技能労務職とは、単純な労務をおこなう職種です。
こんにちは、土木公務員ブロガーのカミノです。
地方公務員にはさまざまな職種があります。
いちばん多いのは一般行政職とも呼ばれる事務職と技術職。このカテゴリーはみなさんご存知かと思いますが、実はもうひとつ大きなカテゴリーとして「技能労務職(現業)」という職種があります。
今日はその知られざる技能労務職について解説します。
技能労務職とは?
技能労務職とは、単純な労務をおこなう職種です。呼び方は、技能職、労務職、業務職など様々で、自治体によってニュアンスが違う場合があります。
具体的に何をするかというと、例えば、給食調理員、学校用務員、自動車運転手、ごみ収集員、土木作業員、上下水道施設業務員、守衛、電話交換手などですね。
技術者や監督者ではなく、行政事務を担当することはありませんから、公権力を行使をしない職員です。スーツを着てデスクワークすることはなく、いわゆるブルーカラーと言われる肉体労働者になります。(電話交換手などは例外です)

技能労務職は、よく「現業」と呼ばれます。現場業務員の略でしょうか。
ちなみに、水道局などの企業職員も「現業」と言われたりしますが、本記事で解説してるのは企業職員は含まれません。
詳しい仕事内容は、各自治体に資料があったりしますので見てみてください。大阪市だとコチラに載っています。
41種類も仕事があるそうです。ビックリしますね( ゚Д゚)
人数は意外と多く、大阪市の技能労務職は5000人を超えます( ゚Д゚)

技能労務職って忙しいの?
忙しいかどうかは自治体によりますが、
私の市役所では、全然忙しくありません。
そもそも行政事務を行わないし、電話も窓口も出なくていいし、決められた仕事をゆとりをもって実行するだけですから想像できると思います。
例えば、ごみ収集員であれば、午前中に1度ルートを回り、11時には帰ってきて、昼休みまで休憩。昼過ぎに午後ルートを出発して15時過ぎには帰ってきてまた休憩。17時まで雑談って感じです。
最高すぎひん?
もうホワイトなんてもんじゃなく無色透明で光り輝いてますよ( ゚Д゚)
これは極端な例ですが、これくらいゆとりがある職場(自治体)もあるということです。
お隣の自治体の友人からも話を聞きましたが、やはり早めに事務所に帰ってきて、内業や雑談をしているとのこと。そんな自治体ばかりではないと思いますが…。
職種によっては、市営バスの運転手などのように、定時までしっかりスケジュールを決めて働くものもありますよ。

ただし、市町村によっては、普通に忙しかったりするそうです。特に継続的に若手も採用していれば、若手はいいように使われるでしょうからね。
給料は?異動は?福利厚生は?
労働条件については、一般行政職とほぼ同じです。
基本給は一般行政職より少し低めですが、普通に仕事していれば毎年昇給していき、問題なく家族を養えるレベルだと思います。技能労務職員の給与は人事委員会勧告の対象とは一応なってはいるものの、労働協約を締結することができるなど、法の適用関係が他の一般行政職員とは異なっています。
今は平均年齢が高くなっているので給料も相当高いです( ゚Д゚)
平均年齢 | 平均給与月額 | |
---|---|---|
都道府県 | 54.5歳 | 363,228円 |
政令市 | 50.7歳 | 397,540円 |
中核市 | 50.9歳 | 378,703円 |
異動は、一般行政職と同じで、3年程度で異動します。給食を作っていた人が3年後、ごみ収集員になったり、下水処理場のポンプ運転業務に転属したりしますよ。採用部門で固定される自治体もあると思います。
福利厚生も一般行政職とまったく同じです。
一般行政職から見た現業さん
現業さんも沢山いますからあまり言いたくはないのですが、正直事務職や技術職からはあまり良く思われていません。
そりゃガツガツ仕事してくれれば何も思わないのですが、前述のように、明らかに行政職より業務量が少なすぎる上、責任がほぼ無いので、もっと仕事をしてくれと思ってる職員は多いです。
教育委員会の友人も、「学校用務員さんは自分で解決してくれる人もいるが、まったく仕事しない人は要望を全部教育委員会に言ってきて困る」と話していました。
現業は年配の人が多く、直接の上司関係があやふやで、仕事をしなくても𠮟る人がいないというのが私の市役所の実情です。
もちろん、現業さんのおかげで助かる場面もあるのですが、民間委託でダメな理由がない…。

私の市役所では現業さんにも在宅勤務を許可する部署があるそうです( ゚Д゚)
数が減ってきている技能労務職
単純な労務だし、許認可業務などの公権力を行使しないので、公務員である必要は正直ないんですよね。しかも、公務員であると毎年確実に昇給してしまうため、民間水準より高給であるとされています。
このような理由で、少しずつ民間委託へ切り替える動きが続いています。
実際に、全国の自治体で民営化されていて、例えば都道府県・政令市では「本庁舎の清掃」や「一般ごみ収集」はほぼ100%民間委託へと移っていると思いますよ。
このような改革で、技能労務職の人数は年々減っています。
少し古い資料ですが、職員数の推移を載せておきます。平成6年から半分近くになってますね。


職員数を減らすといっても、クビにするわけではなく、新規採用を止めるということです。
採用試験は昔ほどゆるくない
採用をしている自治体は昔より減りました。そのぶん倍率は高いでしょうね。
たとえば、横須賀市Webサイトには令和元年度の結果が載ってました。
作業ごとに募集しているようで、合計すると、倍率は5倍くらいみたいです。
技能労務職の採用試験の内容についても調べてみました。
一般行政職と同じように教養試験があります。問題数は20~30問くらいです。
内容としては…
○人文・社会・自然科学の知識分野
○文章理解・判断推理・資料解釈などの知能分野について
また、面接もありますが、そのほかに、「体力テスト」があるのが特徴ですね。肉体労働ですからね。
大阪市の採用試験要綱によると、「職務遂行に必要な体力について実技試験を行います。」とのことです。何をするんでしょうね。
大分市の採用試験案内によると、上体おこし、反復横とび、立幅とびを行うそうです。消防職はこれに加えて1500m走(男性)・800m走(女性)も行いますから、消防ほどスタミナは求められないみたいですね。

普通に体を動かせる程度には体を絞っておきましょう。
おわりに
ということで、技能労務職について解説してみました。
重責を担うことなく、ほとんど市民と接することもなく、労働環境も良く、体を動かしながら仕事をできる、給与もなかなかいい。めちゃくちゃホワイトな職種に見えるかもしれませんが、責任がないということはそれだけ決定権(裁量)がないということ。
自分の能力を高めて自治体に貢献する、街を変えていくという「やりがい」を持つことは難しいかもしれません。
しかも、自治体によっては普通に忙しかったりしますから、事前に情報を仕入れたりできなければ、大手を振ってオススメできるものでもないと私は思います。
参考になれば幸いです。
では、今日はこのあたりで。
またぬん(*’ω’*)ノシ
コメント