様々です。
例えば、工事発注の実施伺いで設計価格1000万円未満は課長決裁、1000万円以上は部長決裁、5000万円以上は局長決裁とかね。
ぜひぜひ自分のところのルールを見てみてください。
代決とは違う?
代決という制度もありますよね。
代決とは、至急案件について決裁権者が不在のときに代決者が代わりに決裁すること。
課長決裁について、課長が居ないときに課長補佐が代わりに決裁するみたいな。よくありますよね。考えてみると部下が決裁できて市長名で処理できるんで専決と本質は似てますね。
でも、代決は専決とは違い、決裁権者が不在のときに、そして、緊急案件に限り行うものです。(と規定してる自治体が多いのでは?)
緊急じゃないのに「至急お願いします」と言って代決してもらってるそこのアナタ!それはダメですよ!
はい、自省……すみません。「不在のとき」の定義や代決者についても、「事務決裁規定」などの内部ルールで定められています。
職務代理と権限委任
部下が決裁をするという意味では、職務代理や権限委任の制度もありますよね。
職務代理は市長が長めの旅行や入院などで職務をできない場合に、副市長が代わりにその法的権限を行使することをいいます。
専決と違い、部下が自分の名前で決裁するので、名義は「〇〇市長職務代理者 〇〇市副市長 〇〇 〇〇」となります。他の職員がする場合もありますが。
権限の委任は、そもそも法的権限を補助職員や他の執行機関に渡しておく制度です。あらかじめ法的権限が市長の手から離れるわけです。
例えば、農地法に関わる権限を市長から農業委員会に渡す(委任する)みたいなことがあります。この場合も名義は市長ではなく、権限を渡された者になります。
この2つの制度は法律の定めに基づいて可能です。
もう組織の中で固まってることなので新人のうちに勉強する必要もないと思いますが、仕事のなかで疑問に感じることがあるかもしれないので説明しました。
“専決処分”はまったく違うもの
同じ専決という言葉が使われてますが、専決処分は意味がまったく違うものです。
一応簡単に説明しておきますね。
市役所の仕事のなかで重要なものは議会の議決を受ける必要があります。しかし、その議決事項であっても特別な場合は議会の議決を受けずに市長限りで決定できることがあるのです。これを専決処分といいます。
たま〜に議会で揉めてるとかで議決を待たずに市長がやっちゃいました!みたいなニュースを目にしますよね。議会軽視だー!みたいな。アレです。
ということで専決について、というか決裁の取り決めについて説明してみました。
所属部署でよくある業務は専決区分については整理されてたりしますので、要綱などと合わせてご確認くださいませ。
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