こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
「地方公務員の土木職、募集しても人が来ない」という状況になっています。
そんな中、徳島県では技術職の初任給に対して調整をする人事勧告がありました。(マシュマロで情報提供してくれた方ありがとうございました!)


ここではその勧告について詳しく見てみましょう。
勧告の概要
2026年10月9日、徳島県人事委員会の勧告です。
- 月例給・ボーナスは5年連続引上げに加え、技術職への初任給調整手当を新たに勧告。
- 対象は建築、土木、農業土木、林業の専門知識を必要とし、欠員補充が困難な職。
- 採用日から10年以内、月額3万円を超えない額を支給。一定期間後は年々減額。
このルールでは採用から11年目以降は支給されません。さすがに全年齢まで適用させるのは財政負担が大きいですからね…。新制度は令和9年4月からの実施が想定されていますが、現時点では人事委員会による勧告の段階です。今後、県がどのように制度化するのか注目したいところです。
なぜ、今この手当なのか
なぜ、この手当が設けられたのでしょうか。もちろん人材不足が背景にあります。
南海トラフ巨大地震への備えも含め、県土強靭化のためには技術職員が必要不可欠ですが、民間の建設会社は初任給を28〜30万円前後まで引き上げており、公務員との格差が広がっています。少子化社会で「給与で勝負できず人が来ない」という状況は致命的です。このような危機感が背景となって初任給調整手当に踏み切ったものと思います。
技術職の採用難は全国共通の問題ですよね。徳島県でも「総合土木」の受験者数は減っており、喫緊の課題となっています。県のホームページから採用試験の実施状況を持ってきました。
| 総合土木 | 採用予定者数 | 1次試験受験者数a | 最終合格者数b | 競争率a/b | |
|---|---|---|---|---|---|
| R8年度 | 大卒・夏 | 23 | 3 | 1 | 3.0 |
| 大卒・秋 | 30 | 14 | 未実施 | 未実施 | |
| 短大卒 | 3 | 0 | 未実施 | 未実施 | |
| 高卒 | 6 | 1 | 未実施 | 未実施 | |
| 民間経験・秋 | 6 | 3 | 未実施 | 未実施 | |
| R7年度 | 大卒・早期 | 20 | 27 | 22 | 1.2 |
| 大卒・夏 | 25 | 6 | 2 | 3.0 | |
| 大卒・秋 | 30 | 19 | 12 | 1.6 | |
| 大卒・春 | 20 | 11 | 8 | 1.4 | |
| 短大卒 | 3 | 0 | 0 | – | |
| 高卒 | 5 | 1 | 1 | 1.0 | |
| 民間経験1 | 5 | 5 | 3 | 1.7 | |
| 民間経験2 | 5 | 5 | 2 | 2.5 | |
| 民間経験春 | 5 | 1 | 0 | – | |
| R6年度 | 大卒 | 25 | 25 | 17 | 1.5 |
| 短大卒 | 3 | 1 | 0 | – | |
| 高卒 | 5 | 3 | 2 | 1.5 | |
| 民間経験 | 5 | 6 | 3 | 2.0 | |
毎年度コンスタントに受験者数を確保したいところです。R7年度は採用枠を増やしたことが功を奏したのか、受験者数が増えています(もちろん、ほかにも要因はあるでしょう)。一方、R8年度は実施中ではありますが、かなり厳しい状況になっているようです。
先行事例:箕面市と我孫子市
全国に先駆けて実施している自治体がいくつかあるようです。私が見つけられたのは大阪府箕面市と千葉県我孫子市です。内容は次のとおりです。
- 箕面市(大阪府)
- 令和8年4月から土木職に初任給調整手当を新設。
- 採用から5年間、月最大2万円(段階的に減額)。
- 大卒初任給を約29万1千円にし、全国トップ水準を目指す。
- 過去3年で新卒採用がほぼ1人という深刻な状況への対応。
1年目20,000円、2年目16,000円のように4千円ずつ減っていきます。徳島県でも段階的に減額される仕組みらしいです。
それにしても箕面市は他分野でも先進的な取り組みをしているイメージだなー。
(報道資料)全国一!箕面市は土木職の初任給を大幅に引き上げます!~初任給調整手当(月額2万円)を新設し、大卒初任給を29万円とします。~/箕面市
- 我孫子市(千葉県)
- 令和8年度から土木技師、建築技師、電気技師、機械技師に初任給調整手当を新設。
- 採用から5年間、初年度月2万円(年々減額)。
- 民間に対抗し、欠員を埋める狙い。
土木だけでなく技術職全般に手当をつけています。いいですね。
令和9年4月採用職員募集(令和8年9月20日実施)(申込受付終了):我孫子市公式ウェブサイト
この他にも「資格手当」を導入している自治体もあります。以前記事を書きましたので参考にご覧くださいませ。
実際に受験者数は増えるのか?
いやー受験者数増えるんですかね。どうでしょう。
まあ他自治体と悩んでいる受験者には大きな判断材料にはなるかな。私も県庁と市役所両方受験して、転勤の有無とか居住地など諸々の事情で市役所に決めましたけど、給与が数万円違うなら考えたかもしれません。
ゼロよりは確実にプラスになるでしょうね。宣伝活動次第では1.1〜1.5倍程度の増加は期待できるけど、劇的な改善は難しいと思います。まあ、実際のところは分かりませんがww
一つ言えるのは、成功のカギは「そのまま継続して勤務してくれるか」です。だって手当は採用後10年間(高いのは前半だけ)ですから。うちの市役所でも10年以内で組織に見切りをつけて辞めていく人が結構います。最初の呼び込みは上手くいっても、労働環境や業務内容を改善しない限り人は定着しないでしょうね。
それにしても、自治体が「給与で人材を取りに行く」姿勢を明確に示した点は大きいと思います。土木職の処遇改善が他の自治体にも広がるきっかけになれば嬉しいです。


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