こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
1級土木施工管理の2次検定は、経験記述と記述式問題(学科記述)の2パートに分かれます。
ここでは、経験記述の対策を解説します。
記述式問題(学科記述)についてはこちらの記事で解説しています↓
経験記述とは?
経験記述とは、「あなたが経験した土木工事の現場において、現場状況から特に留意した施工管理」について記述するものです。
テーマは1つだけ。毎年変わりますが、近年は安全管理または品質管理が出題されています。この2つは完璧に書けるようにしてください。
その他にも、工程管理、出来形管理、環境保全対策、施工計画などの可能性もありますので何を書くかだけ準備はしておいたほうがいいでしょう。
過去の経験記述テーマ
令和5年度 品質管理
令和4年度 安全管理
令和3年度 安全管理
令和2年度 品質管理
令和1年度 品質管理
平成30年度 品質管理
平成29年度 安全管理
平成28年度 安全管理
平成27年度 品質管理
平成26年度 安全管理
平成25年度 品質管理
平成24年度 工程管理
平成23年度 安全管理
平成22年度 品質管理
平成21年度 出来形管理
試験時間は、学科記述と合わせて2時間45分。
おおよそ経験記述には1時間程度割り当てるといいかなと思います。
設問1
設問1で聞かれるのは以下のこと。
工事名
発注者名
工事場所
工期
主な工種
施工量
工事現場における施工管理上のあなたの立場
設問1の書き方
では、それぞれ書き方を解説していきます。サクサクいきますよ。
まず、選ぶ工事ですが、なるべく申し込みの際の「指導監督的実務経験」に記載した工事から選びましょう。なぜかというと、証明者が実務経験を証明してくれているので説得力があるからです。その他の工事を選んで減点されるか分かりませんが、常識として実務経験に記載したものが良いと思います。
工事の難易度は関係ありません。規模も正直関係ありません。
工事名 → 契約工事名を書きます。
発注者名 → 発注者名を書きます。公務員なら所属、民間なら発注者もしくは元請名です。
工事場所 → 契約工事の場所名を書きます。
工期 → 契約書の工期を年月日まで書きます。(例:平成31年4月1日~令和1年10月15日)
主な工種 → 主な工種を書きます。メインを2,3つ。細かい工種は邪魔なので書かないでください。
施工量 → 主な工種の施工量を書きます。路線的な工事なら施工延長○○mも書くと分かりやすいですね。
工事現場における施工管理上のあなたの立場 → 公務員なら「発注者側監督員」。申し込みの際に実務経験の欄で選択した立場名を書けばいいです。
頑張って暗記しましょう。
設問2
設問2が長文記述です。聞かれることは次の3つ。
①具体的な現場状況と特に留意した技術的課題(7行)
②技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容(10行)
③上記検討の結果、現場で実施した対応処置とその評価(10行)
行数は変わる可能性があります!!
設問2の書き方
設問2がメインの長文記述となりますが、採点基準が分からないのでとりあえず大きく減点されないような書き方をするしかありません。つまり、減点されなければいいので、難易度が高い工事をえらぶ必要もないし、難しい専門用語を使う必要もありません。
問題文に忠実に、ひとつずつ問われたことを書くこと。
中学生が読んでも理解できる文章が理想ですね。
①具体的な現場状況と特に留意した技術的課題(7行)
具体的な現場状況を書きます。例えば、「安全管理」で説明しますね。
このように書きます。
「本工事は、○○県○○市○○にある市道A路線の道路改良工事である。本路線は△△△△△△で、○○○○○○○○だった。」
現場状況が分かればいいので、簡潔に2~3文で好きに書いてください。
続いて、留意した技術的課題を書きます。現場状況→理由→課題となった、という流れです。
「そこで○○○○(現場状況で説明したこと)によって労働者に危険がおよぶおそれがあったため、○○○○への対策を実施し労働者の安全を確保することが技術的課題となった。」
みたいな感じです。現場状況からの繋がりでいろいろな書き方ができると思います。技術的課題を留意した理由がわからなければ減点されると思います。現場状況とつなげて理由を説明しましょう。
設問にある「具体的な現場状況」と「特に留意した技術的課題」がつながるように書けましたね。これで得点できます。
7行なので、文字数は200~210字くらいを用意しましょう。
②技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容(10行)
次に技術的課題にたいして検討した内容を書きます。
「検討理由」も忘れずに書く。書かないと減点されると思います。大きな理由(目的)も①と同じことを書いておきましょう。
そして、検討項目は箇条書きにしても構いません。10行の使い方がスカスカだとダメですけど。
「○○によって労働者に危険がおよぶことを防ぐために、以下のことを検討した。
(1) ○○○○○○○○であったため、○○○○○○○○○○○○○○を検討した。
(2) ○○○○○○○○であったため、○○○○○○○○○○○○○○を検討した。
(3) ○○○○○○○○であったため、○○○○○○○○○○○○○○を検討した。」
3つくらいが文字数的にもバランスがいいかと思います。4~5個書いても全然いいですけど、頑張ってボリュームを増やしましょう。②はなるべく具体性をもたせない内容を書いて、次の③で数値まではっきりと示した上で現場で実施した内容を書きます。
箇条書きでも変わりますが、10行なので文字数は250~270字を用意しましょう。
③上記検討の結果、現場で実施した対応処置とその評価(10行)
②で検討したことについて、それぞれ現場で実施した対応処置を書きます。書き方は問題文に沿う形で文言を合わせます。
箇条書きでもいいし、長文でもいい。なるべく具体的な数値や名称とかを入れましょう。
上記の検討結果について、現場では以下の処置を実施した。
(1) ○○○○○○○○○○○○○○を行った。
(2) ○○○○○○○○○○○○○○を設置した。
(3) ○○○○○○○○を設置して、○○○○○○○を行った。」
最後には忘れずに「その評価」を書かなければなりません。「現場で対策を実施して○○ができた(品質を確保できた)。評価点は~~」みたいな書き方がいいかと思います。
上記の対応処置を実施した結果、無事故で工事を完成させることができた。評価点は、現場に合った適切な安全管理を実施し、労働者の安全を確保できた点である。
これで設問通りの解答ができましたので、減点されない文章になったと思います。
中身が見当違いな対策だったり、薄すぎる内容でなければ6割は得点できるはずです。
②と同じく10行なので文字数は250~270字を用意しましょう。もっと少ない場合もあるので削れるようにしておく!
用意するテーマは6つ
冒頭でも書きましたが、毎年テーマが変わりますからどのテーマが出題されるかわかりません。
したがって、本番スラスラと書けるようにそれぞれのテーマについて書くことを決めておく必要があります。
主なテーマは6つ。安全管理、品質管理、工程管理、出来形管理、環境保全対策、施工計画。
安全管理、品質管理がダントツに多いので、この2つに絞ってかまいませんが、他の4つもおおよそ内容と構成を決めておいた方がいいと思います。
それぞれ簡単にポイントを説明しますね。
安全管理
安全管理とは、現場の労働者に危険がおよぶことを防ぐための管理です。まず考えるべきは労働者の安全なのです。
例えば、供用中の道路で「通行人の安全」を考えるのは、大きくとらえると安全管理ですが、本試験で求められていることからはズレています。通行人と通行車両の安全など「第三者災害だけ」を記述すると、それは「安全管理」とみなされず大きく減点もしくは不合格となる可能性があります。
必ず、「労働者に危険がおよぶことを防ぐため」とか「作業員の安全を確保するため」という書き方をしましょう。
また、作業員の意識を向上させるだけではダメです。できれば対策物を設置してください。仮設を設置してこその安全管理ですから「バリケードを設置した」「仮設照明を設置した」など、物理的に危険を防止する措置を書きましょう。労働安全衛生規則の関連する条文を読んでみてください。
とくに公務員の意識は「第三者災害防止=安全管理」かもしれませんが、本試験では違います。間違えないようにしましょう。
品質管理
品質管理では、目的物の強度や耐久性を確保するために、コンクリートの品質やアスファルトの品質を適切に管理したことを書きます。
サイズや寸法の管理は「出来形管理」になりますので混同しないようにしましょう。
品質管理は「当たり前のこと+α」です。
目的物の強度や耐久性を確保するために、実施したことならなんでもいいと思います。
工程管理
工程管理は真剣に考えると難しいですね。
そもそも真面目な公務員が普通に段取りしていたらスムーズに工程進みますから、よほど工期を厳しく設定してない限りは工期内に終わりますよね(;´・ω・)受注したあとの施工の経済性なんて知らんし(;´・ω・)
業者の人員体制が悪いとか、段取りが悪くて自業自得で工程厳しくなったことは理由にできないし…。
まあ、なんとなく2班体制にしたとか、施工機械を再検討して増やしたとか、そういうことを書けばいんじゃないですかね(てきとー)。最後は「○○日程度短縮した。」と具体的な数値を出した方がいいと思います。
大規模な工事を経験していないと、正当な理由で工程が遅れる状況は少ないので辛いですね。
まあ、出題側もそれは分かってるみたいなので、最近は出題されていません。
出来形管理
出来形管理も書くのは難しいです。出来形管理は設計図書で示されたサイズや寸法の管理ですね。
うーん、でも基準決まってるし、それを現場で留意した課題ってどういうこと?
出来形を基準通りに管理しました。終わり。ですよね。
まあ工事現場ごとに特殊な状況だと「あれ?管理難しいぞ」みたいなことがあるんでしょうけど、課題を設定して検討したことと実施した項目を複数書くのはきっついと思います。
何とか絞り出そうと頭を捻っていると工法変更や材料変更も思い浮かんできて品質管理とかぶるところもあると思いますが、目的は出来形管理であることをぶれないようにしましょう。
公務員として書くなら、「受注者と協議して、○○○(管理基準の採用など)を提案した。」みたいな書き方になると思います。
環境保全対策
環境保全対策は、周辺の環境への配慮ですね。
書きやすいのは、振動対策とか騒音対策でしょうか。
私は、騒音対策を考えていました。低騒音型を使ったとか、騒音の範囲をあらかじめ確認してお知らせチラシを配ったとか、防音シートを使ったとか、敷地境界で騒音レベルを測定して基準値を超えていないことを確認したとか。
出題される可能性はあると思ってます。何を書くか決めておきましょう。
施工計画
施工計画は、これも意味が分からないテーマですね。
施工計画は工事のすべてですから、すべての複合ということです。難しいですけど「安全管理+工程管理」などのように組合わせて書けることを考えておきましょう。
出題される可能性は少ないかなーと思います。
私の試験対策(体験談)
さて、私の試験対策もチラッと話しておきます。
私は市役所の先輩から、6つのテーマ記載例をもらうことができました。工事のジャンルは違いましたが、書き方などは大変参考になりました。
そのサンプルで構成を確認して、真似て自分なりの6つのテーマを用意して試験に臨みました。かかった時間は1テーマ1時間くらいでしょうか。
とくに品質管理と安全管理は何度か練り直して時間を掛けました。他のテーマは一度書いてみて、あとは本番まかせ(笑)
文字数を確認できますからWordでの推敲がオススメ。仮完成したものを印刷して、安全管理と品質管理が来るなーと思ってたので、試験直前に2つを読み返して暗記しました。必ず出題されるものですから最後まであきらめず直前暗記しましょう。
試験本番は、いざ書いてみると行がガラ空きで焦りました( ゚Д゚)字が小さすぎたみたいです。①を全部消して文字を大きくして書き直すことに…。文字は気持ち大きく書きましょう(;´Д`)
練習で文字数を調整しておくことをおすすめします。
トラブルがあっても試験時間はたっぷりあるのでゆっくり考えられますよ。
おわりに
ということで、1級土木2次検定の経験記述について解説しました。
経験記述は、参考書などの丸パクりではいけません。実際に体験した工事でなければ、どうしてもボロが出ちゃうんですよね。
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本ブログの1級土木施工管理の解説記事はこちら
では、今日はこのあたりで。
またぬん(*’ω’*)ノ
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