土地改良区とは?【どんな団体?何をしているの?自治体職員との関わりを解説】

農業土木

土地改良区とは、土地改良法に基づき、一定の地域内の農業者たちが集まって土地改良事業(農業用水路や農道、農地の整備や維持管理)を行っている団体です。
 

こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。

「土地改良区」って聞いたことありますか?

ここでは「土地改良区」とは何なのか?どういった団体なのか?何をしているのか?また、自治体職員との関わりについて解説します。

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土地改良区とは

土地改良区とは、土地改良法に基づき、一定の地域内の農業者たちが集まって土地改良事業(農業用水路や農道、農地の整備や維持管理)を行っている団体です。公益法人、公共組合ということですね。

昔は、「耕地整理組合」や「耕地協会」などが土地改良事業を行い、施設の維持管理は「水利組合」も行っていましたが、1949年に定められた土地改良法により「土地改良区」へ一本化されました。

“区”という言葉がついているため、場所のことかな?と勘違いするかもしれませんが、農業は地縁的性格が強いため“地区=団体”という意味で使われています。

カミノ
カミノ

土地改良区は2002年に「水土里(みどり)ネット」という愛称になっています。こちらも直感的に分かりづらい名称ですけどね(;´・ω・)

どんな組織なの?

土地改良区はその地域の農家の人たち15人以上の発意を受けて、都道府県知事が認可を行うことで設立できます。そして、地区内の農地を持っている人は強制参加となり、賦課金を負担しなければなりません。(後述します)

河川に依存するので、だいたい水系や行政単位で分かれているようですね。都市部にも普通に土地改良区は存在します。

昭和の時代は全国に1万を超える土地改良区がありましたが、合併を繰り返し、令和3年現在では全国4,325の組織、組合員は346万人とのことです。ひとつの都道府県に平均92の組織があることになりますね、それでも多い( ゚Д゚)

組織体制の話ですが、もちろん経理などの仕事は組合員の農家だけでは難しいですから専属の職員がいます。職員数は5~10人の小規模なところもあれば、30人~50人、それ以上の大規模組織もあるようです。

例えば、本州最大級の西蒲原土地改良区(新潟県中央部)は田畑あわせて区域面積19,589ha、組合員数14,267名(令和2年4月1日現在)ですが、その土地改良区の組織図は次のように大規模なものになっています。

いや~多すぎ!!役所みたいですね。ここまで大きい所はレアケースかと。

実際にいくつかの土地改良区に協議で伺ったことがあるのですが、スタッフはおじさんが2~3名しか常駐していませんでした。理事さんかな?とくに何かやってるわけでもなく、私とゆったり雑談できるくらいの雰囲気でしたよ。

カミノ
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土地柄によってかなり違いがあると思います。

主な業務

さて、仕事の内容を見ていきましょう。

一般的には土地改良区の主な活動は、農業用の用排水施設(農業用ダム、頭首工、用排水路、用排水機場)の管理や、田んぼや畑などの農地の整備です。土地改良事業と呼ばれるものですね。

実際に整備をガンガンやっているかというと、整備事業が終わっていれば粛々と水路や堰を管理するだけだったりします。利権を持たせないように土地改良区を解散させている地域もあるとかないとか・・・。

管理している灌漑施設をわかりやすくイメージ図にしたものがこちらです↓

水土里ネットやまがた公式Webサイトより

また、具体的に現場でどんな作業をしているのかというと、こんな感じ↓で、壊れた水路の土手をスコップで直したり、水路を掃除したり、草刈りしたり、ゲートを操作して水位を調整したり、まあ泥臭い仕事がメインってことですね。

水土里ネットやまがた公式Webサイトより
カミノ
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この他にも、災害復旧支援、地域の子供達向けの農業体験学習・出前講座を行っている土地改良区も多いみたいです。

土地改良区のお金の話

おまけで、土地改良区のお金にまつわるルールもざっくり説明します。とは言っても、私は内部の人間ではないのであくまで外から分かる範囲でのイメージになりますが…。

土地改良区の収入は、賦課金(ふかきん)、決済金、補助金・交付金、業務受託料が主になります。

支出は施設の維持管理費、整備事業の負担金、職員の給与などですね。

賦課金は2種類ありまして、「経常賦課金」と「特別賦課金」と呼ばれています。経常賦課金は、用排水路などの施設の維持管理に対して、受益者である水田や畑の所有者・利用者(組合員)に負担してもらうお金です。土地の面積に応じて割り当てられているようですので、水の使用料もしくは固定資産税みたいなものかな。

特別賦課金は、新規整備事業の工事費用などを組合員に負担してもらうお金です。負担金と呼ばれ徴収されていることもあります。

決済金は、農地転用などをしたときに賦課金の残り金額を一括で支払ってもらうものです。

行政からの補助金・交付金も相当額ありますね。管理費助成金とか事業交付金とかです。

業務受託料は、例えば都道府県が所有している施設の管理業務委託を請負っていたりするものですね。

カミノ
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いくつか収支予算書を見てみましたが、土地改良区によってさまざまでした。

役所との関わりについて

整備事業については、国営や県営もありまして、土地改良区がすべて自己負担でやるわけではありません。土地改良区は地元地権者たちの調整や地元負担金を負担する役割だけの場合もあります。(市役所も一部整備事業に携わりますよ)

このような土地改良事業に関わる部署は農政局です。自治体によっては名称が違いますが、農業インフラ関係の部署ですね。

農政局の事業では常に土地改良区と協議して進めていくことになります。メンドクサそうですね。

他の部署では、河川部門・道路部門などが水路や農道付近で工事をする際に協議を行ったりします。例えば、橋梁の補修工事で用水路の中に足場を設けるので施工時期の相談とか、塗装をやるときの水質汚濁防止方法の相談とか。

土地改良区によっては占用申請と同じように図面などの資料を添えて届出書の提出が必要になったりします。

カミノ
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このような協議はきちんと設計段階で行い、内諾をとっておくことが必要です。

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他の団体と混同しないように

役所とは違うの?

役所とは違います。

地方自治体(役所)は税金などを財源とし、地域住民の暮らしを支えるサービスを提供する行政機関です。農業の分野では、食料・農業・農村基本計画に関することや、農業振興、担い手の確保・育成に関すること等々たくさんのことを行っています。もちろん、圃場整備、農道舗装、灌漑排水施設、災害復旧などの農業土木インフラの事業も行いますが、それらは地方自治法などに基づく行政機関として実施するものです。

土地改良区の職員は公務員ではありません。理事は役所OBなどが就くこともあるようですが、土地改良区の一般職員は個別の採用を実施しています。

農業委員会とは違うの?

いまいちよく分からない組織として「農業委員会」がありますね。

土地改良区とはまったく別の組織です。

農業委員会は、農地法に基づく売買・貸借の許可、農地転用案件への意見具申、遊休農地の調査・指導などを行う行政委員会です。

地方自治法に基づき、市町村からは独立した行政機関となっています。1市町村に1委員会が原則で、農地がない市町村には置かれません。

委員は認定農業者とかですね。農地は国として守っていかなきゃいけないものなので、売買や転用したりするのは制限があるのですが、それはその地域の農業・農地をよく分かってる農業者にも判断してもらって許認可しようよ、ってことですね。たぶん。

カミノ
カミノ

メンバーは特別職の地方公務員(非常勤)となります。報酬は平均3万円/月とのこと。

農業協同組合(JA)とは違うの?

もうひとつ似た組織にJAがありますね。

農業協同組合(JA)とは、相互扶助の精神のもとに農家の営農と生活を守り高めるための協同組合です。

日本では、JAの役割は幅広いですね。JAは営農や生活の指導をするほか、生産資材・生活資材の共同購入や農畜産物の共同販売、貯金の受け入れ、農業生産資金や生活資金の貸し付け、農業生産や生活に必要な共同利用施設の設置、あるいは万一の場合に備える共済等の事業や活動を行っているそうです(JA公式Webサイトより)

土地改良区と似ている組織ですが、ざっくり言うと、

JAは農業協同組合法に基づく農業のソフト面を支える団体で、土地改良区は土地改良法に基づき農業のハード面を支える団体、と言えるでしょう。

他にも生産組合とか○○組合みたいな農業関連の組合がありますけど、同じように互助的にソフト面を支える団体ですね。たぶん。

カミノ
カミノ

JAは金融とか保険まで手を広げてますよね( ゚Д゚)

行政の区割りとは違うの?

生産区とか農業区とか、自治体が行政区域を分割して名前をつけていることがあります。これはあくまで農林業の行政運営のために区割りして区長を選出し、意思伝達などを効率化させているもので、当然土地改良区とはまったく別の概念です。

例えば、広島市では、農業生産区という区割りを用いています。規則を置いておきますね。

広島市農業生産区設置規則 (hiroshima.lg.jp)

第5条 生産区長の取り扱う業務は、おおむね次のとおりとする。
(1) 農林業生産の指導育成に関すること。
(2) 米穀の計画出荷に関すること。
(3) 農林業の調査に関すること。
(4) 農作物災害調査に関すること。
(5) 農林業用施設に関すること。
(6) 農業委員会の調査に関すること。
(7) その他農林業生産に関すること。

カミノ
カミノ

農業振興のために、行政と農家がお互い助け合いましょうということで区長には色々と業務をしてもらうみたいです。

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おわりに

土木公務員であれば、地味に土地改良区と協議したり共に仕事することは多いです。

名前だけ聞くと実態が分からない組織ですが、農家のための団体だと知っていれば、彼らが注目する点は「農家への影響」だけだと分かりますね。

私は農政局の人間ではないので、間違いなどございましたらご指摘いただけるとありがたいです。

カミノ
カミノ

農業を支える灌漑施設についてはまた今度書いてみようと思います。

では今日はこのあたりで。

またぬん(*’ω’*)ノ

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